真っ暗になった被覆室は布の擦れる音と、パチンと小気味良いはさみの音がするだけ。
衣装を作っているうちに部屋の中も暗くなっているのだが、集中している七夜はその中で黙々と作業を続けている。
「おや?七夜かえ?」
夜なれば学内の部屋は全て施錠される。例外は校内に泊まる人が使うレッスン室のみ。
それなのに、被服室は僅かに扉を開けている。
あぁ、それなら悪戯をしてみるのも一興か。
零は靴音を鳴らさないように、散乱する布や椅子を避けて七夜に近づく。
目の前に立っても何の反応を示さない。
―――ダンッと窓に荒く手をついて、氷色の瞳を深紅が覗きこむ。そこでようやく目があって。
「我輩と共に踊らんか?」
「よろしい、ならば戦争だ。」
――――――夢ノ咲最凶のコンビがステージで破壊を紡ぐ――!!
(かもしれない。)
零の『踊る』は『ステージで暴れる』と言う意味です。