始まりの朝
チュンチュンチュン…
眩しい光と鳥の囀りによって幼子は目を覚ました。
「うぅ…ん?」
しかし辺りは自分の知らない風景で驚きを隠せない。
どうやら必死に保とうとした意識は、何かの温もりに触れて安心したのか、知らぬ間に事切れていたのだ。
「あ、おきた?」
「!?」
不意に声のした方を見れば不躾にもいきなり開いた襖の横から自分とさして変わらないような身長の男の子が立っていた。
そして、その男の子は少女の傍らまで行って座りこむと、手を押し付けるようにして額に触れた。
「よかった、カゼはひいてないみたいだね」
「か、ぜ?」
「おぼえてない?きのうのこと…」
少女は少し考えた後に口を噤んで首を縦に振った。
覚えていない、と
「そっかぁ…あっ!ボクは奴良リクオっ。キミは?」
「ワタシ…霖音。」
「霖音か、よろしくね」
「よろしく?」
「うんっ!ケガがなおるまでうちにいてねっ」
「………」
「あ、…ダメ?」
「…ううん。いいよ」
リクオは少し残念そうに寂しそうにした顔を、パァッと輝かせて霖音の両手を掴んだ。
ギュッと離れないように、だけど傷に障らないように…そっと優しく。
「あ、でもね。霖音さえよければずっとここにいていいからねっ」
「ありが、とう」
二人はお互いに顔を見合わせて、微笑み合った。
短ッ!
20110924
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