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立海の昼休み


 

昼休み、珍しく部室に一番に来た真田は
猫用ベッドで寝ているまこを見て
起こさない様に静かにまこを抱き上げ一人椅子に座った

規則正しい呼吸と、時折ぴくりと動く耳

まこは柳が起こすか自力で起きるかするまで
周りが騒ごうが何をしようが起きない事を知っている為
真田は柳が来るまで膝にふわりとした温かさを感じつつ
その小さな手やしっぽに触れ、優しく頭を撫でてやる

本人は無意識だろうが…
きっと、部員達が居る時とは比べものにならないほど
優しい表情になっているだろう

次に部室に入って来るのは柳生辺りだろうと予想しつつ
ふと、真田がポケットから取りだしたのは一つの硝子玉

まこの瞳と同じ、透き通る様な海色をしたそれは
丸井から没収した物の一つだった

お菓子は部活帰りに返したがこれは残っていたらしい
何となく、指に掴んでくるりと回してみれば
膝でぴくりと反応したまこが目を覚ました


「みゃー(あれ、真田だ)」


にょーんと真田の膝で伸びをし、見上げて来るまこに目をやれば
黒い瞳と、まだ眠そうな青い瞳が交差した


「起きたか?」


ふわふわの口元に真田が指を滑らせれば目を細めて喉を鳴らすまこ

可愛い奴だ…

硝子玉を握り、ポケットに直そうとすれば
それに興味を持ったのか、まこは硝子玉を持った真田の手に頬を擦らせた


「これか?」


そういえばまこはキラキラした物や透明な物が好きだったなと思い
手を開けば真田の手に両手をちょんと乗せたまこは
硝子玉にふわふわと口をつけ、じっと硝子玉を見詰める


「気に入ったのか?」

「みゃー(綺麗だね、ビー玉)」


心なしか、パタパタと嬉しそうにしっぽが動いている気がする

いつまでも飽きずに見つめるまこにふわりと微笑み
真田もその光景を眺めていれば、不意に外から足音が近づくのが聞こえた


「来たな」


ぴくりとまこも反応し、扉を振り返った事で
真田は硝子玉を握り、ポケットにしまう

まこが再び真田の手を見た時にはそこには何もなく
少し驚いた様に、きょろきょろと周りを見回したまこは
最後には真田を見上げた


「みゃー(真田、ビー玉は?)」


首を傾げる仕種にふわりと微笑んだ真田は優しくまこを撫でてやる


「また今度な」


硝子玉は自分の物ではないが、丸井に返すのは当分先になりそうだった


END

(おや?一番ですか、真田君)

(ああ、蓮二と幸村は少し遅れるらしい)

(成る程、だからまこは真田君の膝に居るんですね)

第三回拍手御礼小説








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