酒に窒息

「今日はまた随分とお酒臭い」

宴会場はすでに空き瓶が溢れ転がっている状態で、出来上がっている妖怪も少なくない

霖音はよく鴉天狗が許したなぁ…なんて他人事のように呆気にとられていた

「あ!やっと来たぁ〜」
「霖音様遅いですよぉ」
「うわぁ、毛倡妓酒臭い。もう何本飲んだのさー」
「え〜まだまだ飲み始めたところですよ〜?さぁさ、霖音様も」

納豆小僧や3の口、豆腐小僧に小鬼と着物の裾を掴んで早く飲もうと急かしてくるなか、毛倡妓は片手に酒瓶を持って霖音に飲めと半ば強引に押し付けた

「うーん、いいのかなぁ」
「ほらほら堅いこと言わずに飲みなさぁ〜い」

と、少なからず遠慮していた霖音に毛倡妓は酒瓶の口を霖音の口に突き入れ僅かな抵抗も虚しくがぶ飲みさせた

「う、うぁ…ン、ちょ…まっ…てけじょ……ろぉ、」

自分で飲もうとした訳ではなかったから、酒は口の中に溢れて息がもたない上に、零れた酒で着物や肌が濡れ気持ち悪い

「け…じょ…う、ろ…」

しかし毛倡妓にその思いは一切通じず、ニヘラと笑いながらその手を止めない

もはや酒に酔った所ではなく、窒息死か溺死か、とにかく死因はどうあれ死んでしまう!と霖音は瞬時に理解した

「も…む、りぃ…」

気付けば視界はグルグル回っていて、気持ち悪いと感じたが最後、霖音はそこで気を失ってしまった

「あらヤダ、霖音様が倒れちゃったわぁ〜」
「ギャー毛倡妓が霖音様を殺したぁー」
「大変だ大変だぁー」

小妖怪たちは毛倡妓が霖音をやれ酔い潰したやれ殺しちゃったと酒の影響もあって騒ぎに騒ぎ立てた

だがそれから間もなく黒羽丸は屋敷に帰ってきた

「これは一体…」
「あらぁ黒羽丸、遅かったわね!何ボサッと突っ立ってんのよ、宴会なんだから飲みなさいよぉ〜」
「宴会って…って、それより霖音様はどこに」
「毛倡妓のヤツが霖音様を酔い潰しちゃったんだ」
「だから自室で寝てるよ」

この荒れた現状になんと言えば良いのか…この場に親父がいない事も起因しているのだろうが…これは酷い有り様だ

しかし何よりも、すでに寝込んでいると言う霖音が気になり黒羽丸は彼女の部屋に手をかけた

「霖音…」

灯りのない部屋を月明かりだけが妖しく照らし、霖音をより妖美に魅せていた

「大丈夫、か?」

頬を上気させた霖音の息遣い、顔色、滴る汗が黒羽丸をさらに惹きつけた

「んん…くろ、ま…る?」

愛しい夫の気配に気付いたのか眠りについていた霖音は瞼を開けて確かに黒羽丸を瞳に映していた

「お帰り、なさ…い」
「あ、おい!無理するな」

背を上げ座り直そうとする霖音に黒羽丸は慌てて駆け寄った

「な、あ、霖音…」
「うん?なぁに、黒羽丸」

そこで黒羽丸が見たのは霖音の艶めかしく乱れた姿

胸元は緩く大きく開かれ、肩まではだけて絹のような白く美しい肌が露わになっている

その上潤った瞳で見上げられては黒羽丸もたじたじである

「わ、悪い、霖音…」

黒羽丸は一度唾を飲み込んで霖音の唇に噛り付いた


次回は裏…?
先に予防線として言っておきます
全くの初心者です!
下手クソですけども許して下さい(;_;)

20111013
20120118 改









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