「ん〜、今日は天気がいいですねぇー」

甲板にビーチ専用の椅子を用意してぐっと背伸びをすれば、優しい風が吹いた。すると背後からカタン、と言う音が聞こえ振り返ればキラーさんがいた。

「楽しそうだな」
「そうですか? でも、楽しいですよ。今日は天気もいいですし」
「そうか」

キラーさんはそう言って船の外壁にもたれかかった。マスクをしている為、その表情は読み取れない。ふと、前にルネさんとお頭が話していた事を思い出した。

「キラーさんの顔って、なんなんですか?」

その質問に、キラーさんは「は?」と言うようにコチラを見た。そして少し笑いを含んだ声で答えた。

「質問の仕方が間違ってるぞ。人だろ?」
「あれ、私、なんて言いました?」
「キラーさんの顔って、なんなんですか?」
「あ、それじゃ人じゃないみたいですね」

自分の言った言葉に、私は笑ってしまった。

「だって見た事ないんですもん。ルネさんやお頭は見たことあるみたいだから…」
「あぁ。なるほど…。だが、顔を提造されている身だからな」
「作者描いてませんから、どうなってるか怖いですよね←」
「こんなところで暴露していいものでもないがな」
「はっはっは。気にしませんよ」
「お前が気にしなくとも、他の奴が気にするだろ」

話の方向がずれてきているけれど、キラーさんは気にしていないようです。もう一度、ぐいーっと背伸びをすれば、丸テーブルにケーキが置かれるのが見えてふと上を見上げた。ルネさんかな?と思ったら、全然別人。むしろお頭でした。

「お頭? どうしたんですか? パシられました?」
「てめっ…!!」
「あ、図星…ってお頭ストップ!! そのケーキ投げようとしないで下さいぃぃ!!!」

お頭は片手にケーキを持って、青筋を立てています。私は椅子から凄まじい勢いで逃げました。キラーさんは割って入る事無くその光景を見ています。

「その減らず口、潰してやろうか?」
「えー。遠慮しておきますよ」
「なんか文章おかしくないか?」
「暫く間を置きましたからね。キャラ革命が来たんじゃないですか?」

なんて事言っていいのやら悪いのやら。取りあえずお頭はケーキをテーブルに戻してフォークを取り出した。

「……」
「………」

暫くケーキを見ていた私を、お頭は変な目で見て来ました。

「なんだよ」
「それ、お頭のケーキなんですか?」
「そうだ。それ以外に何がある」
「…ルネさんが私に作ってくれたものなのかなーと」
「ナルシストになったか、てめぇ」
「お頭だって十分ナルシストじゃないですか」
「…喧嘩売るようになったな」

あの頃の優しい大人しいメリアはどこに行ったんだ。というような大袈裟な溜息をお頭はついたので、構わず能力を発動させて頂きました。キラーさんはそれに苦笑して間に割って入り、取りあえず私とお頭を落ち着かせました。なんだか、悪いことした気が…。

「キッド。お前は少し落ち着きを持て。メリアは上の者に対する敬意を払え」
「…はーい」
「チッ…」
「あら? お頭がメリアちゃんと仲良くしてるなんて珍しいですね」

奥からやってきたルネさんは、不思議そうな表情をしていた。確かに、私とお頭が一緒にいたり仲良くしているのは珍しいのだ。まぁ、私かお頭が喧嘩売るのがいけない事なんですけれども。

「あぁ? 仲良くなんかしてねぇよ」
「あはは。一部賛成しますよ」
「そうなの? って、ああ! お頭! また作りかけのケーキを持ちだして!」
「良いだろ別に。結局は食べるんだからよ」
「料理人にとってはきちんと作り上げた物を食べて欲しいんです!」

なんだかルネさんの気持ちがわかる。医者にとってもお頭みたいに治療の途中で出て行かれたら困りますからね。そんなことを言っている間にお頭はケーキに手を出し始めた。こ、このやろう…!

「おい、メリア。お前そんな言葉使う子だったか?」
「キラーさん。貴方いつ読心術身につけたんですか」

私は口に出したつもりはないんですけどね…。無意識でもそれはないない。ぶんぶんと頭を振っていると、がしりとお頭に掴まれた。

「ケーキに髪の毛入るだろ」
「あ、ごめんなさい」

クリームが髪の毛につくのは私もごめんですので、大人しくする。今日は何もない平和な日ですねーと途中まで口にした時だった。ドゴーンと私達の目の前を大砲玉が横切っていったのは。大砲玉は海に落下して水しぶきを上げる。勿論、私達は水浸しだ。

「……どこの海賊船だ? あ゛あ?」
「ちょ、お頭! 落ち着いて下さい!!」
「…私の言葉、邪魔したのはどこの奴だよ。おかげて水浸しじゃないですか」
「メリアも落ち着いてくれ」

ルネさんとキラーさんは必死に私とお頭を止める。だが、敵船が視界に入った私達に、最早理性はない。私とお頭は敵船に向かう。その後ろで大きな溜息が聞こえたのはいうまでもないです。

「…たく、あの二人は」
「こういうときだけ、気が合うわよね」
「まったくだ」



---アトガキ---
年明け最初の更新!
キラーの顔はまだ見てないという…ハロウィンより前の設定で。
なんか怖いですよね。キラーの顔ってどうなっているんだか…。
喧嘩の時はキッドとメリアがいち早く出た。
普段#メリアは先頭に立って戦うことはないけど、食べ物の恨みは怖い…。ってことです。
その間にルネ嬢とキラーは紅茶でも飲んでいるでしょう。

110109

魅せられる煌めきは色褪せずにE



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