小さい竜
「霖音?」
リクオが泣きそうな顔で、声色で…ニコニコと微笑む霖音に尋ねる。
「リクオ、ワタシにもっとヤミをちょうだいっ」
「え?ヤミ?」
「そう、ヤミ♪」
「なんなんだコイツは…」
後ろに控えていた妖怪たちが、おずおずと口を開く。
「ただの人間じゃなかったのかよ…」
「朝見たときは妖気なんて微塵も感じなかったぞ」
今や、奴良組本家は驚愕の二文字に包まれていた。
「ワタシひとじゃない。ようかいでもない」
「人でも妖でもなけりゃ…お前は何だってんだ!?」
「ワタシりゅう。りりょうなの!りりょうっていうのはね、くろいりゅうだよ」
「りゅう…?」
「なんじゃ、やはりそうじゃったか」
「そ、総大将!?」
今の今まで黙っていたぬらりひょんは全て分かっていたと話し出した。
「つまり霖音は驪竜、黒竜で、大方此処に闇を集めにでも来たんじゃろ。それも…無意識にな」
ぬらりひょんの言うことに何の間違いもなくて、霖音はニッコリ笑って大きく頷いた。
「さっきの黒い靄は此処だけで集まった闇かい?」
「そうだよ」
「ならまだまだ奴良組もやっていけるな、あれだけの妖気が籠もってたんじゃからのぅ」
驪竜に選ばれた地、それは妖怪として誇れるものであった。何処よりも此処を選んでくれたことは、何処よりも認められていることと同じなのだから。
「ねぇワタシはまだここにいていいの?」
「ここにいてっ!」
居心地の悪い空気を察して出て行こうとする霖音にリクオは叫んだ。
「それで、えと…ボクがさんだいめをついだらボクのひゃっきになって!」
「ほう、リクオお前…」
「リクオ様が百鬼にお誘いになっているぞ」
「おぉ…若……」
妖怪たちはリクオの言葉に胸を打たれた。次の三代目はリクオに決まりだと誰もが思った。
「じゃあここにいます」
こうして霖音の本家入りは決められた。
まぁ取り敢えずはこれからですよね!本家入り♪
次回からは短編集的な物語になります。
今回鯉伴さんがいなかったのは遠出の出入りに行っていたからというコトで←
20110930
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