あの金髪の彼はどこに行ったのやら…。放浪癖を何とかして欲しいものだ。

『まったく…凛ったらどこ行ったんだろ』

 名前は大きな溜息をついて、そして、深く息を吸い込んだ。

『パツキンでてこぉーい!』
「なっ…それは酷過ぎさあ、名前」
『やっと見つけた』

 名前は安堵の息をついて、凛に微笑んだ。凛はそれにほんの少し頬を染めた。

「そんで、やーはわんに何の用さー?」
『ん、これ』

 そういって名前が差し出した物は、ラッピングされた包みだった。凛は目を丸くする。

『ハッピーバースデー、凛』
「お、覚えてたさ?」
『もちろん! 凛の誕生日を忘れるはずないよ』
「……」
『凛、どうかした?』
「袋の中身、ひなあられじゃないよな?」
『そんなわけないよ! もう、凛は気にしすぎなんだから』

 3月3日は雛祭り。そんな女の子の日に生まれた凛は複雑なんだろう。

「そんならいいやっし。まあ、プレゼントは名前で良かったんだけどな」
『なっ……凛!!』
「来年楽しみにしてるさー」




***
2011/03/03



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