僕は割とクールだと思う。自分で言うのもなんだけど。

 笑いを取れるようなキャラじゃ無いし、取りたいとも思わない。とっつきにくいって言ったら語弊があると思うけど、まぁそんな感じ。
 そんなに熱くなる事なんて無いし、周りからも雰囲気が大人っぽいなんて言われる。

 今までずっとそうだったし、それが"僕"だと思っていた。



 だから、初対面の人間に「ドチビメガネ」なんて、言われた事無かったし言われるとも思って無かった。



 辻岡は変な奴だった。

 高校に初登校したあの日、偶然隣の席になった辻岡の開口一番はその一言だった。
 よろしくとか自己紹介とかそんなもの全部すっとばしてのその一言。挙句の果てに僕の眼鏡が似合わないと笑いやがる始末。

 その時の正直な印象を言えば、「こいつウザい」だった。
 
 そもそも僕はドチビなんて言われるほど低身長じゃ無いし、辻岡だってそこまで身長が高い訳でもない。
 身体の差を特筆するとしたらそれはおそらく体格という事になるんだろうけど(辻岡のガタイが良すぎるんだ。僕が貧弱な訳じゃない。断じて)、それにしたってドチビと言われる程の差は無いはずだ。多分。



 とにかく、そんな感じで初対面の印象をばっちり最悪に決めた辻岡は、僕の中で"関わりたくないやつランキング"ぶっちぎりの1位になった。
 だから次の日からシカトを決め込もうと思っていたのに、辻岡は何を思ったのか事あるごとに僕に声を掛けるようになった。
 2人1組のグループ決めなんてあった日には、僕に拒否権なんてものは無くなる。

「響!グループ組もうぜ!」
「いや僕もう他に「嘘吐くなよおらこっち来いって!」え、おいちょっと。」


 僕 + 辻岡 = ニコイチ


 そんな位置付けがクラスの中で決まるのに、そう時間はかからなかった。









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