×甘々
○甘すぎ







5月4日、今日は俺の誕生日。



「臨也、誕生日おめでとう」

「ありがとう!」


今まで人の嫌味をかうような事ばかりしていたため、家族以外に誕生日を祝われるような事はなかった。

でも、今は違う。


「…俺達が付き合いだしてから大分たったな」

「そうだねー」

「俺が告白してOKもらった日がまさか手前の誕生日だったとはな…あの時はびびっ
た」

「こっちがびっくりだったよ。誕生日に好きな人に告白されるなんて考えるわけがない!」


そう、数年前の今日シズちゃんにいきなり路地裏に連れて行かれ、告白された。

最初は誕生日を知ってて告白してきたんだと思っていたが、俺がOKした後に誕生日を聞かれた事により俺の考えは覆された。

まさか偶然だったなんて…奇跡としか言い様がない。


「良かったんじゃねえか?いい思い出になる」

「いい思い出って…まぁ…そうだけど」

「結果よければそれでよし、じゃね?」

「そうだね」


俺達は互いに思いを伝える事をためらっていたのだ。好きだと言ってしまえばこの関係が崩れてしまうのではないか、そう思って…

道を切り開いたのは紛れもなくシズちゃんだった。


「で、話戻るけど…せっかくの誕生日だ。なんかしたい事とかねぇのか?」

「え!?突然言われてもなぁ…うーん…じゃあ今日だけ俺の執事ね!」


突然したい事はなにかと聞かれてもいい考えが思い付かず、執事、と言ってしまった。


「執事?なにすればいいんだよ?」

「……俺の言う事聞いてくれればいいよ」


いや…俺もわからない。
ごめん、適当な事いって。


「了解。まかせとけ!」



***


「で?次はどうします?臨也様」


明らかにニヤついた顔で臨也様と言ってくる。

そんな所もかっこいいと思うなんて重症かな、俺。


「だからその臨也様ってのやめてよー」

「それだけは譲れねぇ」

「もう…」

「掃除洗濯買い物…他にする事あんのか?」


元からするような事がなかったため、すぐに頼んだ事が終わってしまった。


「んー、もう無いかな…あ、じゃあさ、外行こうよ!」

「珍しいな」

「今日はシズちゃんがいるからね」


ちょっと…良い事思いついちゃった。


「いいけどよ、外行ってなにすんだよ?」

「シズちゃんの服選ぶの!」

「は?俺の…服?」

「うん!シズちゃんって身長高くて細いでしょ?いろんな服似合うと思うんだ!」


街ではいつもバーテン服で、俺といる時はなんか部屋着って感じの服を着ている。だからモデルの人が着るようなかっこいい服を着せてみたいと思った。


「…変な服は選ぶなよ?」

「だいじょーぶ!俺のセンスを信じてよ!」

「あー、はい、信じた」

「なにそれ!絶対信じて無いでしょ!」


こんなやり取りでも笑顔が零れる。

シズちゃんってすごい。


「わかったから行くぞ」

「ちょっ…待ってよっ」


そうして俺達は玄関のドアを開けたのだった。



***



シズちゃんにいろんな服を着せることができ、満足して家に帰った。


「あー楽しかった!」

「なら良かった」


そう言い静雄は嬉しそうに笑った。


「やっぱりシズちゃんさすがだよね。どんな服でも似合う…」

「そうか?」

「うん、羨ましい…」


基本的に俺の服は黒だ。
いつも黒色に囲まれて生活していたせいか、どうも明るい色が合わなく感じる。何度かいつもと違う感じの服を着てみようと思った事もあったが、きっと似合わないんだろうな…そう思ってしまい結局挑戦することはなかった。


「俺は臨也は何着ても似合うと思うぞ?」

「本当?」

「おうっ!だから安心しろ」


だからこんな事を言ってもらえると素直に嬉しいって思う。


「あぁもうシズちゃん優しすぎ!大好きっ!」


そして、そんな事を言ってくれるシズちゃんが大好きだ。


「そんなこと言われっとどっちが祝われてっかわかんねーな」

「じゃあシズちゃんも言ってよ」


シズちゃんに好きと言ってもらいたいと思っているとつい口が滑ってしまった。やばい、これはさすがに引かれる…そう思って目を逸らせようとしたが、静雄は予想を反し真っ直ぐに俺を見つめてきていた。


「臨也…好きだ、愛してる」

「っ、もうシズちゃんイケメンすぎる!なにその顔!反則だよ!」


真剣な表情のシズちゃん。


「は、反則って言われてもなぁ…」

「もっと好きになっちゃうじゃんバカッ!」


驚いた顔のシズちゃん。


「なっ…臨也今日デレ日か?」

「そんなことないっ!」


少し照れているシズちゃん。


「まぁかわいいからいいけどよ」

「〜っ!」

シズちゃんのどんな表情もかっこよく見えて、他に何も考えられない。

「もっと甘えてきたっていいんだぜ?」

「じゃ……ぎゅってしてくれる?」

「あぁ」


今日の静雄の顔はなぜかいつもの何倍も輝いて見えた。


「シズちゃん…ずっと、ずーっと一緒にいてね?俺から離れないでね?」

「もちろんだ」

「俺以外の人を好きになっちゃ嫌だからねっ!」


いつからこんなに好きになっていたんだろう?確かに前から好きだったが、こんなに頭の中がシズちゃんでいっぱいになる事はなかった。


「俺は臨也以外興味ねぇよ。手前こそ俺から離れんじゃねーぞ?」

「うん!」



もうシズちゃん以外なんて見れない…


もうシズちゃん以外を愛せない…


この責任…取ってよね?



輝く君が好き





臨也くんHappy Birthday!!



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