被害は飛び火する

「トサちゃーん」
「え、霖音さん?」
「ささ美ちゃんにも言ったけど、私のことは義姉さんでいいよー」
「ね、義姉さんっすか…」

少し照れた口調の返事に気を良くした霖音はここぞとばかりに腕を引っ張りお茶に迎えた

学校の間中、終始黙りを突き通した黒羽丸との空気は息の仕方を忘れてしまうんじゃないかと思えるほど息詰まったものだった為、霖音は帰宅してすぐに息抜きだ!とささ美を捜したがパトロールの最中で、カラスを捜せば総大将のお守りだと言われ、毛倡妓は家事、氷麗はリクオの護衛…と手が空いている者はおらず、霖音は明白に不貞腐れていた
そんな時たまたま見つけたのがトサカ丸で、つまりはトバッチリだ

「トサちゃんちょっと聞いてくれますかー?いや、聞いてけよトサちゃんっ」
「あ、はい…」
「なんかね、昨日の夜からなのかな?今日の朝からなのかな?とにかく黒羽丸が黙りでね、私を避けてるみたいなの」
「黒羽丸が?イヤイヤそれは流石にないと思いますよ」

霖音の迫り来る勢いにトサカ丸は結局断れずに話に付き合うことになってしまったが、まさか身内の…兄弟の話をされるとは思ってもみなかった

何より「霖音様命」と言っても過言ではないような黒羽丸が、だ

「ううん、アレは絶対避けてる!目が合ったらすぐ逸らすし、今日一日喋ってないんだよ?」
「た、確かに、それは変ですね。でもアノ黒羽丸が霖音様を避けるはずは…」
「トサちゃん義姉さんだってば」
「ね、義姉さん!」
「よし」

話が少し横にズレてしまったが、黒羽丸が霖音を避けるなんて話ある訳がない

それは組の誰しもが思っている常識と呼べるもので、霖音の口からそんな話をされるとはトサカ丸も予想外だった

「義姉さんの気のせいとかは…」
「ない!」
「ですよねぇー」

鬼気迫る顔の義姉に、もはや何も言えない義弟は身を小さくさせた

「こ、こうなったら…」
「義姉さん?」
「浮気してやるんだからぁー」
「え゛ちょ、それはマズいです!駄目っすよ!だ、誰かっ!若ぁーささ美ぃー親父ぃー」

…トサカ丸の災難は終わらない



なんか続編モノ?(笑)
トサカ丸は一番苦労性な鴉に違いない!←こら

20120122







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