忘却










「っや、めてぇ…いぁっ……やだぁ………」

 手足の自由を奪われて、視界を遮られて、そんな僕の体に与えられるのは過度の快楽だけ。

 どうして僕はここにいるんだっけ。

 分からない、思い出せない。

「はっ、はっ、はぁっ…!」

 ガツガツと腰を振る男の荒い息遣いだけが僕の鼓膜を刺激する。

 抵抗できない僕の身体を、力任せに抱く男。
 腰をがっちりと固定されて、ひたすらに揺さぶられる僕の体は、酷い事をされているはずなのに何故か気持ちいいとしか感じなかった。

 男の手が皮膚に触れる度、そこから熱がまるで衝撃波のように体中を散らかしていく。
 ジンジンと熱くなる感覚はそのまま股間へと流れて、気が狂いそうな程の快感を僕に与えた。

「お、ねが、ぃ…やぁっ…や、あ、っぁ、あん…っ!」

 最初は精一杯抵抗していたはずなのに。

 身を捩る仕草は今や自分でも分かる程に淫らで、流れる涙は恐怖でも悲しさでもなく、体が示す悦びの証だった。

 結合部から卑しく響く水音。この行為特有の鼻を突く臭い。

「へ、へへ…おら、仰向けになれよ。」

 それまで四つん這いにした僕を犯していた男は、ごろんと僕の体を仰向けにして、足の間に体を割り込ませた。

 持ち上げられた両足が男の肩に掛けられたせいでくの字に曲がった体では呼吸が苦しい。

 男はそのまま僕の中に侵入してくると、再び腰を振り始めた。

 男の唇が僕の唇に重なる。

 汚い舌が僕の口の中を蹂躙して、歯列をなぞった。

「っふ、ん、ぐ…っ」

 男の手は僕のペニスを激しく扱いている。
 お尻を突かれて感じる快感と、前から与えられる快感で、僕の体はだらしなく弛緩した。

 ビクビクと痙攣したように跳ねる体は最早自分の意思で動かす事もできず、ただ男の玩具と化す。

「オラッ、ケツだけでイけよっ。思いっきり激しくしてやるからよぉっ!」

 深く、深く。

 体を貫くかのような律動は、僕の頭を簡単に壊した。

「っあ、ひぁっ…あ、あんっ、っあ、あああぁっ!」

 響く、嬌声。

 体を命一杯反らせて、自分から快感を貪る。

 突かれる度に僕のペニスは揺れて、先走りをだらだらと垂らした。

「オラッ!オラッ!!」
「あんっ、っあ、…ああああぁああっ!」

 ビュルッ、という生々しい音と共に、体中を快感が走り抜けた。

 それから程なくして男も果てた。
 ゴムも何もつけていなかった為に、僕の中には男の汚らしい精液がぶちまけられた。

 じんわりとお腹に広がる熱い感覚。

 これで何度目だろう。

 昨日の夜から散々犯された僕の体は、未だに精を吐き続ける。

「…へっ、へへ…どうだよ、薬はしっかりキいてるか?」

 男の手がお腹の上にかかった僕の精液を擦り取って、僕の口の中へ運ぶ。

 口の中に広がる生臭い臭い。

 凄く嫌なはずなのに、何故か僕の体はまた熱を持ち始めていた。

「ちゃんとキいてるみたいだな。」

 再び芯を持ち始めた僕のペニスをやんわりと扱く男。

 何度も何度も果てたはずの体は、男の手によって淫具にされてしまった。

 抱え上げられて、抱き合うような格好になる。
 勿論両手は縛られているから、抱き"合って"はいないのだけど。

 噛みつくようなキス。
 唾液を無理矢理舌で喉の奥まで流し込まれて、むせながらもそれを飲まされる。

「っふ、ぷはっ、っは、っは…」

 息も絶え絶えに、男のされるがままになる僕の体。


 どうして僕はここにいるんだろう。

 どうしてだっけ、覚えて無いや。


 今ただ分かるのは、触れた男の体温と、体を這いずる快感だけ。


 僕の中で再び硬く熱くなる男のソレ。

「もう1ラウンドと行こうぜ。」

 再び投げ出された僕の体は最早、ただの肉便器。


  



 どうして僕はここにいるんだっけ。





 

 どうしてだっけ。





-END-






エロオンリー。

本能のままに書いた。後悔はしてない。





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