箱の中身は
「箱の中身はなんだろな〜♪」
『朝から高過ぎんだろ、テンション。』
朝食を取りにラウンジに向かった俺は、デカイウサギに捕まった。
大体こうゆう事は、日常茶飯事になっているからもう馴れた。
しかし朝が弱い俺からすると、このテンションはかなりくる。
終始笑顔のウサギを見ていると段々腹が立ってきた。
『で、何?』
「箱の中に入ってる物を当てるゲームだよ☆」
『え、生き物が入ってる可能性もあんの?』
眉間にシワを寄せ怪訝な顔になっているだろう俺は、クエスチョンマークがプリントされている箱を指差し、残夏に問うと
「さっきカルタたんは伊勢エビを引いてそのまま食べたよ〜」
『マジかよ…』
「ほらほら、早く引いて〜」
『…ヤダ。変なモン入ってたら気持ち悪いじゃん。無理。』
「ちよたんもカルタたんもレンレンもやったのに?」
『ヤなもんはヤダ』
首を横に振る。
それを見かねてか、残夏は「う〜ん」と考える素振りを見せる。
「折角今日の朝食に、──の大好物のケーキとコーヒーを付けて上げようと思ったのにな〜。」
『〜っ!卑怯だぞ、食べ物で釣ろうとするなんて!』
コイツ俺の好物で釣りやがった!!
「そっか〜いらないんだ〜もったいなーいっ☆」
誰もいらないなんて言ってねぇよ!
『あ゛ーもう!!分かった、やるよ。その代わりちゃんとケーキ寄越せよ!』
「ハイハイ、わかってるよ☆」
とは言ったものの
『流石に、得体の知れないものに手を突っ込むのはなー
』
「ほらほら、早く早く〜」
これをやんなかったらケーキが食えない。
つまるところ、やるしかないんだ。
『なるようになれっ』
息をのみ箱に手を入れる。
『…っあ、や…ばっ…な…に、コレ。うわぁ…も、う無理!』
箱から手を出す。
『うぇっ…最悪。残夏タオルー』
残夏に目線を移す。
しかし何故だか残夏は真顔。
『おーい』
残夏の目の前で手をヒラヒラ。
「流石に今のは読者さん達からしたら駄目だと思う。」
『は?訳わかんねぇ』
残夏から貰ったタオルで手を拭く。
「で、なんだと思う?中身〜」
『ん、ムリムリわかんね。』
「じゃあ、中身を出してみよ〜」
『え…ちょ、マジで?やめ「ジャーンっ」…』
ベチャッ
『…………』
「答えは、特大サイズのナメクジでした〜☆」
『うわぁああぁああぁあぁぁああっ!!!』
その日、一食も喉を通らなかったのは言うまでもない。
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