欲望を召し上がれ
自慰を覚えたのはいつ頃のことだっただろう。
恐らくそれは、人よりもだいぶと遅かったと思う。
思春期に差し掛かってもそれを知らなかった俺は、たまにどうしようもなく勃ち上がる欲望に、もどかしい思いを抱いていた。
しかし熱の処理法を知ってからと言うものは、それまでの分を埋めるように毎日毎日没頭した。
扱いて、扱いて、全身を熱くたぎらせ、果てる。
その繰り返し。
ここ最近では、槍を握るのと同じくらいの割合でそれを握っていたようにすら思う。
利き手である俺の右手には、すっかり男の臭いが染み付いてしまったようだった。
「―――すごい!このお団子、幸村様が作ったんですか?」
「ああ……グラム殿、召し上がってくだされ」
真昼の縁側。
愛おしいその横顔を見つめながら、また、甲冑の下で己が熱をもってくるのが分った。
白く細い清らかな指が、団子を掴む。
俺が自らの歪んだ欲望を満たすためだけに作ったその団子が、ゆっくりと口の中に入っていく。
(さんざん自慰で汚してきたこの手で触れたものが、その穢れない口の中へ……)
ゆるり、確実に熱を持ったそれが頭をもたげ始める。
「……美味いか?」
「はい!とってもおいしいです」
そんな汚いものを、美味いと頬張る。
その団子を握った手は、今朝方も男根を握っていた手であるというのに。
……その光景がやけにいやらしく、おぞましいほどの興奮へと誘う。
俺はこんなことを繰り返しては、それを思い、ひとりで果てるときの肴とした。
この下衆のような行為が、どうにもやめられない。
そんなことなど知る由もなく、グラムは微笑む。
「ごちそうさまです、幸村様」
今晩も、背徳など感じる隙もないほどに、熱くたぎれそうだ。
欲望を召し上がれ
(これが知れたら、俺は嫌われてしまうな)
(11.08.31)
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当たり前だコノヤロウ!嫌われるに決まってるwww
……うぶで某な幸村の方がスキだったんですけどネー。
自分で書くとなると黒い俺幸村のほうが書きやすいですね。
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