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「粥作ったから、食えよ。薬も置いとくから。」
そう言って辻岡は部屋を出て行った。
初めて入った辻岡の部屋。
予想通りっていうか…すっげぇ汚い。
僕が今座っているベッドだって、足先の方には洋服だかユニフォームだかの山が出来ている。
派手なカーテン。シールだらけの机。床には漫画とか雑誌とか、多分昔のであろう教科書達が乱雑に積まれている。
らしい、って言えば、らしいよなぁ。
小さく笑って、隣に置かれていたお椀を手に取った。
食欲はあまりなかったけど、折角作ってくれたものを残すのは気が引ける。
見慣れない光景に目を瞬かせながら、僕は温かいお粥を口に運んだ。
お粥も、久しぶりに食べるなぁ。
一口食べると、懐かしい香りが口に広がる。ずっとずっと昔に食べた、母さんのお粥の味を思い出す。
食欲はないと思っていたけど、お椀一杯のお粥はあっという間に無くなった。
「ごちそうさま。」
誰が聞いている訳でもない。でもただ言いたくなった。
薬を水で流し込んで横になる。相変わらず頭はぼんやりしていたけど、不思議と気分は楽になっていた。
「お、全部食ったか。良かった。」
ドアを開けて入ってきた辻岡の髪は濡れていた。どうやら風呂に入っていたらしい。シャンプーの良い匂いがした。
手には何故か小さな桶を抱えている。
…あれ、この匂い…
「辻岡の家、僕の家と同じシャンプー使ってるんだ。」
「あ?へぇそうなのか。」
「うん、同じ匂いがする。この匂い好きなんだよね。」
「ふーん…。」
辻岡はタオルで頭を拭きながら、ベッドに腰かける。伸びてきた手が僕の額に触れたけど、やっぱり冷たかった。
「まだ熱ぃな。風呂に入れる訳にもいかねぇし、体拭いたらさっさと寝ろよ。」
「ん…。」
そう言って辻岡は持っていた桶からタオルを取り出す。
………体拭い、たら…?
「響、バンザイ。」
「ちょっと待て僕に何する気だ。」
「え?拭く。」
さも当然のように僕のジャージ(いや正確には辻岡のなんだけど)を脱がしていく辻岡。
「な、なんだよ拭くって……うわ落ちつけ「うっせぇ大人しくしてろ病人!」えー…」
体育着もあっという間に脱がされて、更にベルトにまで手を掛けられる。
ちょ、ホントに、洒落にならないから…
制服のズボンも脱がされた。今僕辻岡の前でトランクス一丁。
何この羞恥プレイ。
せめてトランクスだけは死守しようと体を丸めると、背中に温かいタオルが触れた。
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