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酔っ払い
「カズぅ〜お酒ちょーだ〜ぃ。」
「うっせぇ近寄るな。」
なんでこいつベロベロなんだよ…。
抱きついてこようとするハジメを左手で押し返しながら、俺はテストの問題に向かった。
俺とハジメは幼なじみだ。保育園からずっと一緒で、高校の志望校も2人共同じ学校。そんなにレベルの高い学校ではないから、俺は問題無いけど、ハジメはなぁ…。こいつ勉強しないんだよな…。
今も塾だってのに何故か酔ってるし。
「うへへへへへ〜。」
ハジメは今度は前の席の奴に抱きつこうとしていた。駄目だこいつ泥酔してやがる。
「先生、ハジメが酔っ払ってるんで外で酔い覚まさせてきます。」
俺はハジメを抱えて教室の出口に向かった。
「そこらへんに吐かせるなよー。掃除めんどくさいからな。」
酒飲んでた事にはツッコミ無しかよ。先生適当だなおい。
俺達は外に出て、風が強く吹いている階段のあたりに座った。さすがに11月にもなると肌に当たる風が冷たい。これなら酔いも覚めるだろ。
携帯をいじっていると、ハジメが俺の肩に手を置いてきた。またか、と押し返す準備をしていると、不意にハジメの唇が俺の唇と重なった。
ちゅっ
「わはー、カズとちゅーしちったぁ〜。」
訳が分からず固まっていると、再びハジメがキスをしてきた。げっ、しかもディープかよ。
ハジメの舌が俺の口の中で暴れていた。お酒の匂いが少し残っていて、俺まで酔っ払ってしまいそうだった。顔を反らすと、ハジメは俺の顔を掴んでまたキスをしてきた。
「んっ…っふ」
思わず声が漏れる。なんかすごいエロい気分になってきた。ハジメは俺の口から舌を離すと、今度は首に吸いついてきた。あー…なんか気持ち良…って馬鹿こら。
俺はハジメを跳ねのけて脱がされかけた服を着直す。今さり気なく襲われそうだった。
駄目だ、2人きりは危ない。何されるか分かったもんじゃない。
ぶーぶーと文句を言うハジメの首根っこを掴み、引きずって行く。
「カズぅ〜、愛してるぅうう〜。」
引きずられながら何故か幸せそうな顔をしているハジメをよそに、俺はさっきの自分の行動に混乱していた。男とキスしちゃった…。あぁもう。
俺はキッとハジメを睨む。
…でもまぁ…ハジメなら別にいっかな。
そんなことを考えながら、俺は教室へ向かった。
-END-
酔っ払った人は何をしでかすか分からなくて面白い。
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