離れていても




熱い、熱い。
あなたのことを考えると、いつも熱くてどうしようもなくなる。


「は、ぁあ、ぁ……ん」


自分がもともと獣だということは知っている。
だけどあなたのあの甘い声を聞いてしまうと、更に醜いものに成り果ててしまうような気がした。
獣以下の何かになってしまうことに恐れはなかった。
ただ、あなたの前で正常なフリをいつまでできるのかが不安なだけで。


「あっ、もっと……ぎゅって、して」


ぎゅっ。
あなたがそばいないとき、私がどれほど寂しい思いをしているのか、あなたは知らない。
ああ、だから、思いの丈をぶつけたい。
あなたが望むなら、何だってしてあげる。
だけどたまにあなたの望まないことをしていても、それくらいは許して欲しい。
許されないようなことなんて、あなたは知らなくていい。


「んっ、やっ、あぁあっ、早いっ」


速くなったピストンに、愛おしい悲鳴が上がる。
ああ、繋がっている、繋がっている。
あなたと私は繋がっていて、狂おしいほどに熱を持っている。


「うっ、出る……っ!あ、……っ」


勢いよく放たれた白濁液に、己の醜さを見た気がした。

あなたと本当に繋がれたのなら、こんな醜いものは見なくてすんだのだろうか。
あなたの奥深くに放ってしまえば、自分の醜さには気づかなくてすむだろうか。
……いいや、そんなことはない。
きっとあなたのその綺麗な瞳を通して見えてしまうな。
己の醜い、獣の表情。

彼女と繋がる男の意識へリンクすることはやめ、床を拭いた。
彼女が戻ってくる前に、綺麗にしなくては。
彼女に正常な顔を貼り付けて会うんだ。
彼女の望むことだけをしているフリをするんだ。
大丈夫、私にはできる。

部屋に漂う生臭さに、息を止めた。




離れていても
(最低だと自覚している)
(11.07.17)


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