冷たい指先
冬に本を読むと、手が冷える
冷え症の柳の手は、もちろん冷たいのです
「…?」
手の甲にふわりと何かが触れた感覚に、柳がふとそちらへ目を移すと
本を持ち冷えた柳の手にすりーっと頬を擦らせていたのは、小さな子猫だった
「みゃぁ(柳、手が冷たいと体に悪いから、僕があっためてあげるね)」
ちょん、と手の甲に右手の肉球を押し付けたまこは青い瞳で柳を見上げる
「ふ、何かいい匂いでもするのか?」
手をひっくり返し、手の平にまこの両手を乗せにぎにぎと握れば
まこは柳の爪にふわふわと口をつけ、手の上に頬を乗せて寝転んだ
「冷たいぞ?まこは暖かい物が好きだろう?」
眠るなら、膝の上で寝て欲しいのだが
何故かまこはあまり自分から人の上に登って来ない
控えめに太ももにぴとりとくっつくまこに、抱き上げるのはセルフサービスだ
「眠るなら、膝においで」
読んでいた本を置き、柳がまこをにょいっと抱き上げ膝に乗せれば
まこは柳のお腹に頬をくっつけ寝転がる
近くに置いていた羽織りをまこにかけてやり、ふわふわと撫でてやれば
しばらくするとすーすーと寝息が聞こえ、膝はぽかぽかと暖かくなった
END
柳の匂いに包まれると、すごく安心するんだ
膝からでも指先まで温まるかな…?
第七回拍手御礼小説