▼ 大阪での5日間 番外編
それは、金色が、iPadでリバーシ、オセロ(白と黒の駒を使った陣取りゲーム)をしていた時のこと。
ソファーに座っている金色の所にやって来たまこは、スルリと金色の腕を跨ぎ、膝に乗った。金色は、そんなまこに嬉しくなりながらもゲームを続ける。
(気になるんやろか?かわええなぁ)
ちょこんと膝に座ったまこは、じっとiPadを見ている。金色は、相手が駒を置く度に画面に触れ、同じく駒を置いていく。
今、勝っているのは相手の黒だ。
「にゃー(小春、なんであの列取らないの?逆転するのに)」
「ん?なに?」
不思議そうに見上げてくるまこに、小春は優しく笑った。
「(あ!小春!黒に取られちゃったよ!)」
「ふんふん〜♪まこがついとったら百人力や〜♪私の勝ちは決まりやな」
「(負けてるのに凄い自信だね)」
そんな時、お風呂から一氏が戻って来た。
「お、小春〜何してん?」
「気散るから話しかけんなや一氏」
「小春〜?!」
「(オセロしてるんだよ)」
「まこ、気散るんやて、こっち来とき」
「まこはええねん」
「小春〜?!」
そんな彼らの会話等つゆしらず、まこはオセロが気になって気になって仕方がなかった。
ずらっと取れる場所がいくつもあるのに、なんで取らないの?!小春!
「...(えいっ!)」
ついに我慢ならず、手を出してしまった。
ぽふっと画面に手が乗ると、ずらずらっと黒が白に変わっていく。
「「あ!!!」」
逆転したのに、何故か金色も一氏も苦い顔をした。
(怒られるでーまこ。これで小春の計画が崩れてしもた...)
「まこ...」
「こ、小春...相手は猫や、堪忍したり...」
「手伝ってくれたん?ありがとうな〜」
(ええええ?!俺がやったら絶対死ぬほど怒っとったやろ?!)
「みゃー(頑張って!小春!)」
まこは、小春が黒を全て白にするために計算していた事に気付いていなかった。
あえて取らずに置いたのに、まこのおかげで計算が合わなくなってしまった。
しかし、金色はそこから怒涛の攻めに転じた。
最後にはどうやったのか、相手はパスしか出来ずに、画面は白で埋め尽くされたのだった。
end
「(小春、凄い...!)」
(流石小春...えげつな)
「まこのおかげで勝てたわ〜ありがとうな〜」
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