夏の恋










 ドキドキしてる。

 今僕すんごいドキドキしてる。
 
 






 
「海いこうぜ!」



 と隼人から電話がきたのは今日の朝。夏休みに入って隼人と会うのが久しぶりでもあったし、何より暑すぎたので、僕はそのお誘いを快く受けた。
 外の気温は33度。夏真っ盛りとでも言わんばかりに鳴くセミの声が、太陽の日差しをより強くしているように感じる。

 僕はその太陽の下、長いこと太陽に当てられて最高にクソ熱くなった自転車をこぎながらみんなの待つ海へ向かった。








「遅ぇーよ!みんな先に泳いでるぜ!」

 と言いながら僕を迎えた隼人は右手にジュースを、左手でうちわをあおぎながらベンチでくつろいでいた。

「何してんだよ。」

「お前の事待ってたんだよ!先にみんな泳いじまったら俺らの事探せなくなるだろ?」


 探せなくなるほど広くもないだろこのビーチ…という本音は心にしまって、素直に隼人の優しさに感謝する事にした。


「よしそんじゃ泳ごうぜ。」

 そう言いながら隼人はTシャツを脱ぎ始めた。あれ?こいつこんなに筋肉ついてたっけ?

 水着一丁になった隼人の体は、程よく筋肉がついて逞しかった。

「なにじろじろ見てんだよ?俺にホレたか?」

 と無邪気に笑う隼人に、何故かドキッとしてしまった。







 それからが大変だった。

 みんなで海ではしゃいでる時も隼人の事が気になってチラチラ見てしまう自分。
 何気なく抱きつかれたり触れられた時、なんだかドキドキして顔が赤らむのを感じた。

 「泳ぐの疲れた。おんぶして〜」

 長いこと泳いだ後、隼人はそう言いながら僕の背中にしがみついてきた。ただでさえあんな状態なのに、今隼人とこんなに密着している。心臓がバクバクいっているのがわかった。

 どうか隼人に気づかれませんように―…

 隼人はなんとも思ってないのだろうが、僕の腰のあたりには隼人の股間が当たっている。それに気づいてしまった時、僕の心臓は爆発してしまうんじゃないかってくらいバクバクして、冷たい海水で萎えていた僕のアレはやんわりと熱を持ち始めた。

 「やばい…」
 「ん?なにが?」

 何も知らずにいる隼人を押し倒してやろうかという衝動に駆られたが、どうにか抑えた。



 海からあがってシャワーを浴び、みんなでおしゃべりをした後、僕達は解散することにした。僕と隼人だけは家の方向がみんなと違ったので、帰りは2人きりだった。
 自転車を押しながらとりとめもない話をしている内、僕は気づいた。僕はきっと隼人に恋してるんだ。隼人の声に、笑顔に、何気ない動作の一つ一つに、僕の心がドキドキしている。



 今は2人きりだ。言うなら今しかない。



 僕達が男同士だとかそんなことは頭になかった。ただ隼人にこの気持ちを伝えたかった。





 「隼人―…」





 僕が急に立ち止まったのを不思議に思ったのか、隼人は振り返って僕を見た。











 「…好きだよ。」









-END-







引き締まった水着姿っていいよね。






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