(暫くは邪魔が入るでしょう)




名前「…で、何が訊きたいの?」
ナマエ「え!? そんなことまで分かるんですか!!?」
名前「顔に出てた」
ナマエ「そうですか…」

 虚夜宮の名前の宮で、名前の従属官であるナマエがまた今日も相談を始めていた。その内容は…

ナマエ「どうしたら、グリムジョーと話せるんですか!!」
名前(またか…)

 そう、ナマエは想い人であるグリムジョーの相談を毎日するのである。にしては進歩がないぞ、と名前は言いたい所だが、そんな事を言えば泣かれてしまうので口が裂けても言えない。
 そして相手であるグリムジョーもナマエの事が好きで名前に相談しにくる。言わば両思いなのだが、どちらも進歩がなく困った状態にある。

名前「何かグリの好きそうな話題出して適当に話してればなんとかなるよ」
ナマエ「その話題が思いつかないんです!!」
名前「…例えば、好きなモノの話とか、十刃の愚痴とか、現世の事とか…」
ナマエ「成程! 分かりました!! さっそく行ってきます!!」

 話が終わる前にナマエは響転でその場から消えた。それに名前は盛大な溜息をついて頭を抱え、ナマエの後を追う事にした。



■  □  ■




 その頃グリムジョーも一人もんもんと悩んでいた。

グリ(あー、どうしたらナマエと話せンだよ…)

 そして溜息をつこうとした時だった。

ナマエ「ぐ、グリムジョー…」

 控えめなナマエの声が聞こえて、グリムジョーは思わず後ろを振り向いた。が、その瞬間後ろの柱に思いきり顔面強打した。

グリ「っ〜!!!」
ナマエ「ぐ、グリムジョー大丈夫!?」
グリ「っ、あぁ…平気だ」

 ナマエは心配そうな表情でグリムジョーの隣に腰かけた。グリムジョーの心境は窮地に陥っていた。

グリ(ちょ、まずくね? 近ぇし、無言だし…めちゃくちゃ空気悪ぃー)
ナマエ「あ、あのさっ」
グリ「なんだ?」

 ナマエも空気の悪さを吹っ飛ばそうとしたのか、グリムジョーに話しかける。だが、既に頭の中が真っ白なナマエには話題が思いつかない。

ウル「お前達、話すならさっさと用件を言った方がいいぞ」
「「うわぁああ!!!」」

 ひょっこりと現れたウルキオラに二人は肩を跳ね上がらせ悲鳴を上げた。

ナマエ「ちょ、ウルキオラさん…驚かさないで下さいよ」
グリ「まったくだ。突然現れんじゃねぇよ」
ウル「まぁ、がんばれグリムジョー」
グリ「棒読みかよ」

 ウルキオラは瞬時にその場から消え去った。

ナマエ「なんだったんだろうね、今の…」
グリ「さあな。(まぁ、空気の悪さはアイツのおかげで消えたが…)で、お前は何を言いたかったんだよ?」
ナマエ「えと、その………なんでいるんですかノイトラさんっ!!」
グリ「なにぃ!!?」

 ナマエは少し離れた所からコチラを見ていたノイトラを指さす。それに気づいていなかったグリムジョーもそっちを見た。

ノイ「グリムジョー…てめぇ、…」
グリ「な、なんだよ…」
ノイ「ヘタレだな」
グリ「んなっ…!!」
名前「悪いけど、それには私も賛成」
ナマエ「名前様まで!? というか…なんで皆集まってんのー!!」

 ナマエの言う通り、十刃とその従属官が二人の光景を見ていた。

名前「…ナマエ、グリ。早いトコ話進めたら?」
グリ「お、おう…って出来るかぁ!!」
ナマエ「そうですよ!! 何でこんなギャラリー付きで話さなきゃいけないんですか!?」
ウル「少し緊張感を持って話すのも修行のうちだ」
グリ「何の修行だよ!!」

 グリムジョーとナマエのツッコミは続く。ノイトラは胡坐をかいて頬杖をついたままその光景を見ている。その隣に座って名前はまた楽しそうな表情で見ていた。

名前「若いって素晴らしいね」
スタ「年寄りくせぇこというなよ」
ハリ「お前が年寄りくさいがな」
スタ「なっ…!!」
「「外野うるせぇ(うるさい)!!」」
『……』

 見事にハモッた二人。そしてグリムジョーがナマエの腕を掴んで響転でその場から消えた。それを見送ったギャラリー。

名前「さて、行きますか」
ノイ「やっぱり行くのかよ」

 ということで名前達は後を追いかけることにした。
 一方ナマエ達は虚夜宮の外に出ていた。グリムジョーは罰が悪そうにナマエの手を離した。

グリ「わり…痛かっただろ」
ナマエ「ううん、平気。それより皆酷いよね! 寄ってたかって盗み見なんてさ〜」
グリ「盗み見って言うのか?」
ナマエ「あれ、違った?」

 なんて明るく笑うナマエ。グリムジョーはそんなナマエを見て頬を緩めた。

グリ「な、なぁ…ナマエ」
ナマエ「なに?」

 流石にここで、告白してもいいものだろうか?とグリムジョーは悩む。ナマエもその様子に気づいたのか少し焦り気味になってきた。

グリ「お、俺…ナマエのこと……が…」
ナマエ「う、うん…」
グリ「…ナマエの、こと…っ」
ザエ「ハァ…まったく、全然駄目じゃないか」
「「!!!」」

 そこにはやはりギャラリーが。ほぼ頭を抱える者達の姿。

ノイ「やっぱり駄目だったか…」
名前「…いや、まだ…って腰に手を回さないで」

 ノイトラが名前の腰に手をまわして自身に引き寄せている。それを見たナマエとグリムジョーは唖然とし口をポカンと開けていた。

ナマエ「名前様に触れるな糞がァァァア!!!」
ノイ「ぐほぉっ!!!」

 ナマエの怒りによりノイトラは虚夜宮まで吹っ飛ばされた。名前はそれを憐れみの目で見ていた。グリムジョーはがっくしと肩を落とした。

ウル「グリムジョー…ファイトだ」

 ウルキオラの棒読みに、グリムジョーがキレるまであと3秒。ヘタレの壁を乗り越えるには日が必要みたいだ。by名前



(てめぇウルキオラァァァァァァ!!!)
(あーあ…グリムジョーがご乱心だね)
(名前様に触れるなど100億年早いわァァ!!)
(…ノイトラも不憫だな)

***
2010/08/24



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -