リクエスト
両片思い







君が見ているのは、俺じゃなくてあの人…

だから俺はいつも隠れて君の事を見ていた。


「執雄くん…苦しいよ……」


俺のこの想いが届くことは無いだろう。そんな事、分かってる…けど……


「どうしてだろうね、諦めきれないよ…君の事…」


今日もほら、あの子に微笑みかけて…嬉しそうに、楽しそうに笑って…

2人が仲良くしている所なんて、正直な所見たくなんてない。

でも、君がいるから見てしまうんだ。


「どうして、好きになっちゃったんだろうな…」



***



俺が執雄くんに興味を持ちはじめたのは、3ヶ月ほど前に見たときからだった。

その日は特別変わったこともないごく普通の日だった。俺はいつも通っている道を歩いていて、家の角を曲がろうとした時に誰かとぶつかりそうになった……そのぶつかりそうになった人こそが執雄くんだったのだ。

ぶつかりそうになり、驚いた俺は転んでしまった。

そんな俺を執雄くんは心配そうな顔をしながら「大丈夫ですか…?」と言って手を差し伸べてくれた。俺はその瞬間執雄くんに惹かれてしまった。


つまり俺は執雄くんに一目惚れをしてしまったのである。



***



今日も執雄くんに会いにやってきた。
話す事もないし、多分あっちは俺なんかには気付いてもいないだろう。

そう思いながらいつも彼らがいる場所をこっそりと覗き見してみた。


「あれ?」


今日はいつも執雄くんと一緒にいるあの子がいない。

どうしてだろうか?


「…ん?これって執雄くんに話し掛けるチャンス?」


ふとそう思い、俺は執雄くんにどうやって話し掛けるかを考え始めた。


「こんにちは?…いやいや、いきなり知らない人にこんにちはって言われても困るよね…何してるの、とか?…うーん…もっと困るよね……どうしよう…」

「こんにちは」

「っ!!!?」


1人でぶつぶつ言いながら考えていると、不意に後ろから声をかけられた。

突然の事で驚きながら後ろを振り向くと、そこにいたのはさっきまで視線の先にいたはずの執雄くんだった。


「突然すみません、私は執雄と申します」

「はぁ…俺は桜也です…」


わけがわからない内に執雄くんに自己紹介をした。

どうして執雄くんは俺なんかに話しかけて来たんだろう?

疑問だけが頭に浮かんでいた。


「あの…桜也さんいつも私達のこと見てらっしゃいますよね?」

「っ!?」

「もしかしたら日々也様に好意を抱いているのではと思い…勘違いであればすみません…」


こっそり見ていたつもりが、まさかばれていたとは…

でも執雄くんは俺が日々也さんに好意を抱いていると勘違いしているようだった。


「俺が!?違います!」

「そうですか………よかった…」

「え?」


執雄くんの声が小さくて、後半がうまく聞き取れなかった。

よかった、って聞こえた気がしたのは俺がそうだったらいいのにって思っていたからだろう。


「あの…もしよろしければ私とお付き合いしてくださいませんか?」

「……は?何言ってるの?…執雄くんは日々也さんのことが好きなんでしょう?」


執雄くんは一体何を考えているのだろう?

日々也さんの事が好きなんじゃないのだろうか?

気持ちは嬉しいし、出来る事なら付き合いたいとも思った…でも執雄くんが何を考えて俺に付き合いたいと言ってきたのかが分からないので、すぐに「はい」とは答えられなかった。


「確かに日々也様も好きですが…恋愛対象としてではなく、主人として好きなだけです。私が本当に好きなのは桜也さんです」

「嘘だ…こんなこと……本当に?」

「はい」


恋愛対象として好きなのは日々也さんではなく……俺?

これは何かの夢だろうか?
今までこっそりと見ていることしかできなかった相手に俺は好きだと、付き合ってと言われている?


「あのね、執雄くん。俺がいつも君達を見ていたのは…その……執雄くんが好きだったから…なんだよね」

「そうだったんですか?私はてっきり日々也様を見ていらっしゃるのかと…お恥ずかしい」

「執雄さん、気付いてたんだね…俺の事。いつから気付いてたの?」


ずっと叶わないと思っていた片思いの相手に好きだと言われたのだ。俺も正直にならなければいけない気がした。

俺がいつも見ていた理由を話すと、執雄さんは恥ずかしそうに頬を掻いた。

こんな執雄さん…初めて見た。


「……桜也さんは覚えていないと思いますが、一度だけ私達会ったことがあるんです…その時に私は桜也さんに一目惚れしたんです。その後ぐらいからですから三ヶ月ほど前のことでしょうかね…」

「……え?」

「桜也さん?」


こんな偶然、あるのだろうか?
たった一度会っただけの相手をお互いに好きになっていたという偶然が…


「俺…覚えてるよ、それ。だって俺もその時に執雄くんのこと好きになったんだもん」

「そうだったのですか?……では改めて、桜也さん、私とお付き合いしていただけませんか?」

「…っ、俺でよければ…よろしくお願いしますッ!」



その瞳に映るもの





匿名様リクエスト
「執桜両片思い。執雄は日々也が好きだと勘違いしている桜也」でした!

遅くなり申し訳ありません><
あれ、これだと「勘違いしていた日々也」の気が…
リクエストと違う!という場合は教えてください…(汗


▽甘エロリクエストして下さった方へ
本当に申し訳ありません…もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです……




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -