爽やかな朝。真っ青な空。真っ白なシーツにふかふかのベッド。

 隣で寝ているのは裸の幼馴染(男)

 そして何故か裸の俺。
 
 
 
 
 
 …あれ?
 
 
 

  
 お父さん、お母さん。

 僕は男と一夜を共にしたようです。
 
 









fever night













「な、な、なななななな何してんだお前ぇえっ!?」

 俺の隣で気持ち良さそうな寝息を立てる幼馴染の健人の肩を掴んで全力で揺さぶる。

「ん、が、ぐ、う、…う?」
「う?じゃねええええええええええええええええええっ!」

 ほっぺに往復ビンタ。
 少し寝ぼけていた健人もその衝撃でいい加減起きたみたいで、何が起きているのか分からなさそうな顔で俺の事を見ていた。

「なんで俺将に殴られてんの。」

 そこじゃねぇ!もっと、もっと他に突っ込むとこあるだろがっ!

 思わせぶりに視線を下へ泳がすと、健人もつられて視線を下へ流した。

「あー…、そっか。」

 そっか、て何!?何その反応!?

「そういや俺達エッチしたんだっけ?」

 ボサボサの頭を掻きながらにへっと笑う健人。その言葉を聞いて俺は失神しそうになった。
 
 
 
 
 
 
 


 
「………で、つまり…」
「エッチしたんだって。昨日。」
「だぁぁあっ!言うなっ!!」

 とりあえず下着を穿いて、俺は冷静に何が起こったのかを思い出そうとしていた。
 だが何も思い出せない。…まぁ、あんだけ酒飲めばそうなるよな。確かに飲みすぎたよ、うん。
 生まれて初めてのお酒で、同級生とめちゃくちゃ盛り上がったさ。調子に乗って浴びるように飲んだよ。飲んだ。

 でも、だからって、こんな事…あるか?

 本当に健人の言うような事実があったのかは疑わしかったが、2人とも裸で健人ははっきり覚えてて俺が何も覚えてないと来れば、まぁ事実の線も色濃い。

「なぁ…ホントに「ホントだって。」

 何度投げかけたか分からない質問を健人にしたが、同じ答えしか帰ってこなかった。

「…覚えてないの?」
「全然全く何にも。」
「そっか。」

 健人は頭をポリポリ掻きながら上着を着始めた。
 俺は本当にこいつとセ…セ………をしたのだろうか。
 もし本当にしたならこいつもう少しなんか反応しないか?普通。気持ち悪いとか、恥ずかしいとか。

「将。」
「ん?」
「思い出させてあげるよ。」
「へ?」

 その言葉に固まる俺を、健人は押し倒して跨ってきた。
 不敵な笑みを浮かべて俺を見下ろす健人。

「…あのぅ…これは…一体…」
「昨日の再現してあげるよ。そしたら思い出すでしょ?」

 そう言うと健人は俺の頬をそっと撫でて、それからゆっくり顔を近づけてきて、ゆっくりキスを

「ちょっ、健人っ、待てっ!ストップ!ストーーーーップ!!」

 ギリギリで健人の顔を止めて押し返した。


 や、やばかったぞ、今の。

 
「わ、悪かった。…認めるから。昨日の事認めるから、そんな無理して再現してまで思い出させようとしなくていいよ…。」

 健人はキョトンとした顔で俺の事を見つめている。

「ほら、それにさ、俺達酔っ払ってたし、さ。若気の至りってやつだよ、なっ?」

 健人は俺の言葉を聞いてしばらく黙った後、静かにこう言った。
 
 
 


「俺、昨日お酒飲んでないよ。」
 
 


 
 なんだと。



「え、じゃあ何?お前シラフで俺と「エッチした。」

 にっこり笑う健人。空いた口が塞がらない俺。

「でもちょっとショックだなー。両思いかと思ったのに。酔った勢いだったんだ。」
「待て何の話だ。」
「…本当に覚えてないの。」

 健人は少し呆れたような声を上げたが、すぐに話を続けた。

「昨日さぁ、べろべろになった将を担いでここまで連れてきたわけよ。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。…で、なんかいいムードになったから」
「なったのか」
「なったよ。なったから告白してみたわけ。」
「何て言ったんだ。」

 ちょっと気になったから聞いてみた。

「好きだからエッチして。」
「ストレートすぎる。」

 獣か。

「そしたら将がいいとか言うから…」
「おおお俺オッケーしたのか!?」
「うん。だからちょー嬉しかったのに…。」

 俺も獣か。

 いくら酔ってたからってまさか幼馴染(しかも男)に手ぇ出すなんて。
 昨日の自分を蹴り上げたい。

「…てか、健人俺の事好きだったのか。」
「…うん。」

 気付かなかった。結構長い付き合いってか、小さい頃から高校入った今でもずっと一緒だったけど。
 なんか…複雑だなぁ…。

「まぁ、覚えてないのは仕方ないよね。」

 健人は笑ってそう言った。けど、内心どう思ってるんだろ。
 好きな奴に告白して、オッケーされて、エッチまでしたのに、相手がそれを覚えてないなんて。

 悲惨だなぁ、とまるで他人事のように考えていた。

「なぁ、健人、その…なんか、悪かったな。俺、自分がそんなに酒癖悪いとは思わなくて…」
「まぁ、覚えてなくてもヤっちゃったのは事実だし、1回も2回も一緒だよね?」

 俺の言葉をまるで無視して、健人は俺の頬にちゅっと軽いキスをした。あまりに不意打ち過ぎて反応出来なかった。

「へ?」
「ってことでしよっか。寝起きの一発。」

 そう言うと健人はさっき着たばかりの上着を脱いだ。

「責任とって俺の事貰ってね?」

 ちょ、まて…。

「しょう〜」



 うわぁあぁぁぁぁぁぁああぁぁああああああああああああああ―………
 
 
 
 
 






 
 
 教訓。

 お酒はほどほどに。







-END-






こういうアホみたいなノリ大好き。





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