宴は始まったばかり

「あ、そう言えば…」
「どうしたの?毛倡妓」
「前回のお色気作戦は失敗したじゃない?だからもっとこうハッキリと攻めさせなきゃいけないと思うのよねぇ〜」
「でも霖音様はそういう事には疎いですよ?」
「だぁから!私たちが後押しも前準備もしてあげなくちゃいけないのよっ」

霖音の居ない台所で、ことは着々と進められていた





ガヤガヤ…

「ただいまーなんだか今日は一段と騒がしいね。何かあったの?」
「宴会ですよっ」
「え、いつもしてるよね」
「まぁ…そうですね」

霖音と黒羽丸が高校から帰ってきてみれば、屋敷の中は既にどんちゃん騒ぎ
だが理由が宴会とあっては何も珍しいことではない

何時ものことだ、と二人は特に気にすることなく黒羽丸は仕事の巡回へ、霖音は制服を着替えに自室に向かった

「…にしてもまだまだ夕方のはずなのになぁ」

確かに秋になり…夜も早まって黒羽丸の巡回時間も早く長くなってきたが、まだ日は完全に落ちきっていない

どうせ朝方まで続く宴会だ…酒のことを考えて、もう少し時間を待った方がいいと霖音は思う

「ん、あれ?見慣れない着物がある…誰のだろ?」

部屋に戻れば見知らぬ美しい着物がひとつ掛けてあった
しかしそれは絶対に自分では買わない色柄の着物で、誰かの手違いでここに運ばれたものだと勝手に解釈した

「薄い…桜色…」

けれど、可愛いな誰のだろ?と考えてみても思い当たる節はなかなか浮かばず、紛れ込んだものと思ったがそれは間違いだったのだろうか?と改めて思考を巡らせた

「失礼します」
「あ、ささ美ちゃん!」
「あの…お、お、お姉様」
「なぁに?」

霖音はついにお姉様と呼んでもらえたと目を輝かせた

「そのお着物のことですが、」
「あ、もしかしてこれ、ささ美ちゃんのだった?」
「いえ!私のではなくて、その…黒羽丸が……」

すると段々、口をごにょごにょさせて言葉を濁すささ美に霖音は小首を傾げた

「黒羽丸が姉様にと」
「え、黒羽丸が?」

黒羽丸からの贈り物…

それには霖音も吃驚したが、何よりも嬉しさが勝って頬をほんのりと赤く染めた

「…今日はこれ着る、ささ美ちゃん手伝って?」
「はい!」

黒羽丸が選んだ着物は薄い桜色の生地に、色とりどりの鞠の柄
帯は着物より少し濃いめの赤紫で

可愛らしい…純粋にそう思った

「姉様、すごく…お似合いです」
「ほんと?ありがとう」

好いてる方に贈られたものを似合っていると褒められるのは自然と嬉しくなるもの

ささ美に褒められた霖音はルンルンとした足取りで宴会が行われているだろう部屋に向かっていった


一旦ここで切ります(^^)
ささ美ちゃんは巡回に向かいました!

20111008
20120118 改









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