影なる心の内
朝餉はあまり手につかなかった。あれだけの妖怪にジロジロ見られていたのだ、仕方がないと言えば仕方がない。
それから直ぐに霖音は自室に帰ってポーッと天井を眺めていた。
「若は一体何を考えているのか…」
「人間なんぞ若菜さんだけで十分だ!ここは妖怪一家なんだからなっ」
「総大将も何故許してしまったのか…」
きっとジロジロ見てきた妖怪たちだ。霖音はもちろんその会話を聞いていたが、顔色一つ変えずに自然としていた。
「いやいや総大将は人に甘いからな…きっとその血をリクオ様も受け継いじまったのさ」
「人間は俺ら妖の敵だろうにな…」
霖音は変わらずに聞いているだけ。彼らは聞かれていると知らないのか…はたまたワザト聞こえるように話しているのかは定かではないが、どっちにしても霖音が気に食わないのだ。
「ワタシ、ひとじゃない」
朝はボケーっとしていた頭も、しばらく経って、漸くまともに動き始めた。
そこで気付いたのだ、自分が何者なのか…ただソレだけは確実に。
「ワタシは、………」
***
「ねぇリクオ様?」
「なに、つらら」
「さっきの女の子ですが」
「霖音がどうかした?」
「いえ、ただ…その…」
しどろもどろに口を濁す氷麗にリクオは首を傾けた。
「霖音はね、ボクのおねえさんになればいいんだよ」
「へ?お姉さん…ですか」
「そう!だって霖音はボクとにてるんだから」
「似てる?」
「うん♪あ、そうだ!霖音といっしょにそとにあそびにいきたいな」
そう言ってリクオは霖音の部屋に駆けていった。
進まない…(;_;)
いるよね、こういう奴ら。
mugi.20110930
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