そして同じ数だけの復習の目




死姦なんて、意味がないと思うんだ。

だって彼女は何も反応を示してはくれない。
そりゃ、息絶えたばかりなら身体は反応を見せるかもしれない。
だけど、それは熱いものに触ったら手を引っ込めてしまう、反射みたいなものだよ。
決して、彼女の愛らしいからだが、俺に感じているわけじゃない。

それって、やっぱりまるっきり意味がないだろう?


「やめて、やめてよおッ、お願い……あああァッ!」


泣き叫ぶ彼女を優しく撫でて、キスを落とす。
するとほら、彼女は身体をびくんと跳ねさせ、目には涙を溜めて震えている。

ああ、かわいい。

やっぱり俺は、生きてるグラムが好きだよ。
生きているグラムを抱くのが、一番良いよ。


「痛いッ、痛い痛い痛い痛い、いやああっ」
「すご……キツイね」


ぎちぎちと締め付けてくる感覚に、それだけでも頂点まで上り詰めてしまいそうだった。
このグラムも、俺が初めてなんだ。
そう思うと、どうしようもなく胸が締め付けられるほどに嬉しい。
嬉しくてたまらないよ。

ベッドに痛々しいほど飛び散った赤い血に、どうしようもなく興奮を覚える。

その光景はグロテスクでもあるけれど、彼女の純情の証でもある。
同時に、彼女が俺だけのものである証拠。

俺は嬉しくなってしまって、組み敷いた彼女を思い切り突き上げた。


「――――ッ!!!」


彼女の断末魔に、愛しさがこみ上げてくる。


「ああ、ああ、俺のもの。グラムは全部……俺のものだよ」


この部屋なら、いくら叫んでも大丈夫。
誰にも聞こえたりはしないよ。
聞こえたとしても、誰も邪魔したりはしないだろう。
キングとクイーンの愛の営みを、邪魔できる国民なんているものか。

彼女の反応に気をよくして、彼女が叫び続ける限り腰を打ちつけた。

彼女は、今目の前のグラムは生きている。
植物状態の彼女では、味わえない幸福。
俺が本当に好きなのは今も地下で眠っているあのグラムだけど、このグラムだって本物のグラムだ。
グラムはグラムで、他の何者でもない。

死姦は、空しくて嫌だ。
植物状態の彼女は死んでいるわけではないが、彼女を抱いたらそんな気分になった。
何も反応を示さない彼女には、空しさしか沸き起こらない。

ならば、時空を超えて、別のグラムを攫い、抱いてもいいだろう?

反応がある、俺を感じてくれるグラムは、こんなにもかわいくて、いとおしいのだから。


「ひっ、……っ、うっ……っ、」


だけど、ごめんね。
ひとりのグラムにばかり肩入れすることは出来ない。
だってそうしてしまったら、本当の彼女がどんな人物だったのか、忘れてしまうから。
だから俺は、強姦魔にしか成りえない。
グラムの頬に流れた涙を、そっとぬぐった。

手に入れるためなら、何度時空をゆがめたって構わない。
そうして数十、数百の時空の彼女が、今まで俺を受け入れてくれた。




そして同じ数だけの復習の目
(無力な海棠鷹斗には、きっと何もできないよ)
(11.07.26)
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これはもうただの犯罪だッ!\(^0^)/


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