こんなの俺の愛した君じゃない




俺は、ずっとグラムが好きだった。
もちろん今も継続して好きだよ。
だけどグラムは不運なことに事故に遭ってしまった。
いいや、不運なんてもんじゃない、あれは誰かの強烈な陰謀によって故意に起こされた事件だ。
グラムは、深い眠りについてしまった。
それでも、一命を取り留めたことは奇跡に近かった。
俺は、それだけで十分救われたんだよ。
だって、まだグラムを救うことの出来る可能性が残されている。
それから、俺は必死になって勉強して、研究して、10年を過ごした。
それなりに大変だったけれど、グラムのことだけを想って過ごした10年は悪くなかったとも思う。
まあ、そんなことも、君が目覚めてくれたから言えることだけれどね。

思いの丈を、言葉にして彼女にぶつける。
黙って聞いていたグラムは、静かに口を開いた。


「へえ、じゃあ鷹斗って童貞なんだ」


一瞬にして、全てが凍りついたような気がした。




こんなの俺の愛した君じゃない
(……あれれ、おかしいな、確かにグラムを転送したはずだけれど)
(11.07.26)


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