FARMER
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陣営:制限なし
推奨人数:2〜4人
推奨スキル:簡単な探索スキル、説得
時間4〜6時間程度
このシナリオはロールメインのシナリオです。
基本的に失敗はないと思いますがPLの精神衛生をお気遣い下さい。
ダンジョン「USA」専用シナリオ。
アメリカの田舎で目覚め、ある畜産農家の家に泊めてもらうことになる。
戦闘はありませんが、暴力、バイオレンス、サイコスリラーのような緊迫感があります。
アメリカのB級映画のような世界観が味わえるシナリオ。
◎制限時間はなし。
【GMへの補足】
このシナリオはアメリカで2000年代初頭に問題になった「BSE問題」「アメリカ産牛肉問題」をテーマにしている。
シナリオの時代背景としては、牛や豚、鶏などに感染症が流行り、
食肉がスーパーマーケットから消えてしまうなどして入手困難になっている。
また畜産農家にも大打撃であり、家畜の検査、殺処分、畜舎浄化などに追われて
畜産農家事態が次々と破産していく状態である。
また実際の偽装事件は「産地偽装」であったが、このシナリオの世界では
「生物不明」の食肉も出回っており、それが偽装事件として横行している。
■GMしてやろうかな?と思った方へ
DropboxのGarden用共有フォルダ>ログ倉庫>ログ倉庫@LOA>FARMER ココフォリア用素材
に、ココフォリアのルーム作成に必要な素材やBGMを揃えました。
またTP時のログもHTML形式で保存しておりますのでよろしければご参考にどうぞ。
以下フレーバー文となります。
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目が覚めると広大な荒野に立っていた。
辺り一面、茶色の土と枯れ草。
まるで西部劇の世界に入り込んだような錯覚をするが、
自分が立っているのは、どう見ても舗装された"道路"だ。
砂埃が目を襲う。
日も暮れそうだ。
歩いても歩いても、先には何も見えない。
途方に暮れている時に目に飛び込んできたのは、
砂埃を上げて颯爽と向かってくる、一台の車だった。
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田舎に泊まり、暖かい料理を食べ、街に向かって走り出す。
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言わずと知れたアメリカ合衆国。
中西部に位置するその場所は、昼間は暑く夜は寒く、広大な荒野が広がっている。
隣町まで数百キロは、ザラである。
2人乗れる荷台付きの大きな車は、この地域には必要不可欠なものだ。
悪路や悪天候をものともしない丈夫で力強いものが多く、
その代わり燃費はあまりよくない。
身なりはあまり綺麗とは言えないが、人の良さそうな中年の男性。
茶色の髪に、青い目、鼻の下に髭がある。
服装はいかにも中西部といった感じで、チェックのシャツにベスト、
デニムに、茶色のテンガロンハットと茶色のブーツを身に着けている。
口調はアメリカ気質の気さくな中年男性。〜だな!〜だろう!など。
少しだけアイメイクをして、鮮やかな口紅を塗ったふくよかな体系の女性。
グレーヘアで、こちらも青い目をしている。
子花柄のゆったりしたワンピースを着ている。
口調はアメリカのドキュメンタリーに出てくるような少しふんわりとした中年女性。
〜かしら?〜だわ!など。
トムとエリーの息子の、無愛想な少年。
茶色の髪に、青い目をしている。
柔らかい生地のワイシャツとチノパンを履いている。
話しかけても基本的に返事をしない。
口調は落ち着いた少年。〜だね。〜さ。など。
トムとエリーの息子の青年。
トムやエリーの会話の中でしか登場しない。
しばらく前に家を出て行ったっきり、音沙汰がない。
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荒野に取り残された探索者は、歩いても歩いても同じ景色が続くだけでうんざりする。
そこに通りかかった車をヒッチハイクし、そのドライバーの家に泊めてもらうことになる。
畜産農家のその家はとても大きく、そして家族はとても暖かかった。
人手が足りないというので家畜の世話や農業を手伝うが、
だんだんとその家の人物たちの違和感に気づいていく。
■時代背景と人物背景■
中年男性トムは代々受け継いだ畜産農業を夫婦と息子たちで営む。
大陸全土で感染症が流行り、片田舎にある自分の農家にもその波及は広がった。
監査が入り検疫、出荷規制、大切な家畜の殺処分によって、徐々に狂って行く。
大切に育てた家畜や野菜を送り出すのも、送り出せないものたちを糧にするのも、
彼にとってはとても誇らしく、そして愛情のある行動だった。
それは中年男性だけではなく、妻の中年女性も同じだった。
彼がわが子のように育てた家畜や野菜を、同じくわが子のように思っていた中年女性は、
命をいただくために調理するということに並々ならぬ愛情と使命感を持っていた。
食肉問題が取り沙汰されてからというもの、困窮した生活によって、
徐々に人と家畜が同列のものになっていく。
また食に対するこだわりもだんだんと強く、狂気を増していく。
ただ、周りには何もない辺境の地で、数百キロ圏内は人が住んでいない。
そこで中年男性は、たった一つしかない幹線道路で車の故障で立ち往生する人を見つける。
砂埃や荒れ果てた荒野の泥で、故障する貧弱な車が後を絶たなかった。
元々人が良く、困っている人を見ると放ってはおけない優しい人物だった。
人も家畜も同列。両方とも愛すべき者である中年男性は、困り果てた人を連れ帰っては、
家畜として育て、最終的には偽装した食肉として出荷、または自宅で食材として使用する。
妻の方も狂気が手伝ってかそれに全く気が付かず、ただ一人気づいていたのは息子のジムのみ。
家族のうち初めに犠牲になったのは、息子であった少年ジムの兄。
(兄はジムの手によって、未だ冷凍保存されたまま家の保存庫にいる。)
そこでジムも、狂ってしまった家族によって、狂ってしまった。
追い詰められた人間の行動と心理は理解しがたく、
またそれに裏付けされるものが深く濃いほど、孕む狂気も大きくなる。
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■BGM:1導入
目が覚めると広大な荒野に立っていた。じんわりと汗をかくほどの太陽が照り付けている。
また真っ先に気になるのは風で舞い上がる砂埃だ。一刻も早くマスクが欲しいと感じるだろう。
舗装されたさほど太くはない道路が一本通っていることから、
現代、或いはそれに近い文明のある場所だとわかる。英字の看板には"Mother Lord"とあり、
この辺りでは主要な幹線道路なのだろう。
しかし建物は一切見当たらず、ポツポツと立つサボテンと枯れ木、また360度地平線が見渡せる。
太陽の位置からして正午を幾分か回った頃だろう。人の気配はなく、
遙か大空に大きな鳥が一羽飛んでいるだけだ。
→ここで探索者にロールを許可する。
お互いを認識し、また動く気がなければここにずっといても仕方がないことを仄めかす。
探索者が歩き出せば、展開が進む。
<注視情報>
あたりは一面の茶色だ。水分のない土と草木、そして一本の黒い道路。
たまに砂埃の中を丸い枯れ草が転がっているだけだ。
探索者は歩いた。どちらの方向に向かうと何があるのかもわからず、ただひたすらに歩いた。
歩けども、目に入るのは茶色い土と水気のまるでない草木、目障りなほど堂々と立ち尽くすサボテン、
また物理的に目を襲う砂埃だけだ。
<シーン切り替え:幹線道路「夕方」>
どれほど歩いたか、脚が悲鳴を上げ始めるころ、日が暮れてくる。
地平線に沈んでいく太陽は燃え盛るように赤く、平常心なら綺麗な景色だと思う心もあっただろう。
ただ、今は恨めしく思ってしまう。なぜなら日没に近づくにつれ、気温が極端に下がり始めたからだ。
食料も飲料もなく、ここで野宿をするのかーーー。
そう脳裏によぎった時、舗装された道を砂煙と黒煙を上げながら向かってくるものが見えた。
──車だ。タンカラーのピックアップトラックが、こちらに向かって走ってくる。
判断には時間を要さなかった。ここで逃せば、きっと待っているのは体温を奪う荒野での野宿だろう。
探索者は確信した。ヒッチハイクだ。そうするしか、助かる術はないと。
→探索者が車を止めようとしなくても、車は探索者の手前で止まる。
【探索者が車を止めた場合】
向かってくる車を大きく手を挙げ、道の真ん中に出て身を挺して止める。
案の定、車はブレーキがかかり、探索者の手前で停止した。
運転席の窓から身を乗り出したのは、身なりはあまり綺麗とは言えないが、
髭を蓄えた人の良さそうな中年の男性だった。探索者を見て、大きな声をかけてくる。
【探索者がそのままスルーしようとした場合】
このまま見逃そうとしていた車は手前で減速し始め、そして手前で停車した。
運転席の窓から身を乗り出したのは、身なりはあまり綺麗とは言えないが、
髭を蓄えた人の良さそうな中年の男性だった。探索者を見て、大きな声をかけてくる。
「おいどうした、こんなところ歩いて!この砂埃で車がやられたか?」
【探索者が乗せていって欲しいとロールした場合】
→歩いていると聞いた場合の追加セリフ
「歩いてきたあ!?車もなく、徒歩でここを歩いてたのか!?夜は肉食動物も出てくる、死んじまうぞ!」
「乗っていくのはかまわねえが、近くの町といっても200キロ以上あるぞ?」
「それよりも俺の家のほうが近い、泊まっていくといい!」「俺の妻の夕食もうめえぞ!」
【乗せてほしいという旨をロールしない場合】
「この辺りは肉食動物や野犬が多い、死んじまうぞ!?」
「一番近くの町でも200キロ以上ある、それよりは俺の家のほうが近い!」
「乗っていけ、泊まっていくといい!」「俺の妻の夕食もうめえぞ!」
男性は田舎特有のような情の厚さで、探索者たちに野宿ではなく自分の家での宿泊を提案する。
「ただこの車は見ての通り二人乗りでな、悪いが荷台に乗ってくれねえか?」
親指でトラックになっている荷台を指す。
→探索者が乗り込むと、次の場面へ。
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■BGM:2Car
中年男性は探索者たちに合図をして、車は走り出した。
スピードを上げるにつれて風が強くなるが、見渡せる景色も相まって、なんとも言えない爽やかな心地だ。
…騒がしいエンジン音とロードノイズに紛れて、車内から男性が聞いているのであろうラジオの音声が聞こえてくる。
"続いて、現在大きな社会問題となっている我が国アメリカの食肉問題についてです。
国営企業調べによりますと、牛肉偽装事件なども相次いでおり、ーー"
ここは"アメリカ"で間違いないようだ。
→景色、状況、ラジオに関する会話が落ち着いたところで、次の展開へ進む。
騒がしい荷台でも、会話が弾む。
探索者たちはかなりの時間、揺られていた。
→男性の家へ。
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<シーン切り替え:家「夜」>
■BGM:3HOME
2時間以上かけて、中年男性の家にようやく辿り着いた。
広大な敷地が柵で囲われ、その中に大きな木造平家の家と、
小さな小屋のある、よく見る"アメリカの片田舎"の家だ。
畜産や農業をしているのか、畑や畜舎も見える。
周りには他の建物はなく、家の裏は小規模な林のようだ。車は柵を通り抜け、家の前に停車した。
長い間荷台という乗り心地の悪い場所に座って揺られていたせいか、探索者の足腰は限界のようだ。
<注視情報>
平屋の大きな白い壁の家と、その隣に木造の小屋が建っている。
ほかにも離れた場所に大きな畜舎がいくつか建っているようだ。
柵で囲われている敷地はかなり広く、その中に畑が見受けられる。
裏の林は柵の中には含まれていないようだ。
中年男性:
「帰ったぞー!」
中年男性が家へ向かって叫ぶ。
すると、中から男性と同じく人の良さそうな、少しばかりふくよかな中年女性が顔を覗かせた。
探索者たちの姿を見ると、驚いた顔をして玄関先へ出てくる。
中年女性:
「あらあら、どうしたの?あなた、また人を拾ってくるなんて!」
中年女性はおおらかに、笑いながら言う。
中年男性:
「まんまとヒッチハイクされたさ!あそこは俺くらいしか通る奴がいねえからなあ!」
笑いながらそれに返す。どうやらこれが初めてではなかったようだ。
中年女性:
「この人は困っている人、お腹をすかせている動物を見ると放っておけないひとなの」
「疲れているでしょう?中に入って休みなさい、どうぞ」
中年女性はそう言いつつ、玄関を開放して招いてくれる。
中年女性:
「今ちょうど夕食の準備をしていたのよ」「食卓で待っていてくれるかしら?」
そういいながら、廊下を歩いた先にあるダイニングへ招く。
探索者の分の食器もテーブルの上に準備したあと、キッチンへ向かった。
<注視情報>
ダイニングは4つの椅子と、一つの大きなテーブル、
また壁際には大きな食器棚や戸棚が見られる。
飾ってある写真には家族なのだろうか、4人の人物が笑顔で写っている。
食卓に並べられた食器はどれもカラフルだったり、ポップな柄が描かれたりしている。
ダイニングはとてもいい香りが漂っている。
しばらくして中年男性もダイニングへ入ってくる。
そのタイミングで、中年女性が両手に大きな皿をいくつか抱えてダイニングへやってきた。
中年女性:
「さあおまたせ、お口に合うかしら?」「遠慮せずたくさん食べるのよ〜」
豪勢とは言えないが、あたたかな家庭料理が並んでいる。肉料理が多いようだ。
野菜は畑で採れたものなのか、豆や葉野菜が並んでいる。
中年女性:
「あら?まあ、ニュースをちゃんと見ているのね、偉いわあ」
「うちは家畜を飼っていますから!と言っても、今じゃ減ってしまったけど…」
「お肉はいいわよ、元気が出るし、命をいただいている感じがするもの」
「なにより、私の作る牛や豚、それに鶏の料理たちは、皆私たちの我が子のようなものですから」
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中年女性:
「嫌いなものがあれば、無理に食べなくてもいいのよ」「お肉は好きかしら?」
「お肉はいいわよ、元気が出るし、命をいただいている感じがするもの」
「なにより、私の作る牛や豚、それに鶏の料理たちは、皆私たちの我が子のようなものですから」
「まあ、今はいろいろな事件で、数が減ってしまったけど…」
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あのラジオの内容だろう。
夫婦によると、家畜の間で感染症が流行り、全国的に家畜の処分が大々的に行われたそうだ。
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中年男性:
「あの件で騒がれてから、検査に処分と大変でな…」
「今は残った家畜と畑で何とかって感じだな」
「買い物に行くにもこの辺境じゃ時間とガソリン代がかかってしょうがねえ!」
仕方ないといった感じで、笑いながら言う。
中年女性:
「難しい話はいいわ、食べましょう!」
出された食事はとても美味しく、中年女性は料理がとても得意なことがわかる。
味付けや火の通し加減もちょうどよく、すべてをおいしく頂けた。
何より、疲弊していた探索者にとってはどんな高級ディナーよりもおいしいものだった。
→食事の最中、簡単にお互いの自己紹介をしてよい。
以下中年男性をトム、中年女性をエリーと表記する。
…と、探索者と夫妻が食卓を囲んでいると、もう一人、別の人物が姿を現した。
■必須イベント:少年ジム
少年:
「…………」
トム:
「こらジム、あいさつくらいしたらどうだ?」
ジムと呼ばれた少年は返事をすることもなく、無愛想な表情のままパンをいくつか持つと
無言でダイニングを出て行ってしまった。
トム:
「まったく、あいつは…」
エリー:
「まあまあ、あの子も年頃なのだから…」
トム:
「悪いな、あんたたち」「あいつは息子のジムだ。最近ずっとああでな」「一緒に飯を食うこともしない…」
夫婦は寂しそうに、料理をつまんでいる。
エリー :
「ああやってパンばかり食べて…栄養状態が心配だわ」
「好きなものしか食べたくない年頃なのも、わかるけど…」
「ひとりでいるのも大事な時間だと思うけれど、一緒に食卓を囲めないのは、やっぱりさみしいわ」
「あなたたち、しばらくうちにいて良いんだからねえ」
トム:
「お、そうだ!」「うちにいるついでにと言っちゃなんだが、今人手が足りなくてな…」
「明日、とても悪いんだが…少し家畜や畑の仕事を手伝ってくれねえか?」
→手伝わない選択はシナリオ進行不可能なので、トムでロールし何とか説得する。
→手伝う意思を探索者が見せたら
トム:
「ほんとうか!それは本当に助かる…!」「ジムもあの通りで、困ってたんだ…!」
エリー :
「あら、よかったわねえ…!」「なら、私もお料理、頑張らなきゃいけないわあ!」
二人はとても嬉しそうだ。
→ここで中年男性から泊まる部屋の案内がされる。
トム :
「そういえば開いている場所が一つあるんだが、今は散らかっててな…」
「明日片付けるつもりだから、今日は別の部屋で泊まってもらいたいんだ」
トム :
「悪いなあ」「あとで案内しよう!」
エリー :
「あとは、バスルームもね!」
楽しく会話をしながら、食事を終える。
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バスルームを借りたり、部屋を案内してもらったりとしていると、あっという間に時間が過ぎていた。
案内された部屋は誰かの部屋らしく、家具や生活感がまだ使っている最中のように残ったままだ。
<注視情報>
ブルーのベッドシーツが敷かれたベッドと、木製の机、木製のクローゼットのある部屋だ。
ギターなども置かれている。なんとなく男性の部屋だろうと予想ができる。
エリー :
「明日は私が起こしに来るわね」「おやすみなさい!」
そういうと、部屋の扉を閉めて、去っていった。
→翌日へ。
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<シーン切り替え:家「朝」>
■BGM:4Farming
・・・
朝。言っていた通り、エリーが起こしに来た。
寝ぼけ眼のままの探索者をダイニングへと招く。
朝食はパンとベーコンだった。
手伝いのための英気を養った後、探索者はトムに連れられて牛の畜舎へやってきた。
元々かなりの数の牛がいたのであろう畜舎は、今は10頭ほどしかいないようだ。
<注視情報>
なんの変哲もない、田舎の畜舎だ。
木造のそれは少し劣化が目立つところがある。
代々引き継いだものなのだろう。
トム :
「この通りずいぶん減っちまってなあ」
「こいつらには感染が認められなかったし、一番の期待だ」「何とか頑張ってほしい」
【手伝いの内容】
トム :
「干し草をかき集めて、箱に入れてやってくれ」「牛たちの餌だな!」
「俺は畜舎の掃除をするから、その間に頼んだぜ!」
そういって探索者たちにピッチフォークを渡す。
→干し草を集める。
5D100を振って、300以上で大成功、300以下で成功。
【大成功:合計値300以上の探索者がいた場合(複数人可)】
対象の探索者は、干し草の中に干し草とは違うものが紛れ込んでいることに気が付く。
→報酬アイテム獲得
『西部劇のアレ』
→成功(合計値300以下)の場合、なにもない。
しばらくするとそこへトムが戻ってくる。
トム :
「おお〜!やるなああんたら!」「牛たちも喜んでる、ありがとな!」
「次は豚の方だ、いけるか?」
→豚の畜舎へ向かう。
豚の畜舎へやってきた。
丸々と太った豚が、こちらも5、6頭しかいない。
元々はかなりの数を育てていたようだ。
がらりとした畜舎は哀愁すら感じられる。
<注視情報>
なんの変哲もない、田舎の畜舎だ。
牛の方とは内部構造が違うが、木造で所々劣化している。
こちらも代々引き継いだものなのだろう。
【手伝いの内容】
トム :
「こっちの餌は重い袋を担がないといけなくてな」「俺は畜舎の掃除をしてくる、頼んだぞ!」
→いくつの餌袋を運べたか、1D5で判定する。
3以上で大成功、3以下で成功。
トム:
「おお〜〜!すごいぞあんたら!」「普段力仕事でもやってるのか!?」
【大成功:出目3以上の探索者がいた場合(複数人可)】
トム:
「あんたはものすごい量を運んでくれたみたいだな…!」「よし、とっておきのこれをあげよう!」
→報酬アイテム獲得
『風見鶏のお守り』
トム :
「頑張ってくれたし、そろそろ昼時だ」「エリーが昼飯を作っているころだな!」
「昼からは畑仕事だ、畑についてから休憩しようか」
トムは自分の服をはたきながら、探索者にそう告げる。
→畑へ
探索者とトムは、畑へとやってくる。
ちょうどついたころにエリーがサンドイッチを持ってきた。
麦芽の残る厚いパンに、ターキーらしい肉とレタスが挟んである。とてもおいしそうだ。
<注視情報>
結構な敷地面積の畑だ。
今まで畑を休めていたのか、無造作に雑草などが生えている。
トム :
「エリーのサンドイッチはうまいぞ〜!」「食え食え!」
食べ終わるころ、トムは探索者の泊まる所を片付けに行くと言い、畑仕事をレクチャーして先に家へ戻っていった。
畑は植える前の段階で、探索者は耕すのを任された。
→ここで手伝いをしながら、探索者の考えや疑問などを会話させる。
<シーン切り替え:家「夕方」>
会話をしながらだと、楽しく耕し続けられた。
夕方ごろ、トムが迎えに来る。片付けも終わったようだ。
トム:
「お疲れ様、今日は一日ありがとうな…!」「帰って夕食にしよう!」
→夕飯〜へ
再び夕食をともにし、食事を終えた後、探索者が改めて泊まる場所を案内される。
家の中を歩き、今朝とは別の部屋を案内されると思いきや、玄関を出て、「こっちだ」と言う。
外に出て案内されたのは、家の隣にあったこぢんまりとした小屋だ。
■BGM:5不穏
促されて中に入ると、そこはどう見ても畜舎。
藁が敷き詰められたままの劣化した木の床に、毛布だけが置いてある。
ほかには丸鋸などのちょっとした工具と、ラジオが一つ置いてあるだけだ。
<注視情報>
高い位置に小さな窓が1つ付いているだけで、壁も床もすべて劣化した木材だ。
トム :
「ここが新しい部屋だよ!」
トムからは、何の悪意も感じられない。
すると、今までの優しげな雰囲気は何処へ、明らかに常人ではない目をして、逆上した。
トム :
「おかしい?何がだ!!言ってみろ!!」
物凄い剣幕と声の大きさで怒鳴り飛ばす。
しかし怒鳴り上げた直後に、すぐに今までの人のいい中年男性の顔に戻る。
(追加の記憶報酬獲得に必要な逆上ポイントその1)
トム :
「ああ、いや、す、すまない…こんなこと言うつもりはなかったんだ…」
心底申し訳なさそうに、肩をすくめている。
トム : 「…その、…実は、あんたらが昨日泊まったのはジムの兄の部屋でな…」
「少し前に出て行って、帰ってこないんだ」
「…もしかしたら、明日…いや、今日帰って来るかもしれない」
「だからそのままの状態で、残しておきたいんだ…」
「すまない、すまない…あんた達は何も悪くないんだ、怒鳴ってしまってすまなかった…」
トム:
「何か文句があるのか…?」
少しだけ声のトーンが下がる。
しかし、すぐにいつもの気の優しい中年男性に戻る。
トム : 「ああ、いや、すまない…こんなこと言うつもりは…」
「…その、…実は、あんたらが昨日泊まったのはジムの兄の部屋でな…」
「少し前に出て行って、帰ってこないんだ」
「…もしかしたら、明日…いや、今日帰って来るかもしれない」
「だからそのままの状態で、残しておきたいんだ…」
「すまない、すまない…あんた達は何も悪くないんだ、空気を悪くしてすまなかった…」
そこへ心配したようにエリーがやってくる。
・トムが怒鳴った場合
エリー:「どうしたの?大きな声を出して…」
・トムが怒鳴らなかった場合
エリー:「どうしたの?暗い顔をして…」
エリー :
「みなさん、食後のデザートはいかが?」
「今日のお昼に、プディングを作ったの」「みんなで食べましょう?」
トム :
「すまない、すまない…」「みんなで、デザートにしよう」「そうしよう…!」
探索者と夫妻は家へ戻り、ダイニングでテーブルを囲む。
卵の素朴な味を残した、優しい甘さのおいしいプリンだ。
エリー :
「…あら、ビルの話をしていたのね」「ジムのお兄さんは、しばらく前に突然いなくなってしまったの」
「でも反抗的な子じゃなかったわ…きっと何かあったに違いないの」
「警察にも相談したわ…帰ってくると、私たちは信じているのよ」
トム :
「ビルはいい子だった…弟思いで、優しい子だ」
「…実はジムがああなってしまったのも、ビルがいなくなってしまってからだ」
「きっととてもショックなんだろう…」「…もちろん、俺たちもな…、」
エリー :
「このプディングも、ビルが大好きだったの」
(20〜25歳くらいの探索者がいる場合)
「貴方達と同じくらいの歳だったわ。つい思い出してしまって、作ったのよ」
「美味しそうに食べてくれてよかったわ」
トム :
「ビルは仕事も手伝ってくれていたからなあ」
「ビルがいなくなってから、手伝ってくれていたジムも手伝わなくなって、大変だ」
トム :
「…はあ、あいつらもそろそろ売らないといけないんだろうか…」
「…いや、食糧として置いておいた方がいいんだろうか…」
頭を抱えるトムは、ほとんど聞こえないくらいに小さく呟いた。牛の事だろうか。
エリー :
「悲しいお話はやめましょう、あなたたちも今日は仕事をたくさんして疲れたでしょう?」
「もう休んだ方がいいわ」「プディング、食べてくれてありがとうねえ」
「また食べたくなったら言うのよ」
優しく微笑んで探索者にそう言う。
エリー :
「ふふ、おやすみなさい」
トム :
「悪いなあ…」「おやすみなさい…」
探索者達は小屋へ戻る。
疲れもあったのか、意外と毛布と藁の寝心地が良かったのか。
すぐに寝入ってしまった。
■BGM停止
・・・
深夜。
車のエンジンがかかる音で目が覚める。
長時間ずっと聞いていて耳に残っている、あのトムのピックアップトラックのエンジン音だ。
どこかへ出掛けるのだろうか。
微睡の中そう思っている間に、走り去る音が遠ざかって行った。
…それほど気にもならずーー。
探索者は、疲れもあってか、再び眠りに落ちた。
・・・
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
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翌朝、探索者は大きな声に起こされる。
■BGM:6Tom
トム :
「大変だ!!エリーがいなくなった!!起きてくれ!!」
大声に目を覚ますと、小屋の入り口に血相を変えて飛び込んできたトムが立っていた。
トム :
「大変だ、大変だ…!!ビルと同じだ、また突然いなくなった…!!」
とてつもなく慌てた様子で、かなり取り乱している。
そのまま片方の探索者の肩を掴んだ。
トム :
「ど、どうしたらいい!?」「どうしたら……!!!」
探索者の言葉には聞く耳を持たず、慌てふためいている。
どう見ても異様な慌てようだ。
なんとかして落ち着かせないと、こちらの話に耳を傾けないだろう。
説得を試みる必要がありそうだ。
→ここでトムを落ち着かせるロールをどちらかにして貰う。
GM判断で期待値を決め、PLにダイスを振って貰う。
→失敗した場合、だんだんと肩を掴む力が強くなる。
探索者がそれに対して怒った場合は、「なんだその目は!!」とさらに逆上する。
(追加の記憶報酬に必要な逆上ポイントその2)
→成功した場合、トムが徐々に落ち着きを取り戻す。
あなたの言葉を聞いて、トムはだんだんと落ち着き…いいや、正気を取り戻していく。
完全に据わっていた目は、いつもの気の優しい色に戻った。
■BGM:5不穏
トム :
「すまない、すまない…」「突然のことで、思わず…」探索者から慌てて手を離す。
「少し、落ち着いた、ありがとうよ、ありがとう…」
トム :
「トラックを動かした形跡はあるが、車が戻ってきているということはまだ近くにいると思うんだ…」
「お前たちも知っての通り、徒歩でどこかに行けるような場所じゃない…」
→車の免許は全員持っている旨を、トムから説明してもよい。
トム :
「免許がないと生活できないからな、ジムもエリーも、運転はできるんだ」
「あれは家族の車だからな、誰が乗っても構わないんだ」
→探索者から聞かれたことは、怪しまれない程度に適当に答えて下さい。
トム :
「俺は一刻も早く探しに行きたい、でも、今日だって家畜の世話がある…」
「た、頼めたり、しねえか…?」「俺は裏の林を見てくる、」
トムは車の荷台から、木製のライフルを降ろして抱えた。
→探索者が承諾すれば、次の展開へ
トム :
「悪いな…本当に君たちには頭が上がらない…」
「朝飯の支度ができていなくて、すまないな…」「本当にすまない…」
「腹が減っただろう…」「すまない…」
朝食の用意ができていないことについてだけ、何度も何度も謝る。
トム:
「じゃあ、行ってくるからな、」「そうだ、柵の向こうには出るなよ」
「野犬だけじゃなく、ピューマもいるんだ、この辺りは…」
釘を刺すように言って、家の裏の林へと向かっていった。
探索者は見送った後、昨日と同じように牛の畜舎へとやってくる。
やることは同じだ。とりあえず、できることをやろう。
そしてトムの異変と違和感について、話し合った方がよさそうだ。
→ある程度会話をしてもらった後、次の展開へ。
……話しながら畜舎で働いていると、そこへ息子のジムが顔を出した。
探索者を見ても顔色一つ変えない。
ジム :
「………なにしてんの」
そして、そうたった一言、無愛想に聞いてきた。
ジム :
「……」「……ふーん…」
話を聞いても何一つ答えることもせず、それだけ言うと去って行ってしまった。
やはりこの家族は、何かがおかしいと決定的に感じるだろう。
常人なら、違和感に気が付くはずだ。常人じゃないなら、わからないかもしれないが。
今すぐこの家を出た方がいいのでは?そんな考えに突き動かされるだろう。
→ここで探索者に行動を選んでもらう。
この家から離れるか、トムの帰りを待つか。
家から出る選択をする場合はAへ。
トムの帰りを待つ場合はBへ。
もしそれ以外の行動"家の中を探索する"や、"裏の林へ行く"などをする場合、
畜舎を出た時点でトムに「どこへ行くんだ?もう仕事は終わったのか?」と
声を掛けられる。
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車が通る踏みならされた土の道を行けば、この敷地を囲っている柵が途切れているのが見える。
あそこまで、行って仕舞えば。
畜舎から出て、土の道を歩き始めたとき。背後から声がかけられた。
トム :
「どこへ行くんだ?」
林へ向かったはずのトムが、銃を抱えたまま立っていた。
トム :
「…外は危ないと言っただろ?腹を空かせた肉食動物がうじゃうじゃいるんだ。いつ襲われてもおかしくないぞ?」
「そうだ、腹が減らないか?もう昼を回っている」「家に戻って昼飯にしよう!」
「今日はとびきりのサンドイッチを、俺が作ってやろうじゃないか!」
「エリーのサンドイッチほどおいしくないかもしれないが…」「なあ、そうしよう!」
「腹が減ってどうかしてたんだろう?腹が減るとイライラしてしまうからな!」
捲し立てるように話すトムは、気さくに話しているが、とても正気には見えない。
しかしこれに逆らうと、また豹変してしまうかもしれない。
目の色が変わってしまっていた時の表情が、脳裏に浮かぶ。
トム :
「ほら、突っ立ってないで行くぞ!な!」
トムは背後に回り、二人の背中を押して、家の中へと招く。
→ここで逆らうとトムは再び逆上する。
持っていたライフルを構えると、「俺に逆らうのか!?」と怒鳴った後、
前と同じように気の優しい中年男性に戻ってしまう。
触発せず、おとなしく従った方がよさそうだが…。
(追加の記憶報酬獲得に必要な逆上ポイントその3)
ここで従えばCランチへ進める。
→それでも探索者が逆らう場合、片方を撃って構わない。
探索者を撃った場合、撃たれていない方の探索者を無理やり拘束し、
そのまま9.家畜小屋へ。
ただしこの撃たれる展開は、希少報酬の条件となる。
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昼頃、トムが戻ってくる。
手がかりがなかったのか、肩を落として悲しそうな顔をしている。
トム:
「裏の林にはいなかった…」「ただ、野犬が歩き回った形跡がある」
「あんたたちに何もなくてよかったよ…」
トム:
「そうだ、家畜の世話、ありがとうな」「そろそろ昼飯時だ、家に戻って昼飯にしよう!」
しっかりと食欲だけはあるようで、探索者の背中を押して家へ招く。
→Cランチへ。
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そのまま探索者はダイニングに座らされる。
トムはライフルを肩からかけたまま、サンドイッチを作っている。
→ここで探索者に多少の会話をさせても構わないが、
NPCに危害を加えるなどの行為をした場合Aの最下部の展開となる。
ただしこの場合は希少報酬を得られない。
しばらくしてトムがダイニングへ戻ってくる。
トム :
「さあできたよ、俺お手製のサンドイッチだ!」
食卓に運ばれてきたサンドイッチは、見た目は不格好だが
美味しそうな肉と新鮮な生野菜が挟まれている。
豚肉をスライスしたものだろうか。ハーブやスパイスで、香ばしく焼かれている。
大きなサンドイッチだ。それぞれ探索者の前に置かれる。
そしてトムも大きな口を開けて同じサンドイッチを食べ始めた。
→ここで食べない場合、トムが「おい、なぜ食べない?」
「俺が作ってやったんだぞ!」と再び逆上する。
(追加の記憶報酬獲得に必要な逆上ポイントその4)
そのまま食べれば下記へ、食べなければ無理やり食べさせて構わない。
→探索者が食べれば、次の展開へ。
濃厚な肉の風味にハーブとスパイスの香り、生野菜の歯応え。
エリーが作ったサンドイッチと同じくらい、おいしいサンドイッチだ。
■BGM停止
……………………不思議だ、まぶたが重くなってきた。
咀嚼して、飲み込んでいる、はずなのに。
ふ、と、意識を失った。
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<シーン切り替え:家「夜」>
■BGM:7Horror
Schoiceのシークレットダイスで目を覚ます探索者を決める。
もしくはGM判断で決めてもよい。
・・・
………目を覚ます。
目を覚ましたのは、○○、あなただけだ。
暗い場所にいることがわかる。そして肌寒く、身動きが取れないことにも気が付く。
手足を拘束されているようだ。隣に誰かが同じように横たわっていることもわかる。
<注視情報>
薄暗くてほとんど見えないが、隣にいるのは共に泊まっていた探索者であることがわかる。
→Aで撃たれた場合は、以下の追加ロールを入れる。
突然撃たれ、そのまま拘束され、そのあとどうしたのだったか。
→もう一人の探索者には意識のないままでいてもらう。
○○は目を閉じたまま、微動だにしない。
光源がないので薄らとしか見えないが、ロープのようなもので手足を縛られているようだ。
まるで、家畜のように。
意識がやっと覚醒する頃、この場所に音が近づき、目前で止まった。
扉が開かれる。
ここは自分たちが寝泊りしていた小屋で、扉が開いてもそれほど明るくはない。深夜だとわかる。
入り口に立っているのはトムだ。
手には肉切り包丁とロープを持って、薄らと困ったような笑みを浮かべている。
トム :
「ああ、ああ……目を覚ましたんだな、そうか…」
「大丈夫、痛くしないよ、一瞬だ」「牛や豚、鶏だってそうなんだからなぁ」
優しげに語りかけるが、目は明らかに常人のそれではない。
突然逆上した時と同じ、狂気の目だ。
そんな目で探索者達を見ている。
(追加の記憶報酬に必要な逆上ポイントその5)
→ここで別の探索者に、目を覚ます許可を出す。
トム :
「大丈夫、大丈夫だ」「すぐに終わる、悪かったなあ…」
まるで動物をなだめるような声でそう言いながら、一歩、一歩と近づいてくる。
トム :
「あんたは明日、あんたは明後日にしよう」順番に指を指す。
「ああ、あぁ…………腹が減るんだ……………」「あんた達も、同じ事をしたんだよ」
「美味しかっただろう?エリーや俺の作った料理は」一歩、一歩。
トム : 「牛や豚はなあ…もう食えないんだ…」「買い取っても、くれねえんだ…」
「さあ、旅立つ時だよ」「絞めたばかりの肉は、とびきり美味しい…」
トムの探索者を見る目は、家畜を出荷する前の、畜産農家の切なげなそれだった。
何か、何か打開できるものはないか。
→ここで、片方の探索者に秘話で"床に置かれた丸鋸"の存在を知らせる。
…あなたのすぐそばに、据え置き式の丸鋸があることに気が付く。
これで、足のロープを切断することができれば…。
→丸鋸を見つけた探索者に切断ロールをしてもらう。
その時、あなたは丸鋸でロープを切断することに成功する。
まだ腕は縛られたままだが、目前まで迫ったトムに、体当たりを仕掛けることはできそうだ。
体当たりをすると不意をつかれたトムはよろめき、肉切り包丁を手放し尻餅をつく。
刃渡りの大きな包丁はこちらへと滑り寄った。
■BGM:6Tom
今がチャンスだ。
トムがよろめいてから起き上がるまで、体のロープを切断するのは一か所が限界そうだ。
あなた以外の探索者の足のロープを切るか、自分の腕のロープを切るか。どちらにしよう。
→自分の腕のロープを切った場合
手足が縛られたままの探索者はすぐに襲われるだろう。
トムはロープしか持っていないので、首を絞めにかかる。
その場合自由な探索者は肉切り包丁などでトムを襲って良い。
襲われたトムは悲鳴を上げ、その間に別の探索者のロープを手足とも切る事ができ、逃げ出せる。
→10.エンディングへ
→他者の足のロープを切った場合
起き上がったトムは手に残されたロープで、先にロープを切った探索者を襲う。
そこでもう一人の探索者が、トムを攻撃してよい。
トム :
「っぐ、何をする…!貴様あ!!」
あの逆上した時の目の色、声色になっている。
逆上したトムは肩から掛けていたライフルを手に構えた。
「家畜のくせに!!俺の!!食料の!!くせに!!」
→ここで探索者に反応を煽る。肉切り包丁などの武器を使ってもよい。
→10.エンディングへ
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小屋から飛び出した探索者は、背後から絶叫に近い断末魔を聞いて、振り返る。
野犬の群れだ。
腹を空かせた野犬が多いと、トムが言っていた。
集団の野犬に襲われたトムの悲鳴は、やがて聞こえなくなる。
ジム :
「なに、してんの…?」
矢先、ピックアップトラックの横。ジムが立っていた。
前に聞いた時より、少し感情を含んだ声をしている。
ジムは探索者の後ろの様子を見て、絶句している。
そしてその直後ゆっくりと、その表情が笑みへと変わった。
ジム :
「ありがとう…!」「父さんを、殺してくれたんだ…!」
初めて見る笑顔は、ひどく不気味で、そして狂気を孕んでいる。
ジム :
「どうして?」
「兄さんがいなくなったのも、母さんがいなくなったのも、全部父さんのせいだからさ!」
「お前らだって、わかってたんじゃないの?」「頭おかしいってさ!」
ジム :
「俺だって、いつ"出荷"されてもおかしくなかったんだ」「…もちろん、お前らもね」
→トムがなぜそうなってしまったのかという問いがあれば、深くは語らない
ジム :
「…こんなご時世だからさ」
ジム :
「ねえ、野犬、父さんで腹いっぱいになるかな?」「早く逃げた方がいいんじゃないの?」
そういってジムは、片方の探索者に車のキーを投げ渡した。
「ここから西に400キロくらい走れば、街に出るよ」
*1ジム :
「……俺は、ここから離れられないんだ」
「兄さん、まだ、ここにいるから」
それだけ言うと、かかとを返して家に戻って行ってしまった。
→もしも運転できる探索者がいなかった場合、*1はロールせず以下のロールになる
ジム:
「免許、持ってないの…?」「…仕方ないな、俺が町まで連れてってあげるよ」
ジムは運転席へ乗り込み、探索者に荷台に乗るよう促す。
「安心してよ、もう変なところに連れてったりしないさ」
・・・
■BGM停止
柵の切れ目を通り抜け、舗装された道へと出る。
・探索者が運転している場合
言われた通り、車のダッシュボードに付けられたコンパスを頼りに、西へ向かう。
・ジムが運転している場合
ジムが運転する車は、そちらが西なのだろう。右折してまっすぐ走り出す。
…………変化のない景色を見ながらひた走っていると、あたりが明るくなってくる。
背後の東方面を見ると、朝日が登り始めるところだった。
→ここで探索者に話したいことがあったらどうぞ、と最後の会話をしてもらう。
拠点に戻った後のロールはない。
会話もほどほどに、車のエンジン音に耳を傾けていると、激しい眠気が襲う。
寝てはいけないと戒めるものの、意識を失うまで、そう時間は要さなかった。
視界が一気に真っ白になり、そして、ブラックアウトした。
・・・
が大きく跳ねて、一気に覚醒する。
激しい動機と全身の震えを覚えて、落ち着かせるために視界にある自室の天井を眺める。
そうしているうちに、記憶が徐々に戻ってくる。
広大な荒野、砂埃、タイヤが道を滑る音、雑音のようなラジオの音声、
木造の大きな家、良いにおいではない畜舎、暖かな家庭、温かな、料理。
途切れ途切れに、記憶の断片だけが残ってくる。
誰と共にいたのか、その数日間をどのように過ごしたのか。たったそれだけの記憶が。
それでも、一体何をしに行って、どう帰ってきたのか、それだけはどうしても分からない。
空腹を感じた。今にも腹が鳴りそうだ。ただひたすらに、
"何か食べたい"と、ベッドから抜け出した。
■BGM:8ED
→シナリオクリア
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▽シナリオクリア報酬
・ステータスUP+5
・SP+30
・自身の「家庭」に関する記憶の一部
(もし同じ内容の記憶を所持している場合は「住処」に関する記憶の一部)
▽条件達成による追加報酬
【出された食事をすべて食べた探索者のみ】
・自身の「食欲」に関する記憶の一部
【トムの逆上を2回以上見た探索者】
・自身の「狂気」に関する記憶の一部
▽希少報酬
林から戻ったトムに、探索者どちらかが撃たれることが条件
【自身の危険を顧みず、2度も反発した探索者1人のみ】
・
『反逆のブルズホーン』
もしこの希少報酬が取得済みだった場合、以下のアイテムを手に入れる。
条件を満たしてしていれば取得個数は問わない。
・
『子牛の反抗』
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