モデルパロ
年下月島×年上六臂







先日池袋を歩いていると「君…モデルしてみない?」と、いきなりスカウトされ今に至る。


指定された建物に来たはいいが、何をすればよいか分からず辺りを見渡していた。


「あ、もしかして君が新人さん?俺は八面六臂。よろしくね」

「あっ…は、はじめまして!月島静雄で…いたっ!あ、す…すみませんっ!」


いきなり声をかけられ驚いたせいで頭を下げた瞬間机にぶつかってしまった。慌ててろっぴという男の方を見ると、目を見開いて固まっていた。

初日からやってしまった……どうも人と話す時は緊張してしまい、いつも何か失敗をおかしてしまう。


「!?……あははっ!落ち着きなよ……ね、つきくん!今日からもう撮影始まるんだよね?なんか俺、楽しみかも」


初めは俺の慌てっぷりをみて固まっていたろっぴという男は、少しずつ口元を緩め気さくに話しかけてきた。


俺、しくじって…ない?


「つ、つきくん…?」

「あ、これからはつきくんって呼ぶね!その方が親しみやすいだろうし。俺はろっぴで良いよ!」


このろっぴという男は自分と違い、なんというか…オーラがある気がした。そのせいか周りから少し孤立しているように見えた。しかしなぜか目が放せない。


「ろっぴ…先輩…?」

「先輩なんて付けなくていいのに」

「えっ、じゃあ…ろっぴさん」

「んー…まぁいっか。じゃあそういう事で」


ろっぴさんは、どうみても年下である俺に親しみを持って接してくれる。

元々人と接する事が苦手な俺にとってはそういう所が地味に嬉しいと感じられた。


「は、はい!よろしくお願いします!」



***



「こんなに大変だなんて思わなかった…」


想像よりもハードな仕事内容にぐったりしていると、撮影が終わったろっぴさんがやってきた。


「あははっ、まぁ今日は特別だったからかな?」

「え?どういう…」


意味が分からずにきょとんとしていると、ろっぴさんは笑いを堪えるように横を向き咳払いをしてからもう一度俺の方を見た。


「つきくん撮影初めてでしょ?新人がでるのにいつもと一緒の内容で撮影するわけないじゃん!」

「?」

「だーからっ!普通雑誌とかって新人が入ったら紹介みたいな事するでしょ?」


俺は普段雑誌などは読まないため、どうも詳しい事がわからない。


「あれ?もしかしてつきくんって雑誌とか読まない人?」

「まぁ…」


やっぱりわかるよな…これだけ無知だと…


「雑誌もろくに読まない奴がモデルなんて…やっぱりおかしいですよね…っ」

「そんなことないと思うけど?」

「ほんとですか?でも俺全然かっこよくないし…」


全く社交的じゃなく、本ばかり読んでいる俺は今まで一度も彼女というものがいなかった。

性格のせいというのもあるが、やはり自分の容姿に問題があるのだと俺は思っていた。


「…は?」

「ろっぴさん?」

「え、つきくんそれ真面目に言ってるの?」

「え?あ、はい」


ちょっと寂しげに自分はかっこよくないと言うと、ろっぴさんは口をあけたままぽかんとした。


「えぇっ!?こんなにかっこいいのに何言ってんのさ!世界中のモテない男子に恨まれるよ!」

「え、あ…すみません…」


ろっぴさんに叱られて俺はちょっと嬉しかった。

一人でも自分を認めてくれる人がいたのだと実感することができたから。


「自信持ちなよ!つきくんかっこいいから!俺が保証する。俺が女の子なら絶対彼氏にしたいね」

「―っ!……あ、あのっ」

「ん?」


ろっぴさんの一言一言が嬉しい、なぜだろう?その疑問が最後の一言を聞いて解けた気がする。


そう、俺はどうやら一目惚れしたようだ。このろっぴという男に…


「あ…いえ…気にしないで下さい」

「そう?……ね、なんか俺つきくんの謙虚なとこ好きかも」

「すっ…!?」


自分の気持ちに気付いたばかりだというのに、ろっぴさんは突然俺の謙虚な所が好きだと言ってきた。

途端に顔が赤くなってしまった。


「あ、あれ?どうしたの?え?俺変な事でも言った…?」

「いえ、あの…ろっぴさん…好きです」


いきなり顔を赤くさせた俺を見て慌てるろっぴさんが可愛くて…


「…今なんて?」

「え?あ…すみません!な、なんでもないです!」


つい好きだと言ってしまった。

小声だったから多分聞かれてはいないだろう。


「今…好きって言った?」

「っ…」

「ねぇ、どうなの?」

「言い…ました」


聞かれていたようだ…

しかしろっぴさんは同じ性別である俺に好きだと言われたにも関わらず、先ほどと同じような調子で話かけてくる。


「本当に?」

「は、い」

「一目惚れとか?」

「……はい」


俺を質問責めするろっぴさん。
一体何を考えているのだろうか?


彼の頬が仄かに色付いているように感じるのは気のせいだろう。


「ふ、ふふっ…」

「ろっぴさん…?」

「まさかつきくんが俺と同じ気持ちだなんて!」


突然ろっぴさんが下を向き笑い出した。

状況が読めずに困っているとろっぴさんは顔をあげ、満面の笑みで言った。


「俺もつきくんの事好きになっちゃってたみたい。一目惚れなんて初めてだよ!」

「じゃっ、じゃあろっぴさん!俺と付き合って下さい…っ!」
「あははっ!喜んで!」


俺の人生初の恋が今幕を開けた―――――。



ありふれた恋心





ヘタレ(?)はやっぱりつきくんでしょう\(^O^)/そしてつきくんと言えばろっぴたん!

つきくんほんとかわいい(//∀//)はあはあ




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