嫉妬の矛先
「お前、転生は諦めろ」
唐突に、バルレルは言った。
何故そんなことを言われるのか、わたしには覚えがない。
ただ、思い返してみると、バルレルは今日ずっと不機嫌そうにしていたように思う。
原因は、何だっけ。
「俺と一緒に、サプレスに来い」
そう言って切なそうに歪められた表情と、摩訶不思議な言葉。
転生を諦めろ?
サプレスに来い?
とにかく今は腹痛が酷くて、それどころじゃない。
とうとう立っていられなくなり、膝がひとりでにがくんと折れる。
すっと伸ばされたバルレルの腕に、素直に抱きとめられた。
……そうだ、思い出した。
今朝もこんな風に、躓いて倒れそうになったところをネスに抱きとめられたんだ。
それからだ、バルレルの機嫌が悪くなったのは。
至近距離にある悪魔の顔を覗き込むように見上げると、その大きな瞳と目が合った。
なんでそんな顔、してるの。
「バル、レル……?」
ぽた、ぽた、と音がした。
それはカウントダウンのようだった。
わたしが彼の言葉を理解するまで、あと……。
嫉妬の矛先
(……それにしても、痛い、なあ)
(10.09.28)
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バルレルにブスっと殺られてサプレスに連れて行かれ隊(^q^)
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