見た目は子供、中身も子供。










「ねー。」
「あー?」
「寒い。」
「あぁ。」
「…あっためて。」
「あー?」

 全部「あー」しか言ってないじゃん。

「俺と会話する気ある?」
「あぁ。」
「ないでしょ。」

 めんどくさそうに俺を見て、めんどくさそうに「んな事ねぇよ。」って言って、猛はまた新聞に目を戻した。

「うそつけー。」

 背中をソファに凭せ掛けているせいでむき出しになったお腹に飛び乗る。「ぐふっ」と何やら鈍い声が聞こえたけど無視した。

「…痛い。」
「寒いんだってば。」
「…俺の話聞いてよ。」
「猛だって俺の話聞いてくれないじゃん。」

 これ以上口論しても無駄だと思ったのか、猛はまた新聞を読み始めた。
 それが面白くなくて、猛のお腹を抱え込むようにして抱きついたけど、やっぱり何も反応しなかった。

「たけるー。」

 返事は無い。

「ねー。」

 やっぱり返事は無い。

「ねー…俺達ってさ、付き合ったんだよね。」
「…あぁ。」
「もうすこーし構ってくれても良くね?」

 猛の手が俺の頭に伸びて、2、3回わしゃわしゃと撫でられた。だけで終わった。

「…こんだけ?」
「今新聞読んでるから後でな。」
「…っ!」

 むかついた。俺は新聞以下かよ?

「もういいっ!」

 起き上がってソファから離れようとしたその時、腕を掴まれてそのまま引っ張られた。
 後ろに倒れ込んで頭が猛の膝に乗る体勢になる。膝枕だ。

 猛はそのまま俺のおでこにちゅっと軽いキスをした。

「もうちょいだから待ってて。」

 そう言ってまた新聞を読み始める。

 へへ、ちゅーされた…。

 俺はさっきまでムカついてたのも忘れておでこを撫でた。

 猛の膝は温かくて気持ち良かった。
 俺って単純だなぁ、とか思いながら、俺は目を閉じた。



 今なら、良い夢見れそうだ。







-END-






子供はちょっと優しくするとすぐなつく。

単純で可愛い。




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