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「私、ちょっと行ってくる!」

「ちょっとレディー!」



レディーは放送がかかった途端大急ぎでハリーがいるであろう場所へと向かった。
思ったよりもホグワーツに帰ってくるのが早かった。もう分霊箱を壊すことが出来たのだろうか。急ぐ脚取りと焦る胸で階段を駆け上がる。


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部屋に飛び込むとそこは人だかりが出来ていた。中央にはハリーたち三人がいる。傷だらけだが生きていてくれてよかったと、ホッと胸を撫で下ろす。レディーに気がついたようでハーマイオニーが嬉しげに手を振った。



「レディー!!!」



視線が一気にレディーへと向く。ハリーもロンも驚いたようにしていたが、その後すぐに笑みを浮かべた。



「あぁ良かった生きていたんだね」

「ハリー、貴方たちも生きていて良かった」

「感動の再会はそこまでにしてくれよ」



ハリーとレディーが再開を喜び合うとシェーマスが眉間にしわを寄せながら詰め寄ってきた。そんな会話を前にしながらも、ネビルは「それで、どういう計画だ?」と、ハリー達の目的を聞いてくる。



「いいかい、探し出したいものがある。この城に隠されているもので、例のあの人を倒す助けになる」

「で、それはなに?」

「わからない」

「どこにあるの?」

「それもわからない…情報は少ないけど」

「ほぼゼロってことね」


レディーが腕を組んだ。ハーマイオニーも情報の少なさに頭を抱えている。普段から計画を練って動くハーマイオニーにとってハリーの無計画的な行動で頭が追いつかないのだろう。



「たぶんレイブンクローに関係がある。小さくて簡単に隠せるもの…思いつくものはない?」

「ロウェナ=レイブンクローの失われた髪飾りは?」

「またはじまったよ…」



ルーナの思いつきにロンがため息を吐いた。皆がルーナへと視線を向ける。レディーもなにそれと言いたげに首を傾げた。


「失われた髪飾り。誰も聞いたことない?有名なンだよ?」

「でも、あれが失われたのはもう何百年も前よ、見たことのある人は生きてないわ」


チョウが皆の視線からルーナを庇うように説明をした。
ヴォルデモートは歴史のある遺産を分霊箱に選んでいる。その髪飾りも、もしかしたら…。


「その髪飾りってなんなの?」

「冠みたいなものよ、ティアラみたいな」



ロウェナ・レイブンクローの肖像画で見たことがある。ロウェナの頭にはいつもきらめくティアラがあった。おそらくそれこのことを言っているのだろう。

その瞬間部屋に物凄い勢いで入ってくる人がいた。ジニーだ。


「ハリー!」

「やぁ…」


ハリーしか目に入っていないジニーに、ロンは挙げていた手を下ろし、恥ずかしげに頭に手をやった。


「6ヶ月ぶりに会うっていうのに僕には目もくれない兄貴なのに」

「あはは!お兄ちゃんは大勢いるけどハリーは一人だもんね」



レディーがロンの背中をドンと叩くと、ジニーが顔を青ざめさせながら「スネイプに知られた。ハリーがホグズミードにいたこと」と、緊迫した雰囲気で呟いた。
誰もが口を紡いだ。冷や汗が伝う顔をハリーへと向ける。レディーが口を開こうとした時、全寮へと放送が流れた。



「これから全生徒、大広間へ集まれ。直ちにだ」


スネイプのねっとりとした声が耳に残る。さてどうしたものか。ハリーが来ていることが知られている。どうしようか。


「いいかい、僕にいい案がある」


ハリーが円の中央へと歩み寄り、レディーへと近づいた。レディーは怪訝な顔をしながらも話の続きを待っている。


「ハーマイオニーにロン、二人は騎士団のメンバーを連れてきて」

「え!?」

「決戦だよ。もう逃げられない。それとレディー」

「…なにハリー」

「きみ、ヴォルデモートの仲間になったね」



その場にいたハリー以外の全員が後ずさりをした。まさかあのレディーがと言いたげに口を押さえている。



「…もちろんわざと。そして、僕がここに現れたことをヴォルデモートに伝えなきゃならない」

「…なぜそれを…」

「マルフォイだよ。彼が教えてくれた」



心臓がドキンと跳ねた。いつ?どこでドラコと会ったの?



「僕たちは人さらいに捕まってマルフォイの屋敷に連れて行かれた。でもマルフォイはベラトリックス達に僕のことをバラさなかったんだ」



「いいかレディー、僕はポッターのためには動かない。でもレディーが未来を望むなら協力する」

「これから事が大きく動いた時に、闇陣営に悟られないように閉心術を使ってさりげなくハリーを助けてくれればそれでいいわ」

「ポッターを助けるか…嫌だが仕方ない。わかったよ」



あの時の約束の通りにしてくれたのねドラコ…。


涙が溢れてくる。殺されてしまうかもしらない状況で、彼は私との約束を守ってくれた。それだけで幸せになる。本当に嬉しくて、会いたい。


「その時に言ってた。レディーは嘘をついて僕らの仲間になっていると。どうかレディーを疑わないでほしいと」

「…」

「ヴォルデモートにはどうせバレるんだ。スネイプがもう連絡しているだろうしね。君を疑うことはないよ」

「…ありがとうハリー。ただ、ただここに潜入できればそれでよかったの…だからあなた達の味方だから」



ハリーがうん、と頷くと、生徒達は大急ぎで大広間へ行く準備を始めた。ハーマイオニーとロンも騎士団のメンバーと合流するために連絡を取り合う準備を始めたのだ。



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真っ暗な大広間。いったいどれほどの間この状況なのだろうか。あの明るかったホグワーツが懐かしい。毎日友達とのお喋りに花を咲かせて、恋をして、泣いて、勉強が嫌で先生にいたずらして、ずっと笑っていられた場所が。
今では嘘のように暗い。


生徒は軍隊のように整列して大広間へと集まっていく。死喰い人のカロー兄妹が見つめるなか、緊迫感が漂う。


レディーは教員と同じ位置に立ってそれを見つめてた。

大広間に入ってきた時マクゴナガルには驚かれた。なぜここにいるのですか?と。
レディーは理由は何も言わずに、ただ自分の唇を指で押さえ「今は聞かないでください」と自嘲気に笑うことしか出来なかった。

そして全員が集まったところで、スネイプが声を上げた。



「なぜこんな時間に集められたのか不思議に思うものもいよう…。聞くところによれば先ほど、ポッターがホグズミードに現れた」



生徒がざわつく。ハリーが来たことを知らない生徒はどういうことだと言いたげに隣の人と顔を見合わせた。



「そこで、もし誰か生徒でも教員でもポッターを手助けしようとするものがいれば、見つけ次第その罪の重さに応じて相当の罰を与えるからそのつもりで。加えて、この件に関し、何か情報を得ていながら速やかに申し出なかったものについても、同じように罰の対象となる…」



スネイプがレディーをじっと見つめた。スネイプはおそらくわかっている。ハリーがすでにホグワーツに来ていることを。わかってて私を見つめているのだ。



「さて、もしこの中に 誰か今夜のポッターの動きを知っているものがあれば、今ここで申し出るが良い。直ちに」



スネイプが生徒が並ぶ列の真ん中を歩こうとすると、ハリーが列から抜け出し前に躍り出た。生徒はざわつき、オルガやランドールは目を見開かせて驚いている。



「ここは徹底的に防御を固めているようですが、警備に穴があるようですね、校長」



大広間の扉が開く。大きな扉の向こう側から、騎士団のメンバーが揃って入ってきた。

私も杖を握りしめた。戦う準備を始める。



未来のための戦いが始まるのだ。


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