紅の好きなもの


久々知兵助の豆腐
不破雷蔵の悩む顔
鉢屋三郎の変装
尾浜勘右衛門の髪
竹谷八左ヱ門との鍛錬




「……は?」

白は自分でまとめていたそれに首を傾げた。
最上段にある豆腐に関してはわかる。
久々知の豆腐を食べてからは比較的機嫌がいいからだ。
が、その下四つが意味が分からない。
白は自分の主の性癖に頭を抱えた。



「紅は五年生のことが本当好きだよな」
「うん、たぶん同い年っていう位置づけなんじゃないかな」
「紅いくつだっけ」
「20と言っていたな」
「あの顔で」
「文次郎には言われたくないだろう」
「何を?!」

かたん、と筆をおいて頭を抱える白。
自分は学園長から個室を借りているが、なぜかこの六年生たちはよく白の部屋に集まる。
しかも普通にお茶菓子を持ち込んで部屋の主を放っておきながら会話をしているのだ。


「あの初対面のときから本当に紅の印象が変わったな」

ぽつりと仙蔵がつぶやいた。
白こそ出会いはふつうであったのだが、紅は初対面の印象が誰しも強い。
おそらく六年生だけではない。
あの日紅霞という忍者を見た生徒たちはだれもがそう思っていたはずだ。


「…まー、印象が変わったのはこちらも、だけどな」
「ほぉ、それはぜひ聞きたいものだな」

仙蔵が白の後ろに近寄る。
とても嫌そうな顔をしつつもどうせ話さなければ寝かせてくれなさそうだし、とあきらめた白はあの日思ったことを話し始めた。


はじまりの日

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