飼い主に言葉は通じない
ガチャリ。
南京錠がかかる、冷たい音。
背中から回されたエリクの手が、カギを握っている。
「グラムを一人でここに残していくのは心配なんだ……わかってくれるよね?」
熱っぽく囁きながら、舐めるでも噛むでもなくエリクの唇が耳を這う。
その声は普段の幼い印象をまるで封じ込めた、低くて甘い、男のそれだった。
「グラムはかわいくて、すぐに男を誘惑する悪い子だから、ね」
ちゅ、っと音を立てて、耳から唇が離れた。
愛おしそうに撫でられた腰が、いつもよりずっと重くて、眩暈がしそうだった。
……ああ、これから1ヶ月、このままなのか。
彼がザルディーネの王立学園から戻るまでの、長い、長い1ヶ月。
「はぁ……、いい子にしてるんだよ」
つけられた貞操帯は重く、彼の束縛を形で表したかのようだった。
飼い主に言葉は通じない
(エリクだけが好きって、どうすれば伝わるんだろう)
(11.07.17)
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