銀魂  黒兎 | ナノ


▼ 2


「テメェ…舐めてんのか」


怒気を孕み唸るように発せられる言葉。



『はっ…舐めてねェよ。コッチだって必死なんだよ。』



呆れた様に目を細めると、土方の癪に障ったらしい



「気に食わねェッ!!」


『うわっ…』


ドン


大振りされた木刀から逃れようと後方へ飛び退くも、背中が壁にぶつかった。


「これで終ぇだァァ!!」


振り下ろされる木刀。






「終わりだ。」

その場にいた者は誰もがそう思った。





バキン!!!!







隊士達が目を見開く。





視線の先には、砕かれた木刀。





進行の山崎や、その場にいた土方でさえも






なにが起こったのか理解できずにいた。



(何が起こった…?)



唖然とし、動かない土方。



静寂が満ちる空間で、先に動いたのは神影だった。



「!?」



いきなりしゃがみ込んだ神影に反応できず、土方は体制を崩す。


重心が浮いた状態の足を払われ、重力に逆らえず床に倒れる。


「っぁ!?」


咄嗟に上半身を起こそうとするが、すかさず神影が馬乗りになり身動きが出来ない。





木刀を振り翳し、見下ろす瞳。








土方の目に映ったのは










深海のように冷たい碧だった。










ドスッ











響き渡る音にその場にいた者達は、息を呑んだ。


隊士達の目線の先には






折れてしまった木刀の破片を神影の首もとに向ける土方と





馬乗りになり、土方の真横に木刀を突き刺す神影







静寂が包み込む空間で口を開いたのは神影だった。




『参った。』




響いた声に山崎は「勝負あり」と告げた。



「いや〜、二人とも良い試合だった!」



近藤が拍手をすると周りからも多くの拍手が贈られる。



土方の上から退き、手を差し伸べるが無視されてしまった。


(嫌われたかな)




土方の態度に苦笑を漏らすが、当たり前だと自答する。



「神影も見事だった。やっぱり強いな。なァ?トシ。」



同意を求めるように土方を見やるが、顔を反らされてしまう。


反論しないとゆうことは、少なからず認めているのだろう。


「実力は解ったが、後はどの隊に入ってもらうかだな…」


「一番隊はどうですかィ。切り込み隊は戦力が必要ですしねィ。」



(切り込み隊…)



「うーん…確かにそうだが、数は足りてるだろう?亅



うーんと悩み込む近藤。


どの隊も最近、新人隊士を入れたばかりで数は十分足りている。






「あのぉ〜」







山崎が控えめに手を挙げた。


すると視線が一気に集まる。




「監察に入れてはどうでしょう?数、少ないし顔も割れてないので監察には向いてると思うんですけど…」


「おぉ!その手があったか。確かにその方がいいな!よし、神影。今日から監察方についてもらう!いいな?」



『…あァ。これから世話になる。』



その言葉に近藤は満足そうな笑みを浮かべ


沖田は詰まらなそうに口を曲げ


土方は興味がないと言うように道場を後にした。







歓迎の拍手に包まれ、その日は終わった。



prev / next

[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -