トサちゃんと黒丸
「カーラースー、なぜなくのぉー、カラスはやーまーにぃー」
「霖音様、それは?」
「えーしらないの?これカラスのうたなのにー」
「いえ、まぁ、知ってると言えば知っていますが…」
「つーまをひとり、のーこして、きたからねー」
「違います!」
「え、違うの?」
「誰がそんな変な歌を…」
「トサちゃん」
「と、トサちゃん?」
トサちゃーん、と霖音はキャッキャッと笑いながらカラスの前から走り去っていった。
「あっ、お待ち下され霖音様!?霖音様ぁーっ!?」
カラスの叫びも虚しく霖音は決して戻ってこない。
「トサちゃんとは…そんな奴うちの組にいたか?」
唸るほど深く考えるも、カラスに思い当たる節はなかった。
「親父殿…それはトサカ丸のことでは」
「おぉ黒羽丸!もう報告の時間か。…して、それはどういうことだ?」
「親父殿のいない時に二人が何か楽しげに歌っていたのを前に、」
「そうか…トサカ丸か…」
あの愚息がっ
何てことを霖音様に教えてくれるんだと歯をギリギリ噛みしめた。
「そうだ黒羽丸、前に話していた件だがよいか?」
「問題ありません」
「ではお前に任そう」
***
所変わって。
「…トサちゃんいない」
霖音は屋敷中を走り回って目当てのトサカ丸を捜してみたが、姿は全く見えなかった。
その上先程まで遊んでいたカラスの姿もなくなり霖音は暇を持て余すことになっていた。
「つまんなーい」
ぷくぅと頬を膨らませて、霖音はコソッと屋敷を飛び出した。
「カーラースっ、なっぜなっくのぉー、カーラスはやーまーにぃー」
「霖音様っ」
「あ、黒丸だ!」
「え、いや俺は黒羽丸で」
「くろまるー」
「…はい、もういいです、それで」
キャハッと霖音は満面の笑みで黒羽丸に抱きついた。
「霖音様、少しお話を聞いて下さい」
「なになにー」
「俺には巡回の仕事もあり
ますが、これより貴女様の
護衛になります」
「ふーん、で?」
「え…と?」
「じゃあこれからはカラスじゃなくてくろまるが霖音とあそんでくれるの?」
目をキラキラさせて霖音は縋るように黒羽丸にしがみついた。
いいえと言おうものなら、きっと大泣きされるに違いない。それくらい瞳を潤わせて黒羽丸を見ていた。
「はい、これからは俺と遊びましょう」
「くろまるだいすき」
黒羽丸はしゃがみ込んで霖音の目線に合わせると、ニコニコ笑う霖音の頭をポンポンと優しく撫でた。
「じゃあくろまるにひとつめのめーれい!」
「何ですか?」
舌足らずに言う霖音に可愛いなと烏滸がましく微笑んでいれば霖音はとんでもないことを言ってくれた。
「おしごとはゆるすけど…それいがいはずっとずーっと、ワタシのそばからはなれちゃダメだよ」
何コレ…束縛つよっ^^;
誰か私に文才を下さいorz
20111010
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