カラスの子守
「よし、そとにいこう」
「ダメです」
「……すこしだけ」
「ダメです」
「……ムぅ。」
今日は偶々ヒマだった。
リクオは幼馴染みの人間達と遊びに行っていて不在。お母さんは家事が忙しそうだし、お父さんは……取り敢えず家にはいない。
「カラスぅーひまー」
「霖音様、駄々こねてもダメですからねっ」
リクオは一緒に来ないかと訊ねてくれたが霖音は「母さん以外の人間に興味はない」とキッパリ断った。
そこで残された霖音に鴉天狗が話し相手として来たわけだが…
じーっ。
「何ですか?そんなにジロジロ見て」
「カラスって、ちっちゃいよね。どうして?」
「………」
禁句、と言うのだろうか。
今までに誰もが一度くらい思ったことだろうが、あえて触れてこなかったことを…霖音はサラリと口にしてしまった。
「あっ!みて、カラスっ!にじがでてるよ」
「あぁ、本当だ」
もちろん上手く話を逸らした霖音に他意はない。
「カラスっ!にじのちかく
までつれてって」
「にじ、ですか?」
「うんっ!にじっ!」
カラスはうぅ〜んと唸り、顔を顰めるも、霖音は早く行こうとカラスの着物の裾を引っ張った。
「はやくしないと、きえちゃうよー」
仕舞いには霖音は涙ぐんでカラスを困らせた。
「おねがいっ!」
「……わかりました」
お願いと言って迫る霖音にカラスは完敗、渋りながらもそこで折れた。実際、虹は空気中に漂う水に光が反射してみえるもの。近づけば見方は変わり、消えてしまう…見えなくなったり、もしかしたら別の場所に新たに見えるかもしれない。
それをまだまだ幼い霖音が理解できるのかどうか…
しかし、連れて行かないことには霖音の気は済まされないことは確かだ。
「では、行きましょうか」
カラスの心境は至極複雑だったが、霖音を連れて空に飛び立った。
カラス編開始(笑)
軽〜く続編もの(゜∇゜)♪
これ終わったら、「」内の漢字増やしていきます。
20111004
←