夕刻の少女

関東仁侠妖怪一家、奴良組本家


「うぅ…」


その屋敷の前に一人の幼子が倒れていた。しかし皮肉にも、夕立の刻と相俟って誰にも気付かけずにそのまま放置されていた。


「あ、ぅ…」


声も出ないくらいに弱まっていたその幼子は、激しい雨に打たれながらも必死に意識を保とうとしていた。


「え?あ、れ…って?」


そこへ偶然か必然か…、屋敷の住人がタイミング良く出てきたのだ。


「たいへんっ!だれかっ、ヒトがたおれてるよっ!」


その少年は家内に向かって叫ぶと傘を落として、幼子に駆け寄った。


雨に流されただろう、身体にある無数の傷から流れる大量の血。少年は未だ流れるそれを特に気にすることもなく幼子を抱き寄せて、騒がしくなり始めた家に尚助けを呼んだ。


***


「…おじいちゃん、あのコどうなった?」

「おお、リクオ。心配せんでも大丈夫じゃよ」

「そっか…よかったぁ…」


運良く幼子に気付いた少年リクオは張り詰めた表情から一変、ホッと安心した顔を見せた。


「…おじいちゃん、この子のケガがなおるまでここにとめちゃダメかな?」

「怪我が治るまでか?まぁワシは別に構わんが…」

「じゃあきまりねっ」


それはそれは年相応にリクオはニコッと笑った。





最後の無理矢理感…(笑)

とりあえず出会いました←


20110924







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