幸せを祈ったやさしいひまわり




彼女は毎日、僕に水をくれた。
場所だって日当たりがよくて、最高にポカポカで、気持ちがいい。
肥料もちゃんと拘ってくれていたし、毎日優しく喋りかけてくれていた。
雨の日は定期的に様子を見に来てくれるし、雪の日は寒くないようにと葉を握ってくれた。
ああ、なんていい人なんだろう!
僕がまだタネだったころから育ててくれて、彼女のおかげで僕は今立派な花を咲かせている。
それがとっても嬉しくて、とっておきの自慢なんだ。
そんな素敵な彼女の笑顔が、僕にとって何よりの栄養。
彼女の笑顔を見ると、幸せになって、もっと元気に咲こう!って思える。
彼女の笑顔が見たいから、曇りの日だってちゃんと顔を出すんだよ。
それで見せてくれる彼女の笑顔ったら、本当に最高なんだから!
優しいところも、元気な笑顔も、僕は彼女の全部がだいすきだ!

そして、そんな素敵な彼女は人気者。


「おはよう、キマワリちゃん。今日は帰りが遅くなるの、ごめんね」


いいんだよ、気にしなくても。
僕、君がいないときは、ポッポとか、キャタピーとか、友達と遊んでいるから。
ちょっと寂しいなんて、そんなこと。


「……ふふ、お水あげるね」


彼女は今日はとってもご機嫌。
今日は、前から言っていた、彼氏とのデートの日だからでしょ。
僕はしってるよ。
だって、毎日楽しそうに話してくれるもんね、彼のこと。
ちょっと苦しいなんて、そんなこと。


「じゃあ、いってきます!」


いってらっしゃい。
葉っぱをゆらゆら、お見送る。
とっておきの、笑顔だよ。

ちょっとの感情は、栄養に変えて飲み込むんだ。
笑顔の栄養よりは少し苦いけれど、そんなことは気にしないよ。
彼女が笑顔になれるよう。
彼女の笑顔が続いていくよう。
僕は毎日、笑顔でお見送りをするからね。




幸せを祈ったやさしいひまわり
(僕は、僕にしか出来ないことを)
(11.07.18)
――――――――
キマワリというよりただのヒマワリ。
そして謎需要。



戻る

- 20 -





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -