かつて彼は暴れ龍に恋をした。
命をかけて龍を愛し、そして守った。
記憶が消えると同時に再び暴れ龍に戻ってしまう彼を守るため、己の命を記憶として与えた。
それ以来龍は再び彼がこの世に戻ってくるのを待っているという。

「もどってきたって僕らを覚えているかわからないじゃないですかぁ」
「いや…きっと俺に気付く…あいつなら」

屋根の上に陣取る黒い青年はそう確信していた。
そう約束したのだ。
彼は消えゆく間際、彼に告げた。
必ず戻る、と。

「…戻ってきたらまず第一に抱きしめてやらねぇとな」

あの華奢な体の青年は何を想ってくれるのだろうか。

「あ、お兄ちゃんだー」

小さな体で大きく手をぶんぶんと振り回す姿を見つけた青年は下に降りた。
彼は喪った青年の家族だ。

「なんだ、ちび」
「ちびじゃないのに…身長伸びたよ?五センチ」
「そうか…」

龍の寿命は長い。
人の寿命は短い。
彼がいなくなってから早いもので三年の月日が流れていた。
龍の彼にとっては昨日のことのように思い出せたのだ。

「……まだ、戻ってこない?」
「あぁ…まぁ、気長に待つさ。あいつのことだ。どっかでのんびり菓子でも食ってるんだろ」
「そう…」

少年は顔を曇らせていた。
龍の青年はそっと頭をなでてから彼に別れを告げて街中に向かっていった。

「……アキ…」

小さく名前を呼んでみる。
いつか再会できたのなら告げなければならないことがある。
彼の記憶に触れて自分を見つけた。
愛しい気持ちを思い出した。

「……戻ってこい、絶対に…」

龍の寿命は長い。
それでも彼が戻ってくるのかどうかわからない。
生きているうちに会えるのかも。
しかし彼は確信していた。
きっと彼は戻ってくると。

「…アキ…暁……愛してる」

何度でも告げよう。
この気持ち。
再び出会えたその時にも。
この腕で強く抱きしめて、キスを交わし。
今度こそ、終わりの見えない二人の時間を築きたい。
青年はそう考えて今日も街中を歩いて行った。

再び会うその日まで
掲示板やり取りより
こんな感じにしかならない
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