ずっと雨が降り続いている。
窓の外は本来ならば日が照っているはずなのに、どんよりと雲が垂れ下がっていた。

「なかなかやみませんね」
「梅雨だしね」

倖と聖はリビングでぼんやりとしていた。
このところ降り続く雨は気分までも暗くしてしまう。

「倖ちゃん、聖!」

ぱたぱたと可愛らしい足音がしたと思ったら、リビングに響が顔をだした。
その顔が満面の笑みで飾られている。

「どうしました、響さん」
「これあげるね」

二人に響が差し出したのは折り紙で作られた大きな向日葵。

「造ったの?」
「うん。銀が手伝ってくれたの」

引きこもり気味な魔術師の顔を思い出す二人。
にこにこと笑いながら二人を見上げる響は雨など気にした様子もない。

「ありがとうございます」
「ありがと」
「えへへ」

二人が礼を言えば響は嬉しそうに笑う。
次は郁と暁だ、と言ってリビングを出て行くのを見送りながら倖は向日葵に目を落とした。

「響さんがいると明るくなりますね」
「雨なんて関係ないんじゃない?」

あの子の笑顔は雨さえも気にせず、真っ直ぐに太陽を追いかける向日葵に似ている。
顔を見合わせた二人は互いに向日葵を手にしながら笑ったのであった。
あの向日葵のように
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