「ふわ…ぁ」
目覚ましを止めて伸びをする。
カーテンからさしこむ朝日が少しまぶしい。
「さて、朝ごはんを作らなければ…」
ベッドから降りてパジャマの上から薄手のカーディガンを羽織る。
自室を出てキッチンへ向かう。
他はまだ寝ているのか、はたまた他のお宅へお邪魔しているのか、まだ静かだった。
「今日は目玉焼きにお味噌汁、あとは味付け海苔…」
冷蔵庫にマグネットで貼り付けられた今日の献立を見つつ、用意をはじめる。
「おはよぉ、倖…はやいねぇ?」
眠たそうな声とともにキッチンに一人の少年が姿を見せた。
目をこすりながら冷蔵庫のドアを開けてパックの野菜ジュースを取り出す。
「おはようございます、聖。昨日は泊まってこなかったんですか」
「うん。送ってもらったの」
「そうですか」
「あ、ボク今日は夕飯食べてくるからいらないよ」
「わかりました」
少年―聖は着替えてくると言ってキッチンを出て行った。
倖はそのまま二人分の朝食を作る。
「はれ…倖早いね…」
「おはようございます、暁」
続いて姿をみせたのは先ほどの聖よりも幾分年上の青年。
彼もまた眠たそうにしている。
「今珈琲をいれますから」
「ん」
リビングの四人掛けのソファに座った彼はそのまま再びねむり始める。
その様子を見て笑みをこぼした倖は、まだ寒い朝、ブランケットをそっとかけてやった。
彼が珍しく戻ってきているということは、最年長の青年も戻ってきているのだろう。
そう判断した倖は四人分の朝食と珈琲をテーブルに並べた後、部屋にむかう。
「郁、起きてますか?朝ごはんができましたよ」
扉をノックするも返事はない。
苦笑していつものようにドアを開ければ、上半身に何も身に着けないままベッドで丸々青年の姿が目に入った。
「郁…起きてください」
ベッドに近寄り声をかける。
小さく反応は示したが、それでもまだ意識は夢の中だ。
倖は顔を寄せるとそっと唇を重ねた。
そのとたん、頭が固定され、唇を割って生暖かな舌が入ってきた。
「んーっ?!」
驚きのあまり頬を叩くと腕ははずされた。
「なんだ、つれねぇな」
「い、郁っ朝からなにを…」
「お前からしたんだろ?」
「そ、それはあなたを起こそうと…」
楽しげに倖の反応を見ていた青年は身体を起こすと倖を抱き寄せて笑いかけた。
「お前の飯が食いたくて朝方帰ってきた」
「…もう、そんなこと言っても許しませんから…」
「くく…ほら、飯ができてるんだろう?さっさと行くぞ」
「はい」
二人そろってリビングに戻るとすでに、聖も暁も自分の席についていた。
「遅いよー、早くしないと冷めちゃうよ?」
「倖のご飯はあったかいうちに食べないと…」
「そうだな」
郁と倖もそろって席にすわり、四人は手を合わせた。
「「いただきます」」
君といる毎日
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