※八年程前の駄文(中途終了)につき閲覧注意。また複数夢主(名前変換無し)での構成です。

【簡易設定】
名前:四天二年マネ/ツッコミ気質・腹黒
花菜:四天一年マネ/たまにツッコむ・天然?
友梨:立海二年マネ/唯我独尊・ちょいと腹黒
彩夏:立海二年マネ/ボケの中のボケスト
楓香:立海→氷帝二年マネ/ただのアホ




待ってるの――…ずっと此処で… ワタシを記憶から、抹消しないで…
ねぇ…聞コエテル…? ネェ…ズット…一緒ダヨ…? ハハハ…アハハ…アハ





 夕暮れ時の部室――氷帝

楓香「ねぇねぇ、肝試しとか興味ない!?」
全員「ねぇ(ない)」
楓香「即答しなくたっていいじゃんかー、やろー」
全員「やらない(ねぇ)」
楓香「ケーチー!!!」

 時を同じくして――立海

彩夏「肝試しやりたいなあ」
柳「何だ、突然」
彩夏「いやー、夏と言えば肝試しだよなーと思って」
友梨「俺やんねーぞ」
彩夏「何でー? やろー!!」
友梨「マジで出てくるかもしんねぇだろーが」

――四天

謙也「肝試しやりたいー」
名前「何ですか、気持ち悪い」
謙也「気もッ…!!」
花菜「私もやってみたーい」
小春「アタシも―」

 どの部室でも、そんな声が響いていた。いつもと変わりない夏の夕暮れ時――。
 今から始まる奇怪な事件に巻き込まれるとは知らずに――。

楓香「あ、四時四十四分だ」
彩夏「気味悪い時間だねー」
友梨「確かになー」
花菜「四十四秒も大事ですよねー」
名前「…」

 四時四十四分四十四秒………。時計の針は、止まった。

跡部「つべこべ言わずに帰るぞ」

 そう言って部室を出た跡部。だが…。

跡部「なん、だよ…コレ!」
楓香「どうかしたー、あと…」

 べ、と言う前に、楓香は外に出て言葉が出なかった。
 橙色だったはずの空が、真っ赤に染まっている。しかも空には銀色の三日月。その月は奇妙な位に嘲笑っているかのように顔があった。二人の後ろから忍足達が出てくる。

侑士「二人ともどないしたん…って何やねん!?」
宍戸「空が…真っ赤だ…」
鳳「不気味ですね…」

 鳳の言葉が、皆の胸にどきんと恐怖を感じさせる。すると、日吉が別の異変に気づく。

日吉「…何で」
芥川「どうかした、日吉?」
日吉「何で、他の部活が…生徒がいないんだ…!」

 確かに日吉の言うとおりだ。他の生徒が見当たらないのだ…どこにも。どこを見ても、人の気配はない。

向日「な…校舎が違ぇ!!!」
全員「!!!」

 確かに…氷帝の校舎ではないのだ。古い校舎…ところどころにヒビが入っている。

彩夏「ここどこー!!?」
全員「!!!?」

 突然の叫び声に、体をビクつかせる氷帝メンバー。楓香は聞き覚えのある声だと気付いた。

楓香「…彩夏?」

 それは立海のマネージャーである彩夏の声だった。すると、他の声も聞こえてきた。

友梨「うっさい、叫ぶな!」
幸村「落ち着いて、二人とも」
柳「この状況で落ち着く方が難しいだろう、精市」
跡部「これは…」
樺地「立海…です…」

 跡部達は顔を見合わせ、声のする方へと駆け出す。すると、そこにはやはり立海メンバーがいた。

仁王「跡部…!」
柳生「なぜここに!?」
宍戸「そりゃこっちの台詞だ!何でお前らが此処にいんだよ!?」
赤也「俺達は部室から出たら、ここにいたんだよ!!」
楓香「嘘…それじゃ、一緒じゃん…」

 楓香の言葉を耳にした友梨が「一緒?」と聞き返す。氷帝メンバーは静かに頷いた。

鳳「俺達も、同じだったんだ…部室を出たら、此処に…」
丸井「マジかよ…」

 立海メンバーは驚愕に包まれた。氷帝メンバーもそれは同じだった。そして、跡部は溜息をついた。

跡部「よくわかんねぇ状況だな…」
真田「何がどうなっているのか、さっぱり分からん」

 混乱するメンバー達。その元に、足音が近づいてくるのが聞こえた。

友梨「誰!?」

 友梨の声で、我に返るメンバー達。そして足音が近づいてくる方へと目を向ける。

白石「一体此処どこやねん…」
幸村「白石…?」
謙也「わからんわ。つーかどうやったらこうなんねん」
侑士「謙也…?」

 声は、またもや聞き覚えのある声だった。そして黄色と緑のジャージが見えて、顔が見えた。

桑原「四天宝寺…!?」
花菜「氷帝と、立海…!? 何で…!?」

 全員が驚いた。知り合いだった事に、だ。氷帝と立海は盛大な安堵の溜息をつく。

遠山「あー、何やのその溜息!」
芥川「安心の溜息だCー」
侑士「知ってる顔でよかったわ」
幸村「もしかして、白石達も…部室の扉を開けたらここに?」

 それに白石は驚いたような顔をして、「よう分かったな」と答えた。

千歳「もって事は、跡部や幸村たちもそうだったとね?」
跡部「あぁ。残念ながら、そういうことになる」
石田「にしても、此処までメンバーが揃うとはな…」
小春「まるで誰かに集めさせられたような…」
一氏「怖い事言わんといてぇな」
彩夏「ホントですよ、そんなわけないです!!!」

 小春の言葉に皆がどきりとする。その瞬間、このシリアス雰囲気を壊す携帯の音が鳴った。
 チャララーン、チャラチャチャチャチャ

仁王「何で必●仕事人!!??
楓香「はい、もしもーし」
全員「しかもお前か!!!

 楓香は何の躊躇いもなく電話に出た。全員はハァ…と大きな溜息をついた。でも…安心するのは、まだ早い。

≪もしもし、私メリーさん≫
楓香「あ、どうも。私は蘆屋楓香っていいます」
宍戸「何自己紹介してんだボケェ!!!!
日吉「今、メリーさんって…!!」

 皆の顔が青ざめていく。だが、楓香は平気顔。

向日「楓香! 携帯捨てろ!! 今すぐ捨てろ!!!」
楓香「えー、何でよー?」
向日「お前お化けと会話してんだぞ!」
楓香「…っギャー!!!」
侑士「何で俺ー!!!???」

 楓香は侑士に向って携帯を投げつけた。侑士は間一髪で携帯を除けて無事であった。それに友梨はチッと舌打ちする。

侑士「何で舌打ちー!?」
財前「それよりも、はよ逃げないかんやろ」
友梨「…名前?」

 一言も、何も喋ってないのだ。それはいつもの明るい彼女とは違うような…何か変だった。彼女は走りながら、耳に携帯をあてていた。それを見て、友梨は叫ぶ。

友梨「何してんの!?」
名前「…ない」
友梨「えっ!?」
名前「何で繋がんないんだよッ…!!! この糞…宇佐美、宇奈月ィィィ!!!!」
侑士「だから何で俺ー!!!??」
彩夏「八つ当たりだね…」
花菜「八つ当たりですね…」

 侑士に向かって再び携帯を投げた名前。しかも少しキレ気味。皆は冷や汗をかきながら、逃げ続ける。

一氏「誰に電話してたんっ!!?」
名前「知り合いの霊能力者にかけたんですけど、通じないんですよ…あー、畜生腹立つ」

 完全に言葉が男言葉になってきている。それを見て、笑う友梨。嫌々笑い事じゃないよとばかりに皆は小さくツッコんだ。
 チャララ〜チャラチャチャ…

全員「何でまた必●仕事人!!?
楓香「あっれ。おっかしーなー…さっき携帯捨てた筈なのに…」

 「何でだろーね」と言って楓香は携帯を握っている。それを見て皆は驚く。楓香は通話ボタンを押して、「もっしもーし」と元気に電話に出る。

≪私、メリーさん。今校門にいるの≫
楓香「あ、そうなんスか。そりゃごくろーさんです。皆ー、メリーさん校門ー」
柳生「何話進めてんですか!!!」
芥川「zzz…

氷帝「寝るな、ジロー(先輩/ちゃん)!!!

 慈郎の襟首を掴んで走る宍戸。ある意味この光景は見物だ。メンバー達は一階から二階に上がる。すると再び携帯が鳴る。通話ボタンを押した。

≪私、メリーさん。今昇降口にいるの≫
幸村「何だって?」
楓香「昇降口だってー」

 チャララー
 またすぐに電話がかかってきた。それにはメンバーも吃驚。

≪私、メリーさん。今一階の階段にいるの≫
楓香「マジか…一階の階段だって―」
丸井「速くねッ!?」
鳳「もっと速く逃げないと…!」

 先程よりもスピードを上げて走る。だが、電話もだんだん速くなる。

≪私メリーさん。今二階の階段にいるの≫
楓香「えー、速いよー。二階の階段だって」
謙也「マジかいな…でも浪速のスピードスターには敵わないっちゅー話や!」
白石「あ、コラ待ちぃや謙也!」

 白石の声も虚しく、謙也はスピードを上げる。すると、花菜が躓いて転ぶ。

彩夏「花菜っ。大丈夫?」
花菜「っ…いったー」

 友梨は花菜を立ち上がらせ、手を引っ張って走り出そうとする。だが…

友梨「…あ…うぎゃー!!!!!!
全員「ッ!!??」
立海「友梨!?」

 友梨が普段上げないような声を出して、物凄いスピードで花菜を引っ張り走って先頭を行く。それを見たメンバーはどうしたんだといわんばかりに見る。

友梨「メリーさん見ちまっただろーが!!!」
全員「えっ…」

≪私メリーさん。今アナタの後ろにいるの≫

 電話越しではない、真後ろからの声。全員が走るのを止めその場に立ち尽くす。

日吉「後ろを見ないで下さい。殺されますよ」
楓香「メッリーさん、あっそびまっしょー!!!」
全員「うるせー、黙ってろー!!!」
名前「しかもそれは花子さんだし」
≪クスクス…私と遊ぶの?≫
彩夏「ヒィィィ!!!」
友梨「チッ…こうなったら、あの作戦しかねぇ」

 その言葉に、皆が期待した。(先にどこかに行った謙也は知らない)そして次の瞬間――

「「逝って来い、忍足」」

侑士「ギャアァアァアァア!!!!!」

 侑士は友梨と名前に蹴られ、メリーさん目掛けて飛んでいく。ちなみにその時点で皆メリーさんを見てしまった。花菜が「侑士さんの事は絶対忘れませ〜ん」とか叫んだ。

≪えっ…ちょ、待っ…ギャアァァアァア!!!!

 侑士は見事メリーさんに命中した。それを見て、皆グッと親指を立てた。花菜だけは哀れんで少し涙目。

白石「花菜…アイツの事は忘れとき…。アイツはええ奴やった…」
花菜「蔵先輩ッ…!!!」
跡部「何だこのラブコメ」
桑原「跡部ラブコメ知ってたんだな…」
小春「アタシもやりた〜い」
一氏「俺が相手になったるで〜」
財前「キモいわ…」

 侑士を見捨てて走りだすメンバー達。すると、どこからか悲鳴が聞こえてきた…。

楓香「うわっ。今度は何!?」

 ぎゃぁあぁあああぁあっぁぁあぁー!!!!!!!!!

名前「…謙也さんだ」
友梨「っつか小さい「つ」いらねーだろ」
千歳「謙也だから仕方ないたい
氷立(フツーに仲間に向かって言ったよ…!)

 心の中で氷帝と立海はツッコんだ。四天は別段変わりなく、「何やらかしたんやー」とか言ってる。すると、前から土煙を立てて物凄い音が聞こえてきた。
 ドドドドドドドドドドドッ!!!!!

仁王「なんじゃ!?」
芥川「うーん…煩いCー」
楓香「あ、ジロちゃん起きた。おっはよーッス☆」

 起きたのはいいが、何か黒い物が後ろから出ている。寝起きが悪いので、気分も悪いのだろうか。

友梨「星うぜぇな」
楓香「酷いぞ友梨〜。風花泣いちゃうっ」
全員「キモい」
楓香「うわーん!!!」

 楓香は本当に泣き出した。女子と数人の男子は呆れた目で見ている。あとその他はオロオロしてたり。

花菜「謙也先輩大丈夫ですかねー。何か連れてきたりして」
全員「………(絶対ありえる…!)」
白石「さぁて、謙也から逃げよか」
遠山「謙也から逃げるん?楽しそうやなー!」

 「鬼ごっこや!」って言って金太郎は先程メリーさんと侑士のいた方に駆けていく。

彩夏「あ…行っちゃった」
柳「…出会う確率99.9%」
向日「それ100%でよくね?
石田「とにかく逃げるが勝ちや」

 勝ったモン勝ちの精神を掲げる四天にとってはそうだ。金太郎の行方も心配なので四天はそっちに駆けていく。それを見て、仕方なく追いかけようとする氷帝と立海。だが…

謙也「助けてやぁぁぁー!!!」

 謙也が目から涙を大量に流し、メロス並みの華麗なる走りを見せて猛特急で走ってくる。その後ろには、何かを引き連れて…。

氷立「ギャアァァアァアアア!!!!!」
謙也「Σ逃げんとってぇなー!!!」

 逃げる氷帝と立海。それを必死で追いかけ何かから逃げる謙也。その走りはガッシ●ベルっぽい…。

名前「今何か聞こえた様な…」
財前「空耳にしとけ」
一氏「それが一番ええわ。ろくな事無いしな」
名前「そうですね」

 四天メンバーは金太郎に追いつき、侑士と合流している。メリーさんはというと、白石がどこから出したのか分からないロープで縛られている。

花菜「侑士先輩、大丈夫ですかー?」
侑士「一瞬花畑が見えた様な気がしたんやけど、嘘やなかったわ…」
白石「忍足ゴラァ。花菜から手ェ離せや(黒」

 白石が黒オーラを侑士に発揮する。侑士はその場で土下座。それを見て少し脅えているメンバー。

メリー≪ちょっと、放しなさいよ≫
小春「無茶言わんといてぇな」
遠山「なぁなぁ、どうして羊じゃないん?」
全員「メリーさんって言っても羊だけがメリーさんじゃないから」
メリー≪庇ってんのか、貶してんのか、どっちなの?≫
全員「貶してるに決まっとるやん(決まってんじゃん
メリー≪糞餓鬼共ッ…≫

 殺してやる、とギリリと歯軋りをするメリーさん。それを見て金太郎は「メーリさんの羊♪」と歌い始めた。すると、今度は大人数の悲鳴が聞こえてきた。
 ギャアァアアァアアァァ!!!

四天(ビクッ!!!)
侑士「こ、この悲鳴は…」

 そういった時、全速力で走る氷帝と立海の姿が。そしてその後ろに謙也。そして、その後ろに…髪の長い女…が、人形のようなものを引きずっている。

彩夏「アレ何なの〜!!?」
日吉「多分、ひきこさんだ…っ」
全員(楓香・名前以外)「ひきこさん?」

 いつの間にか走るのに混ざっていた四天+侑士。メリーさんは見事に氷立メンバーに踏まれた。気にもせず走り続けている。

楓香「あれだよ、アレ」
全員「アレって何だよ!?」
名前「顔を見ても分からないと思うけど…目が吊りあがってて、口は耳元まで裂けてるの」
鳳「口裂け女じゃないの?」
幸村「マスクはしてないみたいだよ」
花菜「アレじゃないですか、引きずり回している奴」
日吉「その通りだ。アレは人形じゃなくて小学生らしい」
全員「…うわぁ、グロテスク…
日吉「そんな目で見ないで下さい。俺だって嫌ですよ」
柳生「対処法とかないんですか!?」
赤也「俺どっかで聞いた事あるッス。えーっと…引き千切るぞ?

 そっちの方がグロいぞ、と全員にツッコまれた。日吉が「似てるけど違う」と言った。

日吉「引っ張るぞ、だ。三回唱える筈だ」
芥川「何だ、日吉知ってんじゃん」
真田「最初からそれを言えば良かったんじゃないのか?」
全員「…確かに」
日吉「すみません、今思い出しました」

 悪気もなく謝る日吉。それに何人かが「日吉ー!!」と激怒する。

彩夏「じゃあ、叫ぶよ! 引っ張るぞ!引っぴゃ…
丸井「噛んでんじゃねぇよ!!!俺がやる!引っ張るぞ、ひっぱりゅ…
宍戸「お前ら駄目じゃん! ったく激ダサだな」
「「そーいうお前がやってみろよ」」
宍戸「いいぜ。引っ張るぞ、引っ張るぞ、ひっぴゃりゅ…
「「やーい、噛んでやがんのー」」
宍戸「うるっせー!!!」
全員「そんなんで揉めている場合かっ!!」

 遊んでいるような三人に全員のツッコミが入る。しょうがない、というように慈郎が叫ぶ。

芥川「引っ張るぞ!引っ張るぞ!引っ張るぞゴラァ!!(黒
楓香「ジロちゃん最後のいらない!てか怖いから!!!」
≪ぎゃああああ!!!≫

 ひきこさんは無事に逃げて行った。全員はその場に座り込む。

跡部「死ぬかと思ったぜ…」
楓香「俺様何様跡部様が何を言う」
向日「楓香、それメチャクチャ失礼だぜ」
樺地「…ウス…」

 皆は息切れを整える。するとピアノの音が聞こえてきた。ドキッとして部屋の表札を見れば…音楽室。

幸村「音楽室…だね」
跡部「…だな」
侑士「榊(43)のおっさんちゃうやろか?」
仁王「そこはボケるとこじゃないきに」
楓香「そうだよ、薔薇人間がいる筈ないじゃないかっ!」

 氷帝メンバーは全否定。それに習い、他のメンバーも否定。

彩夏「ってか否定ばっかしてないで入ろうよ」
全員「何言ってんのー!?」

 彩夏は既に扉に手をかけ開けようとしている。ブン太とジャッカルは彩夏を止めようと全力で止める。

桑原「馬鹿お前!入ってどうするんだよ!?」
彩夏「誰が弾いてんのかなーって見てみたい」
丸井「ただの好奇心じゃん、それ!」

 彩夏はそれに構わず扉が壊れるくらいにバコーンと横に開けた。それには皆苦笑い。そして次の瞬間――

彩夏「ぁ…アヒャアハハヒハアッハハハハハハヒャハ!!!!!!
全員「Σ!!!!??

 彩夏が大爆笑。それに驚くメンバー達。そしてハッとする友梨。

友梨「これはまさか…」
石田「何か知ってはるんか?」
友梨「あぁ…」
小春「何なん!?」
友梨「…ベートーベンだ」
氷四「え…!?」
立海「あぁ、あれか…」

 氷帝四天は「何で!?」みたいな顔をする。立海はお馴染みのアレと言う事で溜息やら呆れやら。

花菜「ベートーベンが…面白いですか?」
友梨「あいつにとってはそうらしい…」
赤也「何せベートーベンと目が合ってコンマ0,1秒で爆笑し始めるからな」
氷四「どんな奴だよ
立海「こんな奴だよ

 それは置いといて、皆は音楽室に入る。彩夏は未だに腹を抱えて笑ったままだが。楓香はピアノに近づく。

楓香「うおっ…動いてんじゃん」
芥川「危ないから近づかない方がいいCー」
向日「ジローの言うとおりだぜ」

 それぞれが物から離れるようにして言う。音楽室と言ったら物が飛んでくる現象が当たり前らしい。楓香はそれでもピアノの傍に立ち、椅子に向かって話しかける。

楓香「あ、あれ弾いて!ジャジャジャジャーンってやつ!」
幸村「ジャジャジャジャーンじゃなくて、ベートーベンの交響曲第5番「運命」ね」
謙也「随分詳しいな…」

 そういうと、ピアノは動きを止めた。そして
 ジャジャジャジャーン!!!ジャッジャッジャジャーン!!!

全員「ホントに弾いたー!!!」
名前「ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン…。ドイツの作曲家で、クラシック音楽史上最も偉大な作曲家の一人とされている人物ですね…」
全員「より詳しい情報いらないから!!!しかも発音いいし!!
楓香「次はねー、チャララララララララン〜♪」
跡部「ピアノ曲バガテル「エリーゼの為に」な」

 チャララララララン〜チャラララン〜チャラララン〜

全員「うぉっ!」
氷帝「いやわざわざうちの馬鹿の為にすみません
楓香「んじゃ次はー、チャララーンで!!」
仁王「何でまた必殺仕●人!!?つーか必殺●事人て言えばええじゃろ!!」

 チャララーン、チャラチャチャチャチャ…

氷帝「いや本当にすみません有難う御座います
楓香「次はー」
全員「まだ頼むのかよ」
花菜「もういい加減止めましょうよー。迷惑掛けてます」
全員「えっ!?そっち!?」
楓香「チャンチャラララチャンチャンがいい!!」
白石「モーツァルトの「メヌエット」やな」
名前「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。洗礼名はヨハンネス・クリュソストムス・ウォルフガングス・テオフィルス・モザルト。彼はオーストリアの作曲家・演奏家で、ハイドン・ベートーヴェンと並ぶウィーンの古典派三大巨匠の一人です」
全員「またもやより詳しい情報キタ―!!!!!しかも噛んでねー!!!

 その時ピアノのがバァァンと耳に痛い音を立てた。そして置いてあった楽譜がメンバー達目掛けて飛んでくる。

日吉「っ…」
柳「一体なんだ…!!」
友梨「何か悪い事でも言ったんじゃねーの!?」

 そう言った時だった。

≪その通りだ≫
全員「Σうおぉいっ!!」

 いきなり聞こえてきたの声にメンバーは驚く。

真田「お前は誰だ!?」
≪私はベートーヴェンだ≫

 その言葉に、一斉にベートーベンの肖像画を見るメンバー。ベートーベンはその体制で喋る。言うまでもなく、彩夏は笑いを堪えている。

楓香「マジか」
芥川「でも何でベートーベンが俺らに用あんの?」
≪お前達が要らぬ奴の名を言ったからだ≫
跡部「それは…」
幸村「もしかして…モーツァルト?」
≪その通りだ!!!≫
柳「だが、モーツァルトと仲が悪いとは聞いた事がないが…」
≪それは生前の話だ!あんな奴、消えて当然だ!!≫
≪散々言ってくれているじゃないか、ベートーヴェン≫

 その声で、皆がモーツァルトの肖像画の方を見る。モーツァルトがギロリとベートーベンを睨む。

≪何故私よりお前の方が教科書に載っているんだ!!!≫
≪お前より有名で人気があるからだ!!!≫
向日「これってさぁ…」
千歳「人気度争いばい…」

 皆は呆れてものも言えない。すると、音楽室の椅子や机、楽器が宙に浮かぶ。そして、ベートーベンとモーツァルト目掛けて飛んでいく。

真田「伏せろ!!!」

 真田の言葉で皆が伏せる。その上では音楽家二人(肖像)の口争いと物投げ。すると、突然楓香が立ち上がる。

宍戸「何してんだ馬鹿!!伏せろよ!!」
楓香「まぁ、待ってくれ宍戸君」
宍戸「その言い方めっちゃムカつく!!後輩の癖に宍戸君ってなんだよ!!!」
芥川「宍戸、落ち着いてよー。いつもの事じゃんかー」

 慈郎が宍戸を宥めに入る。宍戸はそれでも落ち着いていないので、樺地に抑えつけられた。

彩夏「楓香、何やらかす気?」
楓香「必殺技をあみだしたんだよ」
財前「…アホくさ」
楓香「何おぅ!?まぁ、見てなさいっ。楓香ちゃん必殺、CD手裏剣!!!」

 楓香はどこから持ってきたのか大量のCD をバババッとベートーベンとモーツァルトに向かって投げつける。それは見事に目にHit!!! 二人の音楽家は目を押さえて悲鳴を上げる。

楓香「やっりぃ☆」
友梨「ゆっきー、僕、必殺技名でムカッと来たんでやっちゃっていいですか」
幸村「奇遇だね、友梨。俺も丁度そう思ってたんだよ(黒」

 立ち上がって黒い笑みを浮かべて話す友梨と幸村。黒属性というのは実に恐ろしい。この中で黒属性は幸村、白石、芥川、鳳、友梨、名前だ。どれもお化けより恐ろしいメンバーだ。

鳳「あれ、何か言いました?(黒」

 いえ、失礼しました。ごめんなさい。

鳳「それでいいんですよ」

 鳳はニッコリと笑った。

跡部「それよりベートーベンとモーツァルト、大丈夫なのか?」
小春「キレたりして…」

 ガタガタッ…ガタタッ…
 物が宙へともう一度浮き上がる。全員に嫌な予感が走る。

≪≪この糞餓鬼共がー!!!!!!≫≫
全員「ぎゃぁぁぁぁ!!!」

 全員が音楽室からバラバラに走って行ってしまった。そう…バラバラに…。
 追イカケッコ…モウ少シ待ッテテネ…
 モットバラバラニナッテクレナキャ、ツマラナイカラサ…。




――名前チーム

名前「バラけちゃった…」
謙也「…せやな」
侑士「…せやな」
名前「よりによって使えない忍足従兄弟…」
「「Σ後輩のくせに…!!!」」
名前「くせに?……何か?(激黒笑
「「Σいいえ、滅相もありません…(泣」」

 三階に逃げたのはこの三人だけであった。名前は盛大な溜息をつく。

名前「それにしても…困りましたね。誰がどこに逃げたかなんて見てないし…」
侑士「確かにな。今危ない状況やんか」
謙也「大丈夫や侑士!俺がついとるやろ!」
侑士「謙也…お前は頼りにならんわ」

 謙也と侑士の争いを放って、つかつかと歩いて行く名前。それに気づき、二人も後を追う。

謙也「どこ行くん?」
名前「トイレ」
「「…は?」」
名前「ちょっと試してみたい事がありましてね」

 その言葉に、二人の血の気は引いていく。謙也に至っては、「あれ、こんな子やったっけ?」と親の気持ちにまでなっている。

侑士「何や?赤紙・青紙とか花子さんや太郎くんか?」
名前「花子さんです。三階の三番目のトイレにいるっていう話、聞いたことありません?」
謙也「あるけどな…。でも何で花子さん?」
名前「学校には必ずと言っていいほど、花子さんの噂はありますよね。ここが仮に学校だとしたら、…いますよね」
侑士「確かに校舎の形はしてたけど、学校やという保証はないな」

 暗い廊下をひたすら歩いて行く三人。話しながらのおかげか、恐怖心はなくなっていた。そして…女子トイレについた。三人はドアを押して、中に入って行く。男子二人が女子トイレに入ることに躊躇わなかった事は問題だと思うが…。

名前「さて…ドチラに犠牲になって貰いましょうか」
「「Σ何ぃーー!!!??」」
名前「お馴染みのパターンじゃないですか。…でも、可哀想だから今回だけは私がやりますよ」
((ホッ…))

 二人は安堵の息をつく。が、そこで名前が一言。

名前「花子さんが襲ってくるようであれば生贄として差し出しますから(激黒笑」
「「Σちょっとー!!???」」

 侑士と謙也はマジで焦っている。一呼吸置いてから、名前はドアをノックする。ゴクッと侑士と謙也は唾を飲み込んだ。

名前「花子さーん、遊びましょー?」

 シーン…

謙也「返事返ってこんな…」
侑士「失敗やあらへんの…?」
名前「…生贄作戦か…(黒笑
「「いやぁぁぁあー!!!」」

 二人はそういって女子トイレから逃げだして行った。それに呆れて溜息をつく名前。「冗談なのに…」と呟いたそれは、冗談には聞こえませんでした。

≪はぁーい≫
名前「ッ!!?

 その声に、三番目のトイレの方を振り返る。が、誰もいない…。声がトイレに木霊する…。

≪貴女の髪…綺麗ね…≫
名前「…あげましょうか?丁度、量が豊富になってきたんで」

 どこから出したのか、ハサミで髪をジョキッと切った。そして、その髪を宙に差し出す。髪はふわりと宙に浮かぶ。

≪確かに受け取ったわ。ありがとう≫

 その声が聞こえて、三番目のトイレのドアの上に、小さな女の子が腰かけて現れた。歳は噂に聞く五、六歳というよりは十歳位に見える。有名なのは赤いスカートをはいたおかっぱ姿の女の子なのだが、この花子さんは肩につく不揃いの髪に、白と青のチェックのワンピースに青いパーカを羽織っている。

名前「あの…花子さんですか?」
花子≪えぇ、そうよ。私がトイレの花子さん≫
名前「イメージと大分違いました」
花子≪それはアナタ達の勝手な想像の所為ね。本来の私はこうなのよ≫

 そういって花子さんはトンと地面に降り立った。そして真っ直ぐに名前を見る。

花子≪それで?何か用かしら?≫
名前「用…ですか?特にそれと言ってないですが……あ、此処がどこなのか教えて下さい」
花子≪率直な質問ね。フフッ いいわ。教えてあげる。ここはね、異世界空間とか異次元空間とか呼ばれる場所なのよ。アナタ達は、ここに巻き込まれちゃったわけ≫

 名前はそれを黙って聞く。花子さんは話を続ける。

花子≪外の世界と流れる時間も違うし、いつ出られるかわからないわね≫
名前「どうしたら、手っ取り早く出れますか?」
花子≪うーん…そうねぇ…。アイツを倒すしかないでしょうけど…≫
名前「アイツ?」
花子≪えぇ…。私から直接その名を言う事は出来ないわ…。可哀想な子なのよ、悪夢に取りつかれちゃって…今もまだ人を探してるのよ。ちょっと厄介ね…≫
名前「…私達に、協力してくれませんか?」

 花子さんはその言葉に目つきを変えた。名前の目は、真剣そのものだ。

名前「貴女の知識と力があればここから出れる筈です。余計な犠牲者を出さなくて済むと思います」
花子≪…フフッ…いいわよ。手伝ってあげる。髪も貰った事だしね。それにアナタと私、似たようなところがあるもの≫
名前「あぁ…もしかして、こんなところ?(黒笑
花子≪そうそう、そこら辺が似てるわ。さて、表で友達が待ってるわよ。歩きながらでも話は出来るわ、行きましょう≫

 その言葉に頷いて、二人はトイレから出た。そこには侑士と謙也と姿が…。そして名前の隣にいる花子さんを見て、声の出ない悲鳴を上げた。

花子≪随分弱そうね〜、この子達。大丈夫かしら?≫
侑士「ちょっ待った。何で花子さんがいるん!!?」
謙也「何か服装違うんやけど!!!」
花子≪この子達もアナタと同じこと言うのね。説明するの、面倒だわ≫
名前「説明しなくても大丈夫ですよ。何とかなります。それより、お二人さん。花子さんは仲間になったので」
「「マジかいな…」」

 恐怖心の様なものと戦う侑士と謙也。花子さんはそれに笑った。

花子≪別にアナタ達を取って食ったりしないわよ。さて…急ぎましょう。早くしないと、犠牲者が出るわ

 その言葉に、ピクリと反応した三人。花子さんに案内されるがままに、体育館へと向かった。謙也は花子さんよりも前に出て半殺しにされそうになったが…。また侑士も随分体力を消耗していた所為か、疲れが出て遅れたら首を絞められた。そんなこんなで四人は体育館へと急いだ。



――彩夏チーム

彩夏「うわぁ…どうしよう、逸れちゃった…」
向日「だよなぁ。これからどうする?」
真田「誰かに合流出来ればいいのだが…」
桑原「出来そうもねぇよな」
千歳「先に進むしか方法はなさそうたい」
彩夏「よし、音楽室に向かおうか!」
「「「「今先に進むしかないって言ったよね!!!??」」」」

 彩夏のどうしようもない爆弾発言に頭を抱える四人。この五人は二階の廊下を真っ直ぐ駆けて行ったのだ。そしてこんな感じの状況になっている。

真田「武器になる物も何もないからな…」
桑原「そういや武道館が外にあったぜ。そこで竹刀でも手に入れればいいんじゃねぇか?」
向日「じゃあそこに行くとすっか」
彩夏「♪〜♪〜」←
千歳「彩夏が一人でどこか行ったばい…」
「「「何ぃー!?」」」

 彩夏は一人廊下をスキップして行き、家庭科室へと入っていった。全員が急いで後を追う。

彩夏「おー、普通だね」
「「「何を期待してたんだお前は」」」
彩夏「やー、変わったところないねー」

 そういって、彩夏は冷蔵庫の中を漁り始める。

「「「ちょっとー!!??」」」
彩夏「え、何かした?」
向日「何漁ってんだよ、お前は!」
彩夏「あー、何か餌になるものないかなーって
桑原「餌ってな…」
彩夏「だって逃げる時、餌蒔いとけば逃げる時間増えるでしょ」
真田「成程…彩夏にしては考えたな」
千歳「でも殆ど賞味期限切れてるたい」
彩夏「えー、いいんだよ。その方が腹壊して一石二鳥でしょ」
向日「ってか幽霊って食べれんのかな?」

 がっくんの言う事がご尤もだと思います。冷蔵庫の中から生ハムとか魚肉ソーセージとか竹輪とかを取り出し真田に預ける。そして彩夏は包丁セットを取り出した。

桑原「…彩夏、お前何する気だ」
彩夏「包丁研ぐの。襲ってきた時に投げようと思ってね」
真・ジ(やっぱりか…)

 笑顔で言う彩夏はどこか楽しそうだ。そして妙な音を立てて包丁を研ぎ始める。

彩夏「あ、誰か小麦粉とマッチか何か探して」
向日「もしかして粉砕爆弾か?よっしゃ、探すぜ!」

 向日は千歳と一緒に戸棚を探し始める。すると、どこからか声が聞こえる…

クスクスクス…あーそびーましょー?
真田「な、何だ今の声は!?」
千歳「子供の声…ばい」

 真田と千歳の言葉に彩夏以外は固まる。彩夏は未だに楽しそうに包丁を研いでいる。向日は何とか小麦粉とマッチを見つけ、しっかりと握る。

桑原「そういや…家庭科室の隣、校長室だったよな…」
向日「位置的におかしくねぇ…?」
真田「校長室の人形とかいうのがあったな…」
「「「「…マジか」」」」

 四人は顔を引き攣らせる。彩夏は包丁を箱の中にしまうと逃げる準備をする。

彩夏「さて…逃げようか」
桑原「逃げんのかよ!戦わねぇのかよ!!!」
彩夏「だってさー…面倒くさい」
「「「一番あり得ない返答だな」」」」




――ここにて強制終了――


※あとがき※
最近USBメモリの中から見つけ出した掘り出し物です。一応初期段階のギャグホラーですね。
ただ支離滅裂で文章も構成もめちゃくちゃ。四季と夜行は廻る等の内にネタとして含めていけるものなら、まあ…混ぜようかなと思案しています。

ホラー初期ネタ

戻 | 目次 |


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -