まぁ、私の彼氏は…――属に言うヘタレである。
『謙也ー、何で君はそんなにヘタレなのかなー?』
「ヘタレちゃうわ!!!」
「何言うとんのですか、ヘタレに決まってますわ」
「財前…っ」
『光ー、もっと言ってやってよー』
「めんどくさいんで。ってか俺もう帰りますから。さいなら」
『バイバーイ』
パタンと音を立てて扉が閉まった。部室に残ったのは、私と謙也だけで。気まずい…っていうか…。
『…ハァ…』
「っ!?」
『…何でそんなビクビクしてんの?』
「えっ、やっ…その…」
明らかに様子のおかしい謙也は、普段よりも暗いような…。落ち込んでいるようにも見えた。
「俺、ホンマに名前の彼氏でええんかなって…」
『…は!?』
「や、だって…俺、ヘタレやし…」
『…あははははははっ!!!!!!』
「そこ笑うとこちゃうわ…」
あー、もう、この子は何を言うんだろうか。謙也の落ち込んだ姿が子犬に見えてくるよ。幻覚症状が始まったかな?
『あんね、謙也』
「…おん」
『私、謙也が彼氏で幸せだよ?』
「なっ…///」
『謙也じゃなきゃ、ダメだもん』
「おまっ…『だから、私は謙也が好きです』…っ〜/////」
謙也の顔は真っ赤で…私の顔も少し赤いと思う…。暫く沈黙があった。
「…おおきに」
『ん〜?』
「帰ろか」
『そだね』
立ち上がって部室を出て歩き始める私達。その時、左手に温かさが感じた。驚いて謙也の顔を見ると、案の定、彼の顔はさっきみたいに真っ赤。
「…こっ、これでも精一杯やねん!!!」
『…ぶっ』
繋いだ手をほんの少し力を入れて握った。夕日の落ちる道を二人仲好く歩いて帰った。
(愛しています。)