桃色チューリップ(2)

「お帰りーリクオ!今日はめずらしく遅かったね。ま、それはいいとして、帰りにクラスで美味しいって評判のケーキ買ってきたから一緒に食べよ?」
「う、うん。ありがとう」

帰って早々、リクオは冷や汗をかいた

何たって久しぶりに見た姉のマジ切れた姿を見たのだ
ぱっと見は確かに笑っているはずなのに瞳の奥は背筋をゾッとさせる程鋭く冷たく

まだニコニコと取り繕ってくれている分、自分が原因でないことは判るが…こうもあからさまに怒りを秘められては口の出しように困ってしまう

「イチゴとチョコとチーズとモンブランとフルーツが有るんだけどリクオはどれがいい?私はさっぱりフルーツにしまーす」
「え…っと、じゃあ僕はチョコにしようかな」
「チョコ?了解、すぐに用意するから部屋で待っててねー」

ルンルンと台所に駆けていく霖音の後ろ姿に取りあえず自分に被害がこなかったことを安心するも、一体誰が義姉の機嫌を損ねたのか

深く考えずとも何故かその誰かが予想できてしまうリクオは溜め息が溢れた

「黒羽丸…何したの?」
「………」

その人物は探さずとも呆気なく見つかる
なんたって自分の部屋で膝を抱えて待ってましたか、と言うかのように佇んでいたのだから

「此処にすぐ義姉さんが来るよ」
「…リクオ様、俺はどうすればいいのでしょう」
「え、黒羽丸?」
「俺の仕事は日々のパトロールと霖音様の護衛。俺は此に誇りを持っていますし誰かに譲るつもりも毛頭ありません」
「う、うん」
「霖音様は大切な主です。っしかし、やっと想いが遂げ結ばれた、俺の最愛の嫁でもあるんです!少しでも気を緩めれば立場を忘れてしまい…その……で、ですから…呼び捨て…なんて!?」
「…だってさ、義姉さん」
「え?」

リクオの背後には今の今まで居なかったはずの霖音がいて
いつの間に来たのか、彼女の手には2人分のケーキと紅茶を乗せたお盆があった

「リ、リクオ、ちょっと待っててもらえる?」
「うん、ちゃんと二人で話し合ってきてね」

霖音はお盆をいったん机に置いて、絶句して何も話せず呆けている黒羽丸の手をぐっと引き自室に連れて行った

「…く、黒羽丸」
「はっはい!」
「その…さっきの話だけど」

言い辛そうに口を紡ぎながらも頬を赤らめる霖音に、黒羽丸もつられて顔を赤らめ唾を飲み込んだ

「黒羽丸の気持ちも知らずに勝手なこと言ってご免なさい。その、黒羽丸はこうして二人きりのときも様をつけるから、悲しくなっちゃって…」
「霖音様っ、俺なんかに頭を下げないで下さいっ」
「……じゃあ、二人きりのときは様付けしないで名前だけで呼んでくれる?」

お願い、と首を傾けられて黒羽丸の今までの無駄な我慢も切れて頷いてしまうのだった

「霖音…」「はいっ」
「っ、霖音…霖音…」
「きゃ…く、黒羽丸?」

何かの達成感にも似た嬉しさで黒羽丸は完全に羽目を外し霖音にガバッと抱きついた



ん?んん?
なんだコレ(゜∀゜;ノ)ノ
意味不だね←
最後リクオ空気だし…
処女作の結果かな;

桃色のチューリップの花言葉
[誠実な愛]


20110926
20120117 改









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