忍術学園臨時編入生である、紅霞、白霞両名はもとは別の里の忍びであった。とある事情から忍術学園にしばしの間お邪魔させてもらっているのである。
そんな二人に里から伝令が届いた。中身を見た紅霞は学園長に事情を話し、白霞とともに一時的に里へと戻っていた。

「あー…終わった。こんな仕事紅でなくとも、里にいるものたちでどうにでもなろうに」
「いいんじゃないですか、たまには。学園はドクタケの襲撃とか以外は平和ですから」
「それはそうだが」

紅霞は今しがた仕留めたばかりの忍びの躯に腰掛けため息をつく。
本来であれば今頃は五年生ともに課外授業にいたはずだった。白霞も六年生と軍議の演習をしに行くと話してはいなかったか。
重い腰を上げてひとまず里に戻ろうかとしていたところに、紅は後ろを振り向いた。

「蒼か。どうした」
「紅様、たった今学園に放っていたものから伝令が届きまして…」

側近の一人の言葉に紅の顔から表情がなくなる。
白霞は額に手を当てて大きく息を吐き出した。

「紅を一年も探っておいて、そこに手を出しますか…いっそのこと哀れですね。紅…?」

白霞が主を向いたときにはそこにはもう紅霞の姿はなかった。
再びため息をついた白霞に指示をもらえないかと側近は顔を向けた。


「彼らの救助は紅がいくでしょう…問題はこの里の周辺にもほかにいるかもしれないということ。見つけ次第容赦など必要ありませんから、全員やりなさい」
「かしこまりました」

白霞は後始末を任せすでに学園へと戻りだしたであろう紅霞を追いかける。
よりによって紅霞を仕留めるために敵は【忍術学園五年生五人】に手を出した。
今の紅霞にとって逆鱗に等しい存在に…


「あ〜…帰ってのんびりしている暇もなさそうですね」


学園まで里から三日はかかる。
だが本気を出した紅霞ならばその行程を半分ほどでいってしまう。
速度を上げながら先回りできる道を頭の中に思い浮かべ道をそれる。
それが功を奏したのか前をいく紅霞をすぐに見つけた。

「紅!」
「兵助たちは無事だろうか」
「当たり前でしょう。あなたを捕まえるための人質ですよ…?忍びならば捕まるな、といいたいところですが、相手もプロですからね」
「白、学園には紅だけもどる。お前は敵の軍力を探ってこい。兵助たちに手を出したことがどういう意味なのか、紅がしっかり教え込んでやる」
「…かしこまりました」

本気の紅霞の邪魔はしたくない。
白霞はうなずけば紅霞から離れて聞いた情報に基づいたその場所へと向かっていった。



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