「えっと…ひかるくん?」
なんだろうかこの状況は
「アンタがくんとか気持ち悪いっすわ」
何故僕はこの生意気な後輩に
しっぽを捕まれてしまっているのだろう
「それ、僕のしっぽなんだけど?」
いきなり学校の前に待ち伏せしていたコイツは
四天宝寺高校の生徒、ひかる(黒猫)
友人の白猫、くらのすけ経由で知り合った僕達は
まあ、仲良しといえば仲良しだが
「俺の事、好きって言うまで放さへん」
どっちかというと、いつものひかるはツンツンで
スキンシップは少ないはず…
「もしかして、におうの変装?」
「は?誰やそれ」
いつもの帰り道を、ひかると二人で歩いていれば
何故かひかるは、僕のしっぽを持ち上げた
まあ、気にせずそのまま歩いているのだが
「あ、におうは僕の同級生、変装が得意なんだ」
「…ふ−ん」
におう、にこりと微笑むゆきの口から
俺以外の男の名前なんて、聞きたくない
「仲良いんすか?」
ゆきの言葉に、ひかるが少し怒っているなんて
鈍いゆきにはわからないだろう
「うん、まあ、同じ白猫だし」
「ソイツの事好きなん?」
「?…好きだけど?」
におうは友人、普通に好きだが、それがどうかしたのだろうか?
しっぽを捕まれたまま歩く二人は、他人からみれば不思議な光景だろうが
ゆきは全く気にしない
後ろを歩くひかるを振り返ったゆきに、ひかるは脚を止め
「俺より?」
真剣な表情で言ったのだが
「は?」
「俺とソイツ、どっちが好きなん?」
「なんだそれ−」
にこりと笑ったゆきは、ふわふわとひかるの頭を撫で
「よしよし、僕は白猫も黒猫も好きだよ」
「…は?」
「ひかるは白猫のしっぽが好きなんだろ?」
「…なんやそれ」
全く検討ハズレの言葉を返したのだった
END
(ムカつくから放さへん)
(ひかる、またたびアイス売ってる!)