くだらない | ナノ




#臨也が喘いでる



 家に帰るとあのノミ蟲野郎が俺のベッドの上で当たり前のように自慰をしていた。「シズちゃん、シズちゃん、あっ、んふ」気色悪い声で喘ぎながら己の赤黒いペニスを扱くのに夢中になっていたそいつは、コンビニの袋を提げ立ち尽くす俺に気づくとそのまま吐精した。そうして洗ったばかりの綺麗なシーツにぶち撒けた白濁を恍惚とした表情でなぞり「おかえりなさあい」俺を見上げる。
 何してやがる手前。「何って、見ればわかるじゃない。シズちゃんでオナってたの」そういうこと聞いてんじゃねえよ。つーか気持ち悪い。「ふふ、シズちゃんだって興奮してるくせに」ズボンの上から性器を撫でられ身体がぞわりと震える。挑発的な視線を向けつつも弄る手の動きは止めようとしない。そんなことをされれば自然と勃起もしてしまうものだが、布を押し上げてくる塊に少なからず俺は嫌悪感を抱いた。触るな。叩き落とそうとした手は逆に掴まれ、ぐいと思いきり引き寄せられる。バランスを崩した俺は臨也の膝の上に腰を下ろすような体勢でがっちりと固定され身動きがとれなくなった。「シズちゃん、俺また勃ってきちゃった」知るか。勝手に抜いてろ。「やだ。責任とってよ」ぐいぐいと直接露出したペニスを押しつけられ不快感は増すばかりだった。セックスなら昨日しただろ。俺は疲れてんだよ。「さっきまで他の男とよろしくやってた奴がよく言うよ」うるせえ。しかもまた盗聴してやがったのか。ふざけんな。「だってしょうがないじゃん。シズちゃんが帰ってくるまで待ちきれなかったんだもん」それで俺に盗聴器仕掛けて俺の喘ぎ声でオナってんのかよ。どうしようもない変態だな。気持ち悪いからさっさと離れろ。
 すると臨也はくつくつと人を嘲るかのように笑いながら俺の右手を取りおっ勃てた性器を無理矢理握らせてきた。自己処理くらい手前でやれ。そう言って睨めば「俺のオナニーなんて気持ち悪くて見てられないって言ったのシズちゃんでしょ」と返される。そりゃ確かにそうだ。何が楽しくてこんな変態の喘ぎ声聞かされなきゃならねえんだよ。まったく意味わかんねえ。「ほらね。だったらシズちゃんがどうにかしてよ」関係ねえだろクソッタレ。思いつつも仕方なく掌の中で膨張したそれをゆるゆると緩慢な動きで扱きはじめる。臨也は目をぎゅっと瞑り快感に堪えるように俺の脚を掴んで「ン、シズちゃ……あっ、」やはり喘いだ。これじゃあどっちが犯してるんだかまるでわからない。複雑な感情は押し殺したまま徐々にスピードを早め射精を促す。纏わりつくぬるぬるとした体液は気持ちのいいものではなかった。「っ、あん、!」短い叫びのあと先端からびゅくびゅくと勢いよく精液が放たれる。ああ、また汚れた。クリーニング代くらい払えよお前。
 それから息を荒げつつも矢継ぎ早に臨也は俺の後頭部を鷲掴み、唇を合わせ柔らかい舌を絡めてきた。呼吸をする間も与えられなくて酸素が回らず頭がくらくらする。「は、ふっ」必死に服の裾を握りしめて縋りつく俺を何度も角度を変えながら攻め立てる意地の悪いくちびる。とてもさっきまで下品な声色で啼いていた奴とは思えないほど獰猛な野獣のような有り様だった。ようやく解放されたときにはすっかり力が抜けてしまい、情けなくも俺は臨也の肩口に顔を埋めるかたちで突っ伏した。「ね、やっぱり俺のキスが一番気持ちいいでしょ」バカか。いきなり何ほざいてんだよ。「シズちゃんはそうやって誰にでも抱かれちゃうようないけない子だけどね、結局は俺のところに戻ってくると思うんだよ」根拠もねえくせしてよくもまあそんなこと言えるな。「アッハ、もしかしてシズちゃん気づいてないの?」何がだよ。っておい、さりげなく脱がすな。「まあ別にいいや。じゃあらためてセックスしようか」身につけていた服が奴の手によって剥がされ暴かれていく。ひくついたアナルに異物感を覚え眉を寄せるのも一瞬のこと。流され溺れながら熱に浮かされた瞳でそっと臨也を見据えれば「今日はシズちゃんの望むこと何でも叶えてあげる、だからそんな顔しないで」そうやって耳朶を甘噛みされつつ薄く笑われ、かっと頬が熱くなる。これが依存だなんて俺は認めない。絶対に。



(100420)
静雄おめでとう愛してる!





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