なんとも不思議な青春の幕開けだと言わんばかりの快晴で、そして放課後――。寮長であるベニオが新入生の歓迎会をする為に1階に集められた。編入生の赤髪ことツナシ・タクトの隣にお行儀よく座ってベニオの話を熱心に聞いていた名前。あー、寮で良かった、そう思っているとコチラを見てきて視線が絡み合った。オレはそれにばっと顔を逸らしてしまった。何逸らしてんだよ、オレの馬鹿。そいつを見る度に動揺してしまう。

「じゃあ、食事に手をつけていいわよー」

 ベニオはそういって、ツナシとそいつの前に座った。ジョージはツナシの隣でボクシング部に入部するように言い聞かせている。その隣で、名前はクスクスと笑っている。

「テツヤも座って食べなさいよ」
「わーってるよ」

 空いている席が名前の隣しかなかったので、仕方なくというか喜んで腰を落とした。そして、皿に適当に盛り付けて口にし始めた。

『シナダ先輩は、可愛らしくて羨ましいです』
「えー、そんなことないよー。名前だって可愛いじゃん。ね、テツヤ?」
「ああ、可愛い(即答」
『え…ってああ!! 今朝の変人!!』
「テツヤは変人よ、名前。ってか何したのテツヤ」
「名前はオレの運命の人だっつっただけ」
『だから、どうやったらそうなるんですか!?』
「あ、雷落ちちゃったんだ」
「ああ、落ちた。特大のな」

 そういって名前の腰に手を回せば、ぎょっと目を見開いてその手を叩かれた。かなり痛い。絶対本気で叩いてきやがった。ちら、と横顔を盗み見れば少し顔が赤いのは気の所為…じゃねえ。

「こらテツヤ、名前が嫌がってんだから離しなさいよ」
「嫌だね。名前はオレのって見せつけなきゃ他の虫が寄ってたかんだろ」
『私に虫は付きません!!』

 そう顔を真っ赤にされて抗議されても逆効果で、可愛く見えるだけだぜ。というか、痛い痛い痛い!!本気で手の甲つねって来られたので、仕方なく腰から手を離した。

『雷って…ピシャーンっていうのは落ちましたけど?』
「…やっべ。これマジで運命じゃん」
「あーはいはい、テツヤ落ち着け」

 今にでも抱きつこうとした俺を制止するベニオを一睨みしようとしたが、逆に睨まれたので大人しく座った。名前はチラチラ俺の方を見て来るので、なんか気になって仕方ない。なに、コレ。脈あったりすんの?

「オレに何かついてっか?」
『いや……黙っていれば格好いいかなって』
「ぶっ」

 タクトに話しかけていたジョージがそれを聞いて思わず噴き出したらしい。オレはそれを一睨みして「どういうことだよ」と名前に訊ねれば、名前は小さく笑った。あ、やべえ可愛いかも。

『そのまんまです。先輩って初心そうですしね』
「………」
『あ、あれ…? 図星…、ですか?』

 ベニオとジョージが抱腹して爆笑してやがる。名前はやっちまったみたいな困惑した表情になっている。ほんとコイツ、表情コロコロ変わって…百面相かってツッコミいれたくなるぜ。ってかそういえば、なんでさっき名前の顔が赤かったんだ? もしかして……

「なあ、名前」
『なんですか?』
「お前、オレに惚れてんだろ?」
『はあ!? そんなわけないじゃないですか!!』

 そう顔を真っ赤にして否定されても全然説得できねえよ。ああ、ったく…これは。

「名前、顔真っ赤」
『煩い、タクト君!!』
「だから、顔真っ赤にして抗議したって意味ねえっつの」

 そういうと、耳まで真っ赤にして名前はオレとタクトの頭を力強く叩いた。うあ…これが愛の効力って奴か(違う)。そんな名前を見て笑えば、ふいっと視線を逸らされちまった。でも時々チラチラ見てくんの、それ反則だろ。



(名前ー、オレ抱きつきてえ)
(…シナダせんぱーい)
(テツヤ、名前に変なことしたらぶっ飛ばすからね…ジョージが)
(オレかよ)

***
(Title by これは運命)
2011/04/06



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