黒い靄
バンッ
「霖音っ!いるっ?」
「あ、リクオだ」
襖をバッと開けてリクオは中に飛び込んだ。
「どうしたのリクオ?」
「そとにあそびにいこっ」
「そと?」
「おじいちゃんつれて!」
「おじいちゃん?」
霖音には何のことだかサッパリ分からなかった。話が突然すぎるのだ。
「とにかくいくよっ♪」
「わわわっ」
力強く手を引かれてリクオのなすがままにされていればおじいちゃん≠フ部屋の前にいた。
バンッ
「おじいちゃん!」
「おぉリクオどうした?」
「きょうもようじゅつみせてよっ!霖音にもっ!」
「おやお嬢ちゃん、もう大丈夫なのかい?」
「あ、はい」
「そりゃ良かった」
「ねぇおじいちゃん!」
「分かった分かった、見せてやるよ」
やったぁ!はやくはやく、とリクオはニパッと笑って霖音を連れて玄関でおじいちゃんが来るのを待った。
「さて行こうか」
***
リクオと霖音とおじいちゃんことぬらりひょんで、店に入っては只飯を食った。
「ね、すごいでしょ?」
「うンおいしかった」
「はっはっはっ」
話はだいぶズレているが、お互い楽しそうに笑うのを見ればなんてことはない。
「またいこうねっ!」
「うん♪」
「さて、そろそろ家に帰るとするかのぅ」
ぬらりひょんが霖音とリクオを引き連れて屋敷に帰ると、何やら家の空気はただ事ではないようだった。
「何かあったのか?」
「そ、それが…」
「そのガキが何かしたに決まってる!」
「ちょっと一ツ目っ」
「そのガキの部屋から黒い靄が溢れてやがる!近付けば心臓が凍り付くような冷たさに息もできねぇ!」
「ほう…」
「……あ、」
「霖音?なにかこころあたりでもあるの?」
「ある」
そそくさと霖音は部屋に向かって走り出した。それにリクオが続き、その後をぬらりひょんやその他の妖怪たちもついて行った。
「な、なにこれっ」
リクオは驚き声を上げる。
先に着いたはずの霖音の姿は見当たらない。
ぬらりひょんはそっと顎を撫でてコトの成り行きを見守ることにした。
「やっぱりそうだ」
黒い靄が一斉に部屋へ引き込まれて、見えなかったはずの霖音が現れる。
手には何やら青黒い珠が…
「おもったとおり。ここは
すぐにヤミがたまるね」
一ツ目ファンの皆様、彼を悪役またく仕立ててごめんなさいm(_ _)m
20110930
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