昨日は誰かさんの所為で、海兵に追われて花屋さんを見ることが出来ませんでした。今日こそと思い、私はもう一度花屋さんに向かった。
お頭はキラーさんにみっちりと絞られていたけど、反省した様子は一向になかった。ルネさんは今日は船でゆっくり過ごすということだったので、良い茶葉でも買って帰ろう。
花屋に入って最初に目についたのは、本で見たダリアという花だ。ふわっとした愛らしさを感じる花。それを5本買う事にした。
あとは茶葉を買って美味しい紅茶を淹れて貰おう。何かお菓子も買って行こうかな? と思って街中を歩いていると人垣が出来ていて何かを取り囲んでいた。昨日の今日でまた騒ぎかと呆れて溜息をついた。

「おーい! 不良と海賊が乱闘起こしてるぞー!!」

…なんで不良? 海賊と戦って勝ち目ないじゃないですか。馬鹿馬鹿しい、と毒づいてその場を後にしようとした時だった。ヒュッと風を切る音を立てて何かが飛んできた。瞬時にそれを交わしたつもりだったが、腕を掠めて建物にそれは刺さった。

「…血、出たじゃないですか」

建物に刺さったのはナイフで、掠めた腕からは出血していた。私はそのナイフを見て盛大な溜息をつき、ハンカチで傷口を覆った。すると、人垣が崩れナイフを投げた本人がそれを取りに来た。その後ろからは何人かがゾロゾロと歩いていくる。ほぼ皆つなぎを身に纏っている。

「ったく、ナイフ投げる方向間違ったじゃんよー。だいたいペンが俺の邪魔するからだぞ」
「…俺の所為にするな。お前が間違っただけだろう。その所為でそこにいる奴が怪我…して」

そういい彼は私を見た瞬間驚いたように目を見開いた。私も、彼が誰だかわかると手に持っていたダリアの花を1本落とした。

「………ペン、ギン…?」
「……メリア…」

彼・ペンギンは何故と言ったようにただ私を呆然と見つめていた。彼は私の幼馴染だ。私が15の時に彼は島から出て海賊になった事は知っていた。すると、ひょいとキャスケット帽の人が落ちたダリアの花を拾って私に差し出した。

「はい、落ちたよ」
「あ…有難う、御座います」
「んで、ペン。コチラの綺麗な人とはどんな関係?」
「…こいつは「お前ら、船戻るぞ」…船長」

ペンギンの隣に白クマを連れた人が身の丈ほどもある剣を片手に持って言った。私は、その人を見た瞬間、一瞬思考が停止したかと思った。
それは憧れであるハートの海賊団の船長こと、トラファルガー・ローさんだったのだ。そしてペンギン達に声をかけたという事は、ペンギンはこの船の船員…。

「あ、なんだ? 女でも口説いてたのか?」
「違いますよ、船長じゃあるまいし。なんかペンの知り合いみたいなんスよ」
「ほォ、ペンギンの…」
「変な目で見ないで下さい。コイツはただの幼馴染です」
「え、と……ファノンシェ・メリア、です。いつもペンギンがお世話になってます」

そういって頭を下げれば「彼女じゃん」という声が聞こえた。それと同時に殴るような音が聞こえて、頭を上げてみれば、キャスケット帽の人が頭を押さえていた。何が起こったか分からずにいると、無表情でペンギンが訊ねてきた。

「お前…何で、こんなとこにいる」
「…私、海賊になったの。キッド海賊団っていうところの」

その瞬間、ペンギンの表情が一変し、ローさん達も驚いたような表情になる。だがローさんはすぐに三日月形に口を吊り上げて怪しい笑みを浮かべた。

「ほォ…ユースタス屋の所にな。暫くルネにも会ってねぇな…」
「え…? お頭や、ルネさんを知っているんですか?」
「あぁ、まぁな。結構有名だし、それに好みだからな」

そうローさんが言った瞬間だった。体がふわりと宙に浮かんだと思えば、ローさんに担がれていた。そしてローさんが白クマさんに私を渡す。

「……え゛…」

普段出さないような濁音のついた声を出してしまった。困惑した表情をしていると、キャスケット帽の人が困ったように笑う。

「大変だなー、アンタ。拉致られること決定になったぜ」
「…はぁ!? 待って下さい、私船に返ってルネさんとお茶するんです!!」

そんな事は無視と言ったように船がある道と反対の道を歩き出す。助けを請うようにペンギンを見ても、目すら合わせてくれない。…私、一体どうなるんでしょうか…。



メリアの花言葉解説(花言葉ラボより)
「ダリアは華麗、端麗、優雅や感謝、移り気、不安定、気紛れなど花言葉が沢山あります。一つの花なのに沢山の花言葉があるって面白いですよね」



---アトガキ---
ついにローさん登場!!
そしてペンギンは幼馴染。でも憧れの海賊団の一員だと知らなかったメリア。
そして拉致ったハートの海賊団。どうなるんでしょうか?では、次回!

100827

魅せられる煌めきは色褪せずにC



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